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南英世の 「くろねこ日記」

司馬遼太郎記念館

            (↑司馬遼太郎の書斎)

 クラブの付き添いで、東大阪市の河内小阪に行ったついでに、司馬遼太郎記念館を見てきた。河内小阪一帯は非常に庶民的な街並みである。道幅も狭い。司馬はこういう猥雑なところが好きだったようだ。司馬の本名は福田定一(ふくだていいち)という。司馬遼太郎というペンネームは「司馬遷に遼(はるか)に及ばず」というところからつけたそうだ。表札に福田の名前が括弧書きで書かれていた。


入館料500円を払う。司馬の自宅は平屋建てで敷地は広い。150坪くらい(いやもっと?)ありそうだ。庭越しに司馬が原稿を執筆した書斎を眺めることができる。冒頭の写真がその書斎である。彼はここで「坂の上の雲」など一連の作品を書いた。疲れたらこの庭を眺めたのだろう。



彼の自宅のすぐ隣には司馬遼太郎記念館がある。安藤忠雄の設計だという。中にはいると、司馬の蔵書が来館者を圧倒する。司馬が集めた蔵書数は4万冊にのぼるというから半端な量ではない。しかも、一次資料に近いものが数多く含まれている。司馬の作家としての良心みたいなものを感じる。



ふと新聞で読んだ話を思い出した。 
馬があるとき京都大学の学生に講演を依頼された。講演のあと学生が、(文字通り)薄謝を差しだそうとしたら、「そんなアホなこと気にしなくていい。それより先斗町に部屋を予約をしてあるから、学生のみんなを連れておいで」と言われた。行ってみると、関西の有名人がたくさん来ておられて、学生たちに引き合わせてくれたという。後に有名な憲法学者になられた学生さんの司馬遼太郎にまつわるエピソードである。

司馬の作品は「明るい明治」「明治時代の人は偉かった」という作品が多い。それは、自らが第二次世界大戦という「暗い昭和」を体験した裏返しから来るのかもしれない。帰りがけに、司馬の直筆原稿の写真が載っている『21世紀に生きる君たちへ』と題された本を買った。その本には『洪庵のたいまつ』も収録されており、こちらも授業に使えると思った。いい1日であった。





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