メテオフォール型開発(※1)とは、2018年に日本で提唱されたシステムは開発手法。
当時、日本でもPIMBOK6版が出版され、従来のウォーターフォール型開発に加えアジャイル型開発が体系に追加された。これにより、システム開発の現場では実務の状況に合わせたシステムの開発手法の選択が推奨されるようになりました。
そんな中、当時の日本で最も広く活用されていたとシステム手法の特徴を叙情的に体系化したものがメテオフォール型開発です。
メテオフォール型開発はトップダウン的にリリース内容とリリース日のみを黙示録と言う形で決定し、あとは現場のエンジニアが死ぬ気でなんとかすると言う開発手法です。
現在の日本のレガシーシステムは、メテオフォール型開発によって開発され維持されているものが少なからず存在するとか、しないとか考えられるが、最近の労働環境の変化の影響を受けてメテオフォール型開発の継続が困難になってきている。これが2025年の崖の問題のひとつの要因(リスク)と考えられる。
元々、メテオフォール型開発を成功させていたのは、スーパーSEと呼ばれる人達の貢献によるものが大きい。スーパーSEはシステムの稼働を全てに優先させることを美徳とし、生活の全てを仕事に捧げる人たちです。また飽くなきテクノロジーへの探求心により幅広い知識を得ていて、さらにその知識をより拡張性し続ける人たちです。一説によると週90時間程度を目安に働いていたとか。業界では神に近い存在で、目に見えないデータの流れが見えたり、複雑怪奇なシステムの全体像を把握していたり、言ってみたら預言者です。これらの人達は日本の大規模ITシステムの黎明期から第一線で走り続けている人が多く、常にIT業界を第一人者として走り続けてきた人達と言えます。
しかし、これらの世代が加齢により、徐々に第一線を退く年代となってきました。それに加え、近年の労働時間管理の厳格化、ライフワークバランスを重視する価値観への変化、転職市場の活性化によるスーパーSE候補のコンサル化(※2)が進んでいます。これにより新たなスーパーSEは生まれにくい環境となってしまいました。結果としてシステム開発の現場にいたスーパーSE達が急激減っていくことでしょう。
このような背景から2025年の崖の問題を考察すると、メテオフォール型開発が破綻するリスクが、スーパーSEの消失により顕在化する可能性ある時期が来た問題と捉えることができます。
そこで、2025年の崖を乗り切るための対策案を考えてみました。
1.ズバ抜けた報酬の募集によるスーパーSE候補者の獲得(コンサル化の防止)により、無理やりメテオフォール型開発を推し進める。
2.雇用延長による現在のスーパーSEの延命により、無理やりメテオフォール型開発を推し進める。
3.スーパーSEに依存しない開発手法の実現のため、メテオフォール型開発を取り止め、アジャイル型開発の応用した、無理の無いショートゴール設定と、進捗阻害発生時の目標(ショートゴール)の見直しを可能とする。
レガシーシステムに悩みを抱える日本企業は、まずは自らのシステム開発手法の現状を調査し、必要に応じてこれらの対策案を検討するべきだと言うのはきっと過言でしょう。
(※2)スーパーSE候補のコンサル化の問題は、コンサルがシステムの稼働の責任を追わない職種であること。多くのコンサルはシステム開発の上流工程のみを担当する。一方、スーパーSEは下流工程まで責任を持ってやりとげるため、メテオフォール型開発の実行力がある。