俺にはほとんど記憶がない。無い、というと語弊があるか。
なんだろうな。はっきりと覚えてる事が少ないというべきか。
これくらいの時にこんなことがあったっていう記憶はあっても、そこに自分が居ない。小説や漫画を読んでるような感覚で実感は全くない。実感があったら、多分生きてられなかったとは思うが。
だから俺がどんな人間で、どんな感情を持って生きてきたのか、ほとんどわからない。わかるのは、殺意と憎しみの残滓がまだ残ってるって事と、そらを愛してるってことだけ。
今の俺は、ひとつにはなれたがまだまだ継ぎ接ぎって感じなのかな。
とりあえず俺はこんな人間だっただろう。それを演じてる感じだ。
まぁただ、この人はこういう人間が好きだろうなと言うのがなんとなくわかるから、それに合わせて変えたりする事もできるし、万人受けする感じはこんなんだろうと普段は飄々としていて重みのない人間だと思われることが多い。
ろくに苦労せず生きてきたんだななんて言われても、笑いながらまぁ周りの人には恵まれてましたねーwなんて返している。
まぁなめられやすいタイプだ。でも人間、下に見てる人間相手には心を開きやすいもんだ。お陰で可愛がって貰えることも多い。ぶつかり合って叩き潰すより、撫でて貰った方が気分はいいよな。
そういえば3ヶ月間、本当の自分ってものを深堀することもあった。
だけど、そんなものを見付けても、本当の自分で居られる世界じゃない。
殺意と憎しみに擦り切れたボロボロの人間に、誰が親しみを覚える?誰が、共に働きたいと思える?
本当の自分でいることが辛いのだから、別に偽って楽しく生きた方がいい。
ありのままの自分を受け入れてはいる。ただ表には出さないだけ。出す意味が無いし、誰の得にもならない。
楽しく無いわけじゃないし。
笑顔が嘘なわけでもない。
ただそれが本当の自分でもない。
この辺りはわかってくれる人もいるだろう。
忘れてる事は多い。思い出さずして、ひとつになったとは言えないのかもしれん。
思い出す為に、努力をしてみようかと思う。