去る9月28日(土)に、大阪城公園の利用者と話をしてみた。
大阪城公園に来る目的を、
①大阪城、②自然、③エンターテインメント、④スポーツなどのレクリエーション、⑤安らぎ(落ち着き、静けさ)
などで尋ねてみた。多くの回答が、「自然」を求めて訪れていることがわかった。
中国人のお子さん連れ家族、日本に30年住む中国人。
特に外国から来ている人は、真っ先に「自然があるから」
と答えてくれた。昔からある無料の遊技場のことなど、いろんな話が訊けた。
市民の森には、野鳥を撮影するカメラマンたちが集まっていた。
今は渡りの時期なので、キビタキ、オオルリ、エゾビタキ、etc. 様々な野鳥が大阪城公園で
休憩して渡りをしていく。今ちょうど秋の真っ盛りなのだ。
目の前にキビタキがヒラヒラしていて、私も野鳥観察に熱中したかった。
少し、鳥が飛ぶ切れ目を見て、カメラを持つ人に声をかけてみた。
「ああ、もう、木を伐り過ぎやね。あんな、吉本の劇場建ててね、自然が豊かなのが
良かったんやけど」
「トイレ作っても、清掃せーへんから汚いわ!」など、
答えてくれた男性たちが、他のカメラマンたちにも声をかけてくれて、
「ちょっと話聞いてあげてー!」と優しかった。
ところが、グループで鳥の撮影をしていた男性や女性が(皆さん顔見知りのようだった)
女性「それは何!?一体何のために聞いてるん?」
私「あ、実は、今公園が変わりつつあって、利用者が本当はどう感じているのか知りたくて」
男性「ここはな!!指定管理に売られたんや!ここを使って儲けなさい!と。だから今更あんたらがみんなの意見を
聞いたり、みんなが言ったかって、ムダなんや!やってることがむだ!怒」
私「指定管理にはなっていますが、行き過ぎのところ、たとえば吉本の劇場を作るとか、
そういうところは、市民の意見を出すべきだと思いまして…」
男性「ムダムダ、言ってもムダ!あんたらのやってることはおかしい!やって何が変わるねん!怒」
女性「それを聞いて何に使うか、って言わんと答えられへん!」
私「実は、今度、自然史フェスというのがあって、そこで公園について意見を交わすワークショップを考えて…」
男性「そんな1日2日だけのイベントで使って何になるねん!そんなことやってもムダや!怒」
怒りが収まらず、説明も聞いてもらえないので、だめだこりゃ、とその場を引き上げた。
…とにかく、そこにおられる方々はイライラと怒っていた。
まあ、そんなんやってもムダやと思うけどー、と思うのはわかる。ムダなのはわかる。でも、
私も野鳥がいなくなったら嫌だから、自然を守りたい、という気持ちがあるので、その気持ちを
説明しようにもその説明さえもさえぎり、質問に答えてくれるどころか…その逆で怒らせてしまったのだった。
自然を守りたい、と思う、私たちのやっていることを全否定、そしてものすごい剣幕で
反対をする。これはいったいどういうことなのだろう?
「鳥の撮影をしたい」
という趣味や楽しみがあったとする。でも、その野鳥は、木がないと来ないんだよ?
今は、もうジョー・テラスや、吉本電通・民放のクールジャパンパーク大阪 が建ってしまった。
切られた1174本の木はもう戻らない。
木は植えてから定着するまで何年もかかる。だから簡単に切ってはいけないのだ。命と同じなのだ。
でも、史跡指定区域外では、これからも更に指定管理に伐採される可能性がある。
「これ以上伐採しない」とは誰も言っていないのだ。
だから、それをさせないためにも、市民が意見をする、ものをいう、というのは大切なのだ。
大阪城公園には、たっぷりの茂った木があるから、野鳥が必ず、年に2回渡りの途中に寄るんだよ?
どうして、公園の自然を守りたい、という気持ちの私たちに、食ってかかることができるのだろう?
なぜ、私たちに憎しみ、怒りをぶつけてくるのだろう?
本当に、不可解だった。
そして、後日、今更気づいた。
野鳥を撮影するカメラマンたち=開発に反対 ではないのだ。
野鳥を撮影するカメラマンたち=開発に賛成 という人たちがいたとしたら、
私たちの質問は、苛立つだけだっただろう、と合点が行く。
私たちに怒っていたカメラマンたちは、野鳥の写真は撮りたいけど、
商業化には賛成だから、私たちに怒っていたのか?
その後、飛騨の森で、話をした野鳥のカメラマンは、まっすぐ気持ちを言ってくれた。
「ここは、サクヤルミナで、16時に追い出されるねん。
なんで、公園を追い出されるんや?僕は、子供の頃からもう40年以上通ってる。
今まで税金も納めてるしな。みんな、もっと怒ればいいのに、素直に出ていけ言われて、出ていくねん。
ハイタカが夕方かえって来たりするけど、それの撮影ができなくなった。
この3年ほどかなあ、市民の森の木もバッサリ切られたやろ、野鳥がガクリと減った。
それ一番悔しい」
指定管理は、儲けることだけを考えているから、市民の意見を聞こうということも思いつかないだろう。
そうやって、クールジャパンパーク大阪 は建設されたのだ。
お城、観光客、自然、近隣住民という絶妙なバランスを何十年も保ってきた大阪城公園は、
あっという間に指定管理に潰され、自然の森とはかけ離れた、テーマパークとなっていくのだ。