やってきました。
日産スタジアム!
今日はサッカー天皇杯の決勝がここで行われます。
対戦カードは2回戦以降、札幌、鳥栖、福岡、鹿島とJ1勢を連破してきたヴァンフォーレ甲府と、Jリーグ発足以降5度の準優勝に泣いて6度目の決勝進出となるサンフレッチェ広島。
しかし、甲府はこの大会の台風の目とはいえ、J2では22チーム中18位とかろうじてJ3降格圏を免れているチーム。
一方で広島は前節で可能性がなくな多とはいえJ1では3位につけACL圏内、来週実施されるルヴァンカップ決勝にも進出している、間違いなく今シーズン実力トップ3に入るチーム。
席はメインスタンド上層ですがハーフライン延長線上のまさにど真ん中。
クラブ初の決勝進出で湧き上がる甲府サポーター。
6回目の正直を信じて疑わない広島サポーター。
間もなく選手入場です!
選手入場に先立って、ミスターマリノス木村和司さんがセレモニーに登場。
そして和太鼓と旗振りで盛り上げます。
ピッチに「頂上決戦」の幕が広がって両チーム選手の入場です!
審判団と領地無イレブンが揃いました。
ちょっと距離が遠くて選手の表情が全然見えないのが残念。
そして記念撮影も終わって両チーム円陣で気合が入ります。
左に陣を取った甲府ボールのキックオフ。
白いユニフォームが広島ですが、陣形はいつも通りの3-4-2-1。
一方の甲府は4-2-3-1でしょうか
相手ボールがサイドに寄った際は、逆サイドを捨てて横もコンパクトな陣形になっています。
しかもボランチ2枚はどちらかが中央に残らず、2人ともボールサイドに詰めています。
このコンパクトな陣形が広島のパスの自由度を奪い、早いチェックからカウンターを狙います。
今日のスタメンです。
両チームともスタメンの外国人は1名のみで、あとはサブに回っています。
広島は日本代表歴のあるベテラン佐々木と塩谷が3バックの左と右に入り、MF野津田も代表経験者。
甲府は私も名前を初めて聞く選手ばかりですが、このメンバーでJ1チームを4度も破っているので侮るなかれ。
試合は中盤のチェックが効いて、甲府が序盤の主導権を握ります。
15分には右サイドを抜け出してフリーのシュートもミートせず、18分には1トップにボールが収まるもフォローなくチャンスに結びつかず。
その流れのままビッグチャンスは甲府に。
26分に左コーナーキックを得ると、キッカー長谷川はショートコーナーを選択し、リターンを受けると、同じサイドの内側を縦に走った選手に斜めにショートパス。
ラインを上げ切っていない広島のDFのギャップに入り込んでパスを受けると、その縦の欄に連動してゴール前からニアに走り込んだ1トップ三平へグラウンダーのマイナスのパス。
それを三平がダイレクトで合わせたグラウンダーのシュートはDFとGKの間を抜けてゴールマウスへ。
待望の先制点を甲府が挙げました。
ようやくエンジンがかかり始めた広島はボールを保持して攻めますが、甲府はサイドのMFやボランチが最終ラインに入って5バック状になり、1トップも中盤に引いて強固なブロックを形成。
この場面では5-2-3陣形になってプレスをかけています。
そして、ボールを奪うとカウンターで攻め込んで、広島がたまらずファウルで止めFKを与える場面もあり、また甲府がボールをキープした際も、広島のチェックを剥がして進み、狭い局面での数的優位を作る場面も見られました。
ここまでは狙い通りの先制と中盤で優位性を作るゲームプランがはまっているように見えました。
終盤には広島の左サイドの満田を起点にして左サイドの深い場所からマイナスのボールを折り返すも合わせる選手がおらず、また連続攻撃にもつながらず。
結局前半は広島の1トップのドウグラス・ヴィエイラのシュートシーンもボールが収まるシーンもほぼ皆無で修了しました。
後半のキックオフ。
ボールを戻した広島はまず敵陣深くにボールをけり込みます。
甲府は選手交代もなく、見た感じシステム変更もありません。
一方で広島は1トップのドウグラス・ヴィエイラに代えてナッシム・ベン・カリファ、MF森島に代えてエぜキエウを投入。
流動性の少なかった前半でしたが、後半はそのナッシム・ベン・カリファがサイドに流れてそのスペースにエぜキエウが顔を出す等して流動化を図ります。
58分にはゴール正面で広島がFKを得るもDFに当たりCKに、そのCKも甲府DFにはじき返されてチャンスにつながらず。
一方、61分に甲府は前線からのチェイスでも貢献していた1トップの三平に代えてウィリアン・リラ、鳥海に代えて松本を投入。
さらに65分にはMF荒木に代えて野沢を投入し、中盤のリフレッシュを図ります。
広島も更に左アウトサイドMF茶島に代えてDF野上、MF柏に代えて松本を投入。
野上はそのまま左アウトサイドに入りました。
しかし、しっかり守ってカウンターを仕掛ける甲府のスタンスは変わらず、73分に甲府はカウンターからウィリアン・リラがカウンターで右サイドをフリーで駆け上がり、45度から強烈なシュート。バーを直撃して肝を冷やしました。
78分にはサイドから入ったボールのこぼれをペナルティエリア中央から野津田がシュートしますが、大きくバーの上へ。
その直後野津田に代わってFWビエロス・ソティリウを投入し、2トップにして前がかりになります。
二列めやサイドの選手も前線に入り、3トップの形になってクロスを供給する機会が増え始めました。
ですが、このまま甲府が守り切ってしまう雰囲気も漂い始めて時計は80分を経過。
攻撃が停滞気味の広島は、左サイドでボールをキープし、クロスを選択せずにサイドからゴール寄りに斜め前にショートパスを供給。
タイミングを計って走り込んだ広島MF川村がダイレクトで左足一閃!
強烈なシュートがGK河田の頭上を抜いて同点ゴール!!
残り5分になろうかという時間でついに広島がついに同点。
広島は右3バックの塩谷を野上とポジションチェンジ、一列挙げて攻撃のギアを上げます。
しかし、残り5分になって、後半から入ったエぜキエウが足を故障したらしく、前線に残ったまま走れない状態に。
結局広島はリスクを冒して攻めることはせず、そのまま後半が終了。
15分ハーフの延長戦に突入します。
延長に入ると交代枠が1枚できるようで、故障したエゼキエウに代えて住吉を投入。
後半開始早々に広島はFKを獲得。
しかし、このシュートは惜しくもバー。
完全に広島にボールを持たれることになった甲府は、攻守に貢献していた長谷川を下げてジェトゥリオを投入。
なおも、広島の攻撃は続き、左サイドからのクロスを中心にとゴール前にボールを送りますが、こぼれを主としきれなかったり合わせる選手がおらず、このまま延長前半が終了。
後半は塩谷がもう一列ポジションを上げて前線が3トップのような形になります。
後半開始早々も左サイドパス交換からグラウンダーのクロスも合わず、その直後のゴール正面30mのFKもバーの上。
前半は中盤を制し、後半は堅い守りとカウンターを武器に交付が握っていた主導権は同点以降完全に広島に。
その流れは延長後半でも変わることなく、甲府は延長21分にMF山田に代えてDF山本、DF浦上に代えてフォゲッチと完全に守り固めに入ります。
しかし、延長27分に広島のシュートが交代で入ったDF山本の手に当たり、主審は迷わずペナルティスポットを指し、広島のPKに。
喜ぶ広島の選手とベンチ。
しかし、決まれば十中八九勝負が決まるこのPKを、なんとGK河田が完璧にストップ。
グラウンダー左下隅と悪くないコースでしたが、蹴った瞬間に既に反応しています。
スカウティングがあったのでしょうか・・・。
とにもかくにもこれでスコアは変わらず1-1。
その後も広島がゴール前にボールを送るも決定的なシュートチャンスはなく、試合はついに120分戦っても決着がつかず、Jリーグ発足後初、大会32年ぶりのPK戦に突入しました。
両リーム3人目までしっかり決めていましたが、広島4人目をまたしても甲府GK河田がストップ!
その後両チーム1人ずつが決め、ついに決めれば勝利の甲府の5人目はハンドを取られたDF山本。
慣習が固唾を飲んで見守ったそのキックは左に反応したGKの逆を突いてネットに。
この瞬間、120分とPK戦の死闘を制したヴァンフォーレ甲府が、クラブ創設初のタイトルを手にしました。
フィールドになだれ込むベンチの選手やスタッフたち。
J2勢が優勝するのは2011年第91回大会以来二度目ですが、FC東京はJ2陥落後1年でJ1復帰を決めたばかりで実力的にはほぼJ1でしたし、J2で18位の甲府の優勝はまさに天皇杯史上最大のジャイアントキリングと言って良いでしょう。
監督インタビューです。
柏レイソル出身で、柏の監督経験もある吉田監督。
実は、J1で監督になるのは柏、新潟、2017年の甲府と今年の甲府で4度目でいずれもチームは下位に沈んだのですが、ついにトーナメントで結果を出しました。
そして表彰式、たくさんのカップや盾、副賞が手渡され、最後の天皇杯が授与されると・・・。
優勝おめでとう!!!
これで甲府はJ2にいながら、2023年はACLの出場権を得ることになりました。
今大会の優勝賞金は1億5,000万円ですが、そんなものでは強化費は全然足りないと思うので、募金やクラウドファンディングなどが大々的に行われそうです。
何はともあれ、来年のACLで少しでも爪痕を残してほしいものです。
一方、広島はこのままJ1で3位をキープすればACLに出られるものの、Jリーグ3回優勝に次ぐ三大タイトル天皇杯の初制覇を今年も逃すことに。
同じく優勝したことのないルヴァンカップの決勝が10月16日に控えており、気持ちを切り替えて臨んで欲しいですが、対戦相手はJ1で4位のセレッソ大阪。
今日広島が優勝すれば、ACL出場権はJ1リーグ4位に回ってきただけに、セレッソとしては残る2試合で勝ち点差4の広島との奇跡の逆転3位と、残す1つのタイトルに執念を燃やすはずで、また熱い、激しい試合が期待できそうです。