母校の大学歌の一節。♪植えよ人を 輝け自由 我ら我ら土に生きん… こいつがグルグルと頭の中を回っていた。
私は校歌が好きなんだけど、ここはとりわけ好きなフレーズの一つだ。ここを口ずさむと、「こんなつまらないオレでも、なんとか次の世代の肥やしぐらいにはなって死にたいものだなぁ」と思いつつ、しみじみウルウルする。(変?)
と、ふと、宮沢賢治の童話を思い出した。『虔十(けんじゅう)公園林』という。
あらすじはこんな話。
ある村に虔十(けんじゅう)という底抜けにお人好しで、いつもはあはあ笑っていて、皆にバカにされている男がいました。ある時虔十は、杉苗を七百本買ってくれと言い出し、親に苗を買ってもらって、それを空き地に植えますが、そこは、杉の木は三メートル以上は育たない場所だったのです。皆はまた彼をバカにしますが、その杉の林で、子どもたちが喜んで遊ぶようになります。そんな子どもたちを、虔十は嬉しそうに見つめ続け、来る年も、来る年も、子ども達が育ち、去っていくのを見つめ続けます。やがて、その土地で育って成人し、アメリカに渡って大学で講義をすることになった若い博士が、ふるさとに戻って来ます。そして、自分の村がいつか町になり、全てが変わり果てた中で、虔十の杉林だけはいつまでも三メートルの丈のまま、子どもたちを同じように遊ばせているのを見ます。虔十は死んで、もうそこにはいませんが、その変わらない杉の林が、彼そのもののように子供達を見守り、遊ばせているのです。若い博士は何が本当に“有り難い”ものなのかに気付き、その杉林を「虔十公園林」と名付け、自分と同じようにその学校から出て広い世の中で活躍する同窓生達と共に、永遠に保存しようと努めるのです。
また、飢えて、人の心が獣のようになり、人を見ても牛に見えてしまい、人が人を食べては、満腹して我に返った人が自分の犯した罪に涙を流すようなことを繰り返していた時代に、ネギを植え続け、結局人に食べられてしまうけれども、その人の植えたネギが人々を飢えから助け、人の心も取り返させたという朝鮮民話も思い出されます。
「大切なものは目に見えない」という『星の王子さま』のキツネ(だったかな?)の言葉も思い出す。
酒飲んで、心が優しくなってしまった今宵でありました。
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