屋久島木工木育デザイン ymmdesign

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杉の時計づくり その3

2021-02-25 13:31:06 | 木工品

前回、時計フレーム角材に溝を掘り、断面をコの字に加工しました。

 

そのコの字角材を、時計のムーブメントを取り付ける正方形の板材(厚み約8mm)に

グルリとはめ込むのですが、その方法をどうしようか考える。

 

当初は、子どもたちへの木工体験ということで、簡単にできて、少々の失敗も問題ないようなつくりを考えていたのですが、

木工体験は中止となり、半完成品もしくは完成品を配布することになったわけです。

 

そうなると、こちら側でやりたい加工を選べることになり、

やはり木の魅力、木目の美しさが伝わるような工法は、「留め継ぎ」がよいのではないかと。

 

留め継ぎとは、例えば、4つの角材を使って四角にする場合、

四隅の収まりを45度でカットした材を直角に合わせると切り口の見えない90度の角となります。

また、その角の木目の流れは続いているので、自然美が楽しめるのです。

 

そうと決まれば、早速45度の留め切りをしていきましょう!

 

使う機械はこれ「スライド丸ノコ」 ↓

↑ 45度に傾けてあります

 

大工さんがよく使う卓上の機械ですね。

工房には前回紹介したテーブルソーという据え置きの機械もあり、それで加工もできるのですが、

今回加工する角材は小さく、それでいてデリケートな杉なので、この卓上サイズの機械の方が使いやすい。

 

 

とはいえ、杉となると、丸ノコの回転によるカットは、ささくれ・バリ・むしれが起きやすいです。

上の写真はきれいにカットできましたが、先端の薄い箇所は欠けたりすることが多いので杉の場合は要注意の工法です。

なので、正直わたしは、杉の家具で、この留め継ぎ工法は多用していません。

 

 

カットが終わり、角材4個1ペアに重ねたところ ↓

 

これだけの数があると、加工時間が長くなり、途中で集中力が切れてくることもあります。

そうなると大事故につながってしまい、取り返しがつかなくなることに。

まさに、「ちゅうい一秒 けが一生」なわけです。

 

実は今回、告白すると非常に危うかったのです。

 

スライド丸ノコとという機械は、使う回数は一番多い木工機械の一つであり、

日常的に使い、極端な言い方をすると自分の手足のように使い慣れている機械であるわけです。

ですが、こういう驕りがアダとなったのでしょう。

 

使い慣れているとはいえ、45度に傾けて使うことは少ないです。

写真を見返してみるとわかりますが、左手で材料をおさえ、右手でノコのヘッドを降ろしてカットします。

斜めになった丸ノコ刃を降ろしていくと、のぞき込むように頭を下げないと左手が見えにくくなっていくのですね。

 

確かに手元が見えない状態で、高速で回転する刃物を降ろしていくことに恐怖感はあります。

手元と刃物が近くなるのは好ましくなく、その安全対策もしていないことは承知の上でした。

 

当然、機械を回しているとき、左手には特に注意して緊張感も相当なものなのですが、

繰り返し繰り返し、長時間、同じ作業をしていると、緊張でこわばってきた左手を脱力させたいタイミングもやってくるわけです。

 

こういう時は、作業を止めて休憩したり、または、別の作業をして体の緊張をほぐすのですが、驕りがあったのでしょう。

連続作業にも慣れてきて、あともうすこしで終わるから、最後までやってしまいましょうと・・・。

 

意識してか、無意識かは覚えていませんが(←この時点で集中力は働いていません)、

左手で角材を押さえているときに、なんとなく左親指を持ち上げてしまいました。

ちょうど、角材をカットし終えたところだと思うのですが、右手でノコのヘッドを持ち上げているときに信じられない光景が目に飛び込んできたのです。

 

回転しているノコ刃が、左親指を削っていて、その削られている皮と爪の粉末のようなものが勢いよく飛び散っていたのです!

 

これは間違いなく大怪我をしたと確信し、頭が白くななりはじめると同時に恐る恐る親指を見てみると、

おや? 血が出ていないではないですか。

 

これはおかしい(←この発想は動転している)。

あれほどの恐ろしい光景が目に焼き付いているのに、ひどい怪我をしているはずなのに・・・

 

あらためてよく見てみると、確かに皮は削れているのですが、まだ薄ピンク色の皮膚が残っており、

丁度ぎりぎり毛細血管に到達するかしないかのところでした(でも結構ヒリヒリする)。

そして、爪は確かに削れていましたが、たまたま爪が長かったのが幸い。

爪の白い部分が三分の一ほど大きく削れて無くなっていました。

 

反省しなくてはなりません。

こういう時こそ思い起こさなくてはなりません

ヒヤリ・ハット

 

ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知をいう。文字通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」である。

『ウィキペディア(Wikipedia)』より

 

これは重大な警告であると心に留めておきました。

 

その4につづく

 

 

 


 

 

福島木工家具店

オーダー・造作家具 木製品設計製作

〒891-4404 鹿児島県熊毛郡屋久島町尾之間752

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