「組織の発展には多様性が重要だ」とよく耳にするようになった。とは言っても、実際のSEの仕事では何故重要なのかしっくり来ない。今のSEの仕事は過去の実績を参照しながら、実績のと違いうまく管理し吸収する仕事がほとんどだ。このような仕事では、過去の実績をいかに適切になぞることができるか、その差異をいかに正確に捉え吸収するかが重要となる。そう考えると、SE一人一人が違う考え方を持ち、違うアプローチをしてしまうと、効率が悪くてしかたがない。関係する一人一人が同じ考え方で同じアプローチをとることで、生産性及び品質を向上させることができるからだ。
そのため、SEとって多様性は邪魔に思えてしかたがない。
しかし、これは多様性ではなく、乱雑性のなのかもしれないと思った。一人一人が勝手に好きなことをやるのは多様性ではないのではないかと考えた。
例えば、過去の実績の活用に能動的にアプローチし、次に活用しやすくするため、ドキュメント化する場合を考える。人によって難しく感じることが違い、工夫の仕方も違うかもしれない。すると、ノウハウ化されるものは、人によって違うかもしれない。結果として、色々な角度から物事を分析でき、より深く、より幅広くノウハウを蓄積できるようになるのではないかと思った。
つまり、「今より良くしたい」というような漠然とした目標を皆で共有しそれぞれにアプローチしていくことで多様性を生かせるのではないかと思った。多様性は答えがひとつに定まらない問題にアプローチするためには必要であるが、具体的な答えがあるものに勝手に考え、勝手にアプローチするのはただの乱雑なのだろうと思った。