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『必殺仕置人』の「この存在を証明する記録、古文書の類は一切残っていない」について

『はだしのゲン』関連tw(2014年3月26日以降)

@kyojitsurekishi 「ゲン」に公文書の裏付けが必要か?フィクションというのは史書や公文書自体が眉唾だという前提で虚構の話が作られる。「必殺仕置人」の存在を証明する古文書の類は残っていない。「大奥華の乱」では綱吉は吉保に刺殺され、幕臣には自害、世間には病死と公表された。
posted at 16:19:17
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『必殺仕掛人』『必殺仕置人』『助け人走る』『暗闇仕留人』のオープニングとエンディングのナレーションでは「悪がはびこり、人々が苦しんでいる」→「晴らせぬ恨みを晴らす裏稼業が存在する」→「このような裏稼業が存在したことは、つたえられているが、公式な記録には記されていない」ということを述べている。
必殺シリーズのテーマは「史書や古文書に描かれた歴史は建前で、その裏に『書かれなかった歴史』が存在する」ということだ。

しかし劇中で描かれた「歴史」で考えても記録が残っていないとは考えにくい。
番組予告によると『必殺仕置人』の時代設定は文化・文政(さいとう・たかを作画の劇画版『仕掛人・藤枝梅安』では寛政末期)であり、『必殺仕置人』の時代設定も文化・文政であった。

『必殺仕置人』の場合、鉄と錠は一度投獄されたのち、釋放されている。最終回では鉄と錠の人相書が出回り、半次が処刑される寸前に鉄と錠が乱入し、江戸から逃げた。

これが記録にないとすると奉行所が自らの失態を隠蔽したことになる。
奉行所がそういう体質だから悪がはびこり、同時に裏稼業が成立したのだろう。

滝沢秀明主演の『鼠、江戸を疾る』でも次郎吉によって大金を盗まれた大名屋敷では、それを隠蔽していたらしい。

『助け人走る』では中盤で仕事料の小判から足がつき、連絡係の為吉(演:住吉正博)が殉職。助け人たちが中村主水による「裏切り」を考えなかったのか疑問に思うが、ここで助け人たちは奉行所の主だった敵を倒した。しかし最終回で助け人たちは再び捕り方にかこまれ、島帰りの龍は相手を道連れに川に落ち、他のメンバーは江戸を去った。

『仕事屋稼業』でも半兵衛の人相書が江戸に出回り、半兵衛は江戸を去った。
『仕置屋稼業』(時代は天保時代か)でも市松が投獄され、処刑場に連行される途中、主水がドジをしたふりをして市松を逃がし、牢屋見廻りに格下げされた。

必殺シリーズの場合、劇中の仕事人の中には人相書が出回って江戸を去った者、獄死したか処刑された者もいる。これらの記録が奉行所に残らないはずがない。
残らないとすれば奉行所内で証拠が消されたのだろう。

しかも一度、人相書きが描かれた仕置人が江戸に戻って平気で生活している。
『新必殺仕置人』で鉄は江戸に戻っていたが、最後には女郎屋で絶命。巳代松も奉行所の拷問で植物人間となり、おていと共に江戸から去った。

のちの『必殺仕事人IV』では秀の人相書が出回り、秀はお民と一緒に江戸から去ったが、のちに何度も江戸に戻っていたようで、最後は主水の「最期」を見届けた。

江戸に戻った仕事人が奉行所に追われないのは主水が証拠を隠蔽しているからか。
『必殺仕事人・激突!』では秀が処刑されかけて、主水の工作で助けられた。

主水は一度、助け人の裏稼業を知り、仲間に入ろうとしたが、結局、それだけだった。のちに助け人が捕り方に追われたが、これは主水とは関係ないだろうが、助け人たちは主水を疑わなかったのか。
それはともかく、主水が助け人に入らなかったのは正解だった。助け人はのちに「義賊」「世直し」と呼ばれたらしいが、仕事人の時、順之助が仕事人を「世直し」と考えていたのに対し、主水や勇次はそう思ってはいなかったようである。

『仕事人vsオール江戸警察』では加代の仲間のうち、剃刀の辰(演:本田博太郎)が獄死し、藝者・駒吉(演:光本幸子)が処刑された。加代と太棹の新之助(演:田村亮)も捕縛され、処刑されかけたが、鶴のからくりで脱出。

『オール江戸警察』で中村主水は1844年に鳥居耀蔵を暗殺したが、劇中のナレーションによると、幕府はこれを隠蔽し、建前では失脚で、明治まで生きたことになっている。
また、『大老殺し』の中村主水は1860年に井伊直弼を桜田門外で暗殺したが、これも直後に駕籠を襲った水戸・薩摩の浪士グループの仕業とされた(『江戸警察』の主水と『大老殺し』の主水は別人かも知れない)。

鼠小僧の最期(1832)と葛飾北斎の最期(1849)について、必殺シリーズではそれぞれ2つずつ、異なる解釋を設けた。いずれも『からくり人』シリーズと『仕事人シリーズ』である。

公の歴史を疑うことが必殺シリーズの教訓かも知れない。

ところで棺桶の錠や太棹の新之助は投獄されて牢から出た時、武器をどうやって奪還したか不明。錠は手槍を持っていなかったのか。太棹の新之助は捕縛された時、仕込み三味線をその場で落としたが、捕り方はそれを押収しなかったのか。主水がこっそり彼らに返していたのだろうか。

@misterhiropon 『仕置人』と『助け人』ではEdのナレーションで「記録には残っていない」ことが明確になっていますね。しかし最終的に捕り方が助け人や仕置人を捕らえ、または逃げられたこともあり、記録にないとすると幕府や奉行所の隠蔽体質が背景にあるということでしょう。
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@misterhiropon 細かいことについてはこちらをご覧ください。
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前後一覧
2014年3/30

関連語句
仕置人 必殺 ナレーション
必殺シリーズの裏稼業変遷(Y!Blog)
必殺シリーズで描かれた裏稼業の歴史(Y!Blog)

参照
Y!Blog>必殺シリーズのOPナレーションと主題歌
Y!Blog>必殺シリーズのOPナレーション
Y!Blog>必殺シリーズの意味(史料に書かれた公式の記録の裏を想像する)
Y!Blog>『はだしのゲン』関連tw(2014年3月26日以降)
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