南英世の 「くろねこ日記」

教育投資の経済学

従来のこの手の本は大学進学が生涯所得にどのくらいの影響を及ぼすか、という視点からのものが多かった。しかし、この本はもう少し視野が広い。

経済学は、教育を人的資本への投資と考える。教育には
①生涯所得などその人個人への効果
②公的恩恵
の二つの側面がある。①を強調すれば教育費用は個人が負担すべきとなり、②を強調すれば公費負担が原則となる。
 
そのほか、
・ピアス効果(集団の中で周りが個人に与える影響)
・クラスサイズを小さくすることの効果
・教員の質の計測
・年間総授業時数の変化が及ぼす影響
・学校間競争がもたらす影響
などが論じられている。
 
個人的には、「教員の質の計測」や「学校間競争がもたらす影響」について興味があったが、めぼしいエビデンスは示されていなかった。計測が難しいのだろう。
 
教育には「学力」をつける側面と「豊かな情操」を育成する側面がある。後者については全く触れられていないのが残念である。まだまだ未知の学問分野なのだろう。
 
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