星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

無言館展。

2020-09-14 | ミュージアム・企画展

美術館レポは久しぶり。行ったとしても最近はここに書かないから。
↓ Tweetしたテキストをほぼそのまま・・・

******
「無言館展」初日の講演会より。
「ここにあるのは無観客画家たちの絵です。誰かに見せるためでも、賞をとるためでも、有名になるためでもなく、ただ描いた。だから胸を打つんです」
無言館館長の窪島さんの言葉に背筋が伸びた。若者たちが遺した作品には家族や愛や夢や生の輝きが描かれている。展示の章ごとに添えられた窪島さんの言葉とともに、一点一点ゆっくり見ることができた。

戦争で亡くなった画学生たちの作品を収集・展示している長野県上田市にある美術館「無言館」
の作品が神戸へ。無観客だけど無名ではない。一人一人にちゃんとした名前がある。せっかくの機会だから作品に添えられた作家たちの名前をしっかり見た。展示ケースにあった戦地からの軍事葉書。時間のある限り、生ある限り、描かずにいられなかったのだと思うと、1枚1枚に描き残された絵の緻密さ、美しさに思わず落涙。


>> 神戸新聞の動画神戸ゆかりの美術館で「無言館」展 戦没画学生の130作品

 

神戸ゆかりの美術館
11月29日(日)まで。月曜休館。※9月23・24日は休館。

 

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京都国立博物館の海北友松展に行ってきた。

2017-04-21 | ミュージアム・企画展
ウルミーまつりでアップしそびれていました。

お天気のいい日曜日、京都国立博物館の海北友松展へ。
お花見の季節のせいか、先週の快慶展に続きこちらもすんなり入れた。



海北友松。狩野永徳や長谷川等伯と並び称される桃山画壇の巨匠。
近江浅井家の家臣・海北綱親の家に生れながら、絵の道に進んだ人。
京都の有名な寺・神社の障壁画を描き、豊富秀吉や山内一豊などとも
交流があった。

正直なところ、海北友松の名前は京都のお寺巡りをしている時に
ちょこっと目する機会があっただけで、作品をこれだけまとまった形
で見るのは初めて。
いくつか見ているうちに墨の使い方が面白いと感じた。
彩色された絵よりも水墨画の方が個性が出ている。



見所は建仁寺大方丈障壁画の「雲龍図」。迫力あってちょっと不気味
な感じ。67歳でこの絵を描いてから、さらに仕事の依頼が増えたとか。
北野天満宮の雲龍図はさらに不穏な感じがした。(部屋が暗いせいもある。)

アメリカのネルソン・アトキンズ美術館から里帰り中の「月下渓流図屏風」
が素晴しい。輪郭を書かずにほとんど墨のシルエットという感じで風景が
描かれている。淡いタッチの絵が幽玄の世界を思わせ、とても引き込まれる
ものがあった。

重文でもなんでもない作品だけど、奈良・松尾寺の 「放馬図屏風」が
好きな絵だなと思う。これも水墨画で一筆書きのように筆が走っている。
馬のポーズが楽しくて、もしかしたら若冲もこの絵を見ただろうか、
なんて思った。

妙心寺の金碧屏風は最も華やかなゴージャスな作品。
私は水墨画の方が断然好きだけど。

地下で海北友松の技法を解説する映像が見られた。
そこにあった告知。
4月23日の日曜美術館で「海北友松」が紹介されます。
60年ぶりに里帰りする「月下渓流図屏風」の謎に迫る! 
だそうです。


「放馬図屏風」の解説に名前のあった「雪村」が気になったので調べてみた。
次は「雪村」展リンク先音注意!)にも行きたい。


京博の庭園でお花見。






東山で墓参の帰りにいつもの坂道を下りていると、ときどき寄っていた
お店がなくなって新しいお店がオープンしていた。
「無碍 Salon de Muge」。



聞くと菊乃井さんのお店で、スイーツやランチが食べられるそう。
次はここをめざして来てみようと思う。
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承天閣美術館で生誕300年記念伊藤若冲展[後期]。

2017-04-02 | ミュージアム・企画展
若冲とはいっても会期が長いせいかゆったり見られるほうだと思う。

いまフィーチャーされているのは「鸚鵡牡丹図」。
酉年にちなんで本邦初公開だそう。
若冲でオウムといえば、動植綵絵の中の「老松鸚鵡図」が有名で、
緻密さでいえばそちらの方が圧倒的だけれど、白と薄茶色で彩色
された若冲らしい鸚鵡が見られる。
背景が牡丹と岩ということで、能や歌舞伎の「石橋」を思い出した。



やっぱり一番いいのは、鹿苑寺大書院旧障壁画50面。
そして「月夜芭蕉図床貼付」。襖絵ではなく、床の間に直接描いているの
でダイナミック感がある。そこで若冲は、まんまるお月さまを輪郭で
描くのではなく、今でいうシャドウを描くことで丸い月が浮かび上がって
見える「外隈」という描法でかいている。
宗教的な、内面的なことがテーマになっているせいか、見るたびに違う
感想を持って帰ることになるのも、この絵の魅力かもしれない。

生誕300年記念伊藤若冲展[後期]は5月21日まで。


●承天閣美術館「伊藤若冲名宝展」と境内散策。
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梅香る天神さんで、鬼切丸。

2016-02-25 | ミュージアム・企画展
インフルエンザにかかっている間に、梅の見頃はどうなったのだろう?



「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」
楼門をくぐろうとしたら、この歌が目に飛び込んでくるではないですか。
毎月25日は「天神さんの日」で、きょう2月25日は京都の北野天満宮で
350の石燈籠と250の釣燈籠にあかりが灯されるそうだ。


天神さんに行ったのは2月14日。
この日は曇りだったけれど、境内に入ると梅苑といわず、御土居といわず、
道を歩いているだけで梅が香ってくるのでずいぶん気持ちが華やいだ。







今回の目的は宝物殿の「宝刀展」。(公式サイトはコチラ
少し前まで京都国立博物館で展示され、あまりの行列に2回あきらめた、
その陳列品のひとつ重文の「鬼切丸」(髭切)を見るためだった。
4年前に大覚寺で「薄緑」(膝丸)を見ているので、源氏ゆかりの太刀
はこれで2つ見たことになる。
刀剣の見方はまったくわからないけれど、この2つの太刀は切っ先が
小さく、刀身の大胆な反り具合がよく似ているように思った。今回は
ガラスケースの中で360度自由に見られるのが貴重な機会だと思う。

ちなみに、「太刀」は馬に乗ったときに馬にぶつからないよう上向き
に反っており、そのため展示の際には刃が下向きになっている。
一方、「打刀」は歩く時に下向きに反るように持つため、逆に展示の際
には刃が上向きになっている。これが今回はじめて知ったこと。


今回の展示では所蔵の約80振りのうち、約40振りを公開。
北野天満宮に多くの刀が集まっている理由として、菅原道真は文武両道
の神であり、特に戦国時代は名立たる武将が多くの刀を奉納したそうだ。

とくに「鬼切丸」は、平安時代に渡辺綱が一条戻り橋で鬼に会い、愛宕山
へ連れ去られる途中、天満宮の上空で太刀を抜いて鬼の片腕を切り落とし、
難を逃れたというエピソードがある。綱は北野天満宮の神恩に感謝し、
燈籠を奉納している。
そんな鬼切丸が、時代を経て、最終的にこの神社に奉納されているのは
ひじょうに納得。菅公の想いとともに、ここに鎮まり納まっているのが
いかにもこの太刀にふさわしい気がする。





この「宝刀展」では可愛い刀剣女子がたくさん訪れていてビックリ。
オバチャンは知らなかったけれど、どうやらゲームのせいなのねー。




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京都国立博物館で「琳派誕生400年記念 琳派 京を彩る」。

2015-11-11 | ミュージアム・企画展
11月23日まで開催されている「琳派誕生400年記念 琳派 京を彩る」。
その期間中、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の風神雷神図屏風が同時に
展示されたのは、10月27日~11月8日のたったの13日間だけ。

というわけで、10月31日にさっそく拝見!
11月3日まで待つと光琳の八橋蒔絵螺鈿硯箱(国宝)が加わって
さらに混みそうだし、考えたあげく決めた日だった。

(じつは去年の鳥獣戯画展の異常な混雑ぶりがトラウマになっている。
長時間待って、ようやく甲巻が観られるという時「立ち止まらないで。
小走りで観てください」と学芸員さんが大声で連呼していたのだった。
けっきょく絵の前にいた時間は10秒ほど。ありえへんっっっ!)



ネットの混雑状況「40分待ち」のタイミングで行くと、実質20分待ちだった。
さらに今回はありがたいことに「空いているところから観てください」とのこと。
内容は第1章から7章まであるが、「平成知新館」は幾つかの部屋に分かれて
展示されているため、エレベーターや階段で自由に回遊して何度でも同じ
ところに戻ってこられる。
特に順序にこだわるのでなければ、この方法が便利だと思う。

展示作品はもちろんたくさんあったが、特に印象に残った2つだけを。

●風神雷神図屏風
人が集まっているのですぐに場所がわかった。
3つの屏風はコの字型に並べられていた。宗達の絵を真ん中にして、右手に
光琳、左手に抱一。まず、三面がすべて見渡せる位置から阿修羅像のように
首を何度も動かしてキョロキョロ見比べた。
ほんまや。トリミングが、色彩がちが~う!
次に接近して一つずつ観ていく。なんて贅沢なひととき。
宗達のぼかしの部分がいいなあと思うのは比較できてこそかもしれない。
光琳は宗達の絵を模写しているけれど、独自性を加えていることがわかる。
抱一の絵が光琳の模写であることはよくわかった。それにしても抱一が宗達
の風神雷神図を全く見ていなかったというのはオドロキだった。
2008年に東京国立博物館で「宗達VS光琳」は経験していたけれど、3つ同時
に観る機会が来るなんてね。本当によかった。

●鶴下絵三十六歌仙和歌巻
宗達が下絵を描いた料紙の上に、本阿弥光悦が三十六歌仙の和歌を書いた
絵と書のコラボレーション。
この作品もなかなか近くで観られなかったが、三度目に来たら視界良好だった。
1回目は「美の巨人たち」を見て知ったポイントを細かく確認しながら楽しんだ。
次に頭から最後まで宗達の絵に照準を合わせてゆっくり移動しながら観たら、
とつぜん音楽が見えた。あまりに気持ちいいのでもう一回右端から左端まで
歩きながらリピート。これ、空いていたらオススメです。
京博の公式サイトに「宗達、光悦共演―光と歌のシンフォニー」とあるけれど、
比喩ではなく本当にシンフォニーが見えてくると思う。

宗達については杉戸絵、平家納経の表紙見返しの絵、扇面の絵も興味深かった。
混雑さえなければ展示替えの作品も観たいけれど・・・。

「琳派誕生400年記念 琳派 京を彩る」公式サイトはコチラ



<関連のTV情報>
●美の巨人たち 11月11日(水)23:00~23:30 BSジャパン 情報
 本阿弥光悦&俵屋宗達「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」
●ぶらぶら美術・博物館スペシャル 11月13日(金)19:00~20:54 BS日テレ 情報
 琳派400年の京都旅!今だけお宝 勢ぞろい!
 ~夢の共演!宗達・光琳・抱一の「風神雷神図屏風」~
●歴史秘話ヒストリア 11月18日(水)22:00~22:45 NHK総合 情報
 天才か?ドラ息子か?~尾形光琳 風神雷神図に挑む~
●美の巨人たち 11月18日(水)23:00~23:30 BSジャパン 情報
 俵屋宗達「杉戸絵」
コメント (2)
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鴨居玲展に行ってきた。

2015-11-06 | ミュージアム・企画展
「没後30年 鴨居 玲展 -踊り候え-」に行ってきた。
11月3日はちょうど伊丹市立美術館の開館記念日だったらしく、
入館料無料だった。(初めて行ったので知らなかった。)

鴨居玲さんの作品をナマで見るのは初めて。
(昔、神戸にあった有名フレンチレストラン以外では。)
今回はデッサンを含む約100点が出品され、初出品作もあるそうだ。
構成は4つの章に分かれていて、特に凄かったのは「第2章 スペイン・
パリ時代」。それに「第3章 神戸時代 一期の夢の終焉」の一部。


美術館の外壁のポスター。作品タイトルは「出を待つ(道化師)」


今回のポスターになっている道化師の絵は、顔以外全面「赤」。
「赤」は初期の頃の作品にも大胆に使われていた。若い頃の抽象画の
赤は本物の血のようなどす黒い赤だった。
そして・・・絶筆となった自画像も「赤」だった。

このひとの絵が思わず目を留めさせ、心を捉えるのは、人間の本質的な
ことが描かれているからだろうか。
人が内面に抱え込んでいる闇の部分をさらそうとしているのか。
それとも変化し続ける自分自身をひたすら描き留めようとしているのか。
そこにあるものを見極めようと絵を凝視していたら、グワッとこちらの
内蔵をえぐりとられるような気持ちになった。痛みをともなって。
作品が発する力があまりに強いのでしっかり受け止めないと負けてしま
いそうになる。

一度ぜんぶ見終えたあとに、もう一度「廃兵」を見に行った。
廃兵は引退して静かに余生を送る老兵とは違う。社会に捨てられ、忘れ
去られ、それでもなお生き続けている一人の人間の、憤懣やるかたない
負のエネルギーが大きな塊となって迫ってくる。


これも美術館外壁にかかったポスター。作品タイトルは「私」


ところどころにご本人が写ったスナップ写真が貼ってあった。滞在先で
ダンスをしていたり、老婆と写っていたり・・・。
老婆を気配のように描いた絵や、教会の一連の作品もいいなあと思った。

神戸時代にリアルタイムで随筆を読んでいた一人としては、あの頃は
本当は苦しい時代だったんだ、とあらためて思い知らされた。絵に如実に
表れていた。私自身、いまこの年齢で観られてよかったと思う。
心地よい後味に終わらず、観た後に種々の思いがわいてくる作品展だった。

●「没後30年 鴨居 玲展 -踊り候え-」伊丹市立美術館で12月23日まで。
公式サイトはコチラ

ブログ内関連記事:鴨居玲さんの本『踊り候え』

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大津市歴史博物館と毘沙門堂(1)

2015-10-17 | ミュージアム・企画展
体育の日の月曜日。三条寺町の田毎で早めのお昼。
鴨せいろのお出しと柚子胡椒風味がよく合って美味だったので、
そば湯を足して最後まできれいにいただいた。



この日は京都市営地下鉄+京阪石山坂本線で別所駅まで行き、大津市
歴史博物館まで歩く。(同じ京阪なのに京阪三条駅からは乗れなくて、
なぜか京都市営地下鉄東西線三条京阪駅から京阪石山坂本線に乗り
継ぐという、観光客にはわかりにくい路線を選んでしまった。)
博物館の後はJR大津京駅から再び京都方面に戻り、山科駅から毘沙門堂
に向かうコース。仏像鑑賞に時間をかけたので全然歩き足りない。


●大津市歴史博物館で「比叡山-みほとけの山-」展



今回は延暦寺だけではなく、山麓や里坊のさまざまな寺院の仏像や
仏画、史料等が展示され、これが初公開になるものも多かった。

カリスマ仏師が名を連ねる話題の展示でもなく、便利な街中の
博物館でもないせいか入場者は少なかった。
それでも10月17日以降の関連講座のある日は混雑するかもしれな
い。楽しそうなテーマが目白押しだから。
出品作品一覧はここから(PDF)(大津市歴史博物館サイト)

入ってすぐ、いきなりポスターの観音さまが。
延暦寺の木造千手観音立像(重文)。小さめだけれどお顔がいい。
アクセサリーのディテールや化仏なども顔を近づけて見られる。
伊崎寺の不動明王座像(重文)は近年まで秘仏だったもの。
伝教大師誕生の寺である生源寺からは、ご本尊の十一面観音立像
と阿弥陀如来坐像が公開されている。
延暦寺山内寺院の観音菩薩立像は、袈裟をまとった姿が目を引く。
西方寺のキリッとしたお顔の十一面観音坐像は、現存する大津市
最古の木の仏像とのことで、初公開。
西教寺からも寺宝が数点。去年初めて収蔵庫で公開された重文の
聖観音立像は、今回こちらで見られることに。




個人的に興味をひいたのは、来迎の様子を現した仏像。
延暦寺山内寺院の阿弥陀如来立像は、倒れそうなほど思いっきり
前のめりだが、それは来迎の姿を表しているそうだ。
西教寺の阿弥陀三尊のうち観音菩薩立像が一躯だけ展示されており、
膝を曲げて両手を前に出した立ち姿が気になった。両手で蓮台を
捧げ、亡者を迎え取るために飛来している姿だそうだ。
浄土寺の阿弥陀三尊は立っているけれど膝を曲げていないし、
三千院の阿弥陀三尊の観音さまは、蓮台を持って前屈みではあるけ
れど坐っているし、このような立ち姿の仏像を見たのは初めて。
仏画ではよく目にするように思うが・・・。

極楽浄土への往生は、平安時代中期に比叡山横川の恵心僧都源信
がその方法を説いたそう。阿弥陀さまに迎えに来てもらう時の
イメージがさまざまな浄土美術となって残されているようだ。

「比叡山-みほとけの山-」展は11月23日まで。
>> 企画展の詳細はこちら

(2)につづく。
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2014年に行ったミュージアム・企画展

2014-12-31 | ミュージアム・企画展
<1月>
ポンビドゥー・センター・コレクション「フルーツ・オブ・ パッション」
(兵庫県立美術館)

<5月>
●篠山紀信展 写真力(グランフロント大阪)
南山城の古寺巡礼(京都国立博物館)
●山の神仏(大阪市立美術館)

<6月>
●神戸洋菓子を愛した文人たち(神戸文学館)

<7月>
●国宝醍醐寺のすべて(奈良国立博物館)

<9月>
伊藤若冲の名宝展(承天閣美術館)
●京へのいざない(京都国立博物館)

<10月>
ボストン美術館 華麗なるジャポニスム(京都市美術館)

<11月>
●国宝 鳥獣戯画と高山寺(京都国立博物館)
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ボストン美術館 華麗なるジャポニスム~京都市美術館。

2014-10-17 | ミュージアム・企画展
博物館の次は京都市美術館。
「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム」展へ。

みどころは・・・
・修復によりよみがえったモネの傑作「ラ・ジャポネーズ」。
・マネ、ドガ、ロートレック、ルノワール、カサット、ゴーギャン、
モネ、ゴッホら印象画の画家たちの作品と日本美術の対比。
・アメリカを代表するジャポニズム作家の名品。
・絵画、版画、祖廟、写真、工芸など、ボストン美術館の名品150点。
・モネの初期作品から晩年の作品まで、ジャポニスムの変遷をたどる。


ジャポニスムとは、日本趣味(ジャポネズリー)にはじまって革新へ
と深化する「西洋における日本美術の影響」のことを言うのだそう。

ジャポニスムとひとくちに言ってもその表現はさまざま。
明らかに浮世絵を模写したものから、構図を真似たもの、配色が類似
しているもの、モチーフやシチュエーションを参考にしたものなど。
中にはその対比はちょっと強引すぎるんじゃないの?(笑)と思って
しまうものも・・・。

興味深かったのは、「自然」がモチーフになった工芸品。
1点だけ出品されていたエミール・ガレを出すまでもなく、今ではすっ
かり西洋のデザインだと思っているものも、もとをたどると日本美術の
影響を受けたものだったり。自然観察に秀でた日本美術ならではのデザ
インや技法をあらためて見直す機会にもなった。



今回のポスターやフライヤーに使われている「ラ・ジャポネーズ」から
睡蓮へ。モネの作品の変遷がやはり面白い。
日本趣味の作品「ラ・ジャポネーズ」。モデルは夫人のカミーユ。
背景に団扇がいっぱい飛ぶわ、金髪の女性が纏った刺繍の打掛には武者
が描かれているわ。日本人がゼッタイに描かない妙チクリンな絵。
だけど色鮮やかで、なんとも気になる作品ではある。着物のモチーフと
なっているのは謡曲の「紅葉狩」と書かれていた。モネは浮世絵コレク
ターでもあったそうなので、むしろ歌舞伎の「紅葉狩」の役者絵から
とったものならよくわかる気がする。こちらを向いて微笑んでいるのは
更科姫実は鬼女で、武者は平維茂。着物を纏うだけでその関係になる。
モネの遊び心と敬意が感じられる作品だ。
検索してみて、この絵の構図とよく似た役者絵があった。
この絵の延長上に、あの素晴しい睡蓮の絵が生み出されようとは!
自宅の庭に日本風の太鼓橋や、睡蓮の池まで造ってしまったモネ。
季節を変え、時間を変え、ひたすら描き続けた睡蓮の絵の一部でも見る
ことができたのはよかった。大山崎山荘美術館で見た睡蓮の絵とはまた
違った色彩だった。
モネの睡蓮に惹かれるのはそれがジャポニスムだからではなく、自然の
風景を描きながらも深い何かを感じさせるものがあるから。
そんな画家が日本美術の影響を受け、ほんの一時期に咲かせた花が
「ラ・ジャポネーズ」だったのだと思う。

ジャポニスムの検証。たしかに興味深い切り口ではあるけれど、絵の見方
が限定されてしまわないようにしないと。
そういう意味ではジャポニスムの画家ひとりに焦点をあて、その変遷を
たどることができる京都国立近代美術館の「ホイッスラー」展も併せて
見たほうがよかったかも。道を挟んでお向かいで開催中。


>>「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム」展のオフィシャルサイト

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鳥獣戯画、解説映像だけ~京都国立博物館。

2014-10-15 | ミュージアム・企画展
台風が関西に上陸する前日。京都の博物館と美術館に行った。



まずは京都国立博物館の「国宝鳥獣戯画と高山寺」展。

着いてビックリ!ナント、入場まで90分待ち。
なんとか館内に入れても鳥獣戯画:甲巻のある中央展示室までは80分待ち
ですと!ふうう~。



大絵巻展(「源氏物語絵巻」「鳥獣戯画」など一堂公開)のときの長蛇
の列を思い出した。恐るべし、鳥獣戯画、なのだ。
もしかしたら13日に上陸予報の出ていた台風19号の影響かも。3日間分
の入場者が2日間に集中したのか。
※実際、13日(月・祝)は全館臨時休館になったようだ。



特別展を開催中の明治古都館からスゴスゴ撤退。
とりあえず、常設展示の平成維新館へ。
京博パスポートを持っているのでこっちの施設へはいつでも入場可。
「京へのいざない」は9月にひととおり観てじゅうぶん堪能したので、
その時見なかった雪舟「天橋立図」の解説映像をみることに・・・。
ところが、すでに上映内容は特別展の「鳥獣戯画」に変わっていた。
しかも上映時間38分というのはスゴイ。

これがよかった♪
「鳥獣戯画」甲乙丙丁4巻全部の中身がハイビジョンで見られるのだ。
映像なのにと~っても楽しくて、顔がほころぶのが自分でもわかった。
絵巻をスルスルッと開けながら見ていくような感じ。
まず、ワンシークエンスごとに全体を先に見通した後、元に戻って
動物たちの表情や動きを逐一アップで見せてくれる。
蛙、兎、猿が登場するのは「甲」巻。最も有名な巻だ。
その甲巻には狐や鳥、猫も登場し、見事にぜんぶが擬人化されていた。
丁巻になると擬人ではなく。人間そのものが風刺的に描かれている。
全く知らなかったことばかり。
(ただ、上映中はスクリーン上部に照明器具のシルエットがくっきり
投影され、作品を部分的に隠してしまうのが残念だった。前方の照明
器具は取り外してほしい~~~。)

というワケで、次回は必ず本物の鳥獣戯画を見る!
それと、現地を訪れても非公開だったり、よくわからなかったりする
高山寺の資料もみてみたい。


↑ この写真は9月23日「京へのいざない」を観に来た時に撮ったもの。
この日はいいお天気だったのにね。

~京都市美術館編につづく。
>> 「国宝鳥獣戯画と高山寺」展のオフィシャルサイトはこちら。
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承天閣美術館「伊藤若冲名宝展」と境内散策。

2014-09-29 | ミュージアム・企画展
9月6日、この日も雨だった。

若冲作の鹿苑寺大書院旧障壁画。
今回は常設以外の襖絵も初めてまとまった形で見ることができた。
これらは若冲が無名時代に手がけた仕事で、自分の精神的支えであった
相國寺の大典禅師のために描いたもの。キャリアわずか4年の画家に
重要な部屋の50面の障壁画をまかせた大典禅師という人の眼力も凄い。



大書院のレイアウトを確認しながら、どんな空間になっているのかを
想像して、絵を見てゆく作業は楽しかった。
>> 配置図はコチラ
葡萄小禽図の小鳥と呼応するように描かれた、葡萄図のもう一羽の鳥。
あるいは、ほとんど下部にしか絵のない襖も、部屋全体で見ると意味
のある余白になっていたり。

障壁画のうち「月夜芭蕉図床貼付」は常設になっている。
最初に見たとき、風を感じ、芭蕉の葉ずれの音まで聴こえた気がした
のに、今回その絵の前でじっと立ち止まって見てもいっこうに音が
聴こえない。むしろ月の光に照らされてひじょうに穏やかだった。
もう自分は無感動になってしまったのだろうかと心配していたら、
今回つけられていた解説文を読んで、むしろ静かな絵なのだと思った。
芭蕉は人間にたとえることができ、月光は仏様の慈悲や智慧を表した
ものであるという。つまり、ひじょうに宗教的な絵だった。
前に見たときは大勢の見物客がいて混雑と熱気の中で苦労して見た
ので心がザワザワしたのかもしれない。
同じ絵でも環境、自分の気持ち次第で印象が変わることを再認識!
大典禅師の影響を受け、宗教的な視点で描かれた絵は他にもあり、
二羽の鶴が「阿吽の鶴」になっていたのが特に印象的。



障壁画以外には、釈迦如来像・文殊菩薩像・普賢菩薩像、芦雁図、
鳥図、芭蕉小禽図、菊虫図、菊花図、立鶴図、伏見人形遊女と布袋、
亀図ほか。鳳凰石竹図(林良)を模写したという鳳凰図もあり、二つ
の絵が並んで展示されていた。

前回の若冲展は動植綵絵(宮内庁所蔵)と釈迦如来像・文殊菩薩像、
普賢菩薩像が再会、一堂に会するという話題性で大行列だったが、
今回は動植綵絵がなく、待たされることもなくゆったり見られた。
若冲のあと、相國寺の法堂は前に拝観させてもらったので、小雨の
なか境内を隅々までゆっくり散策。



「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」に行きました(このブログ内の関連記事)
相国寺の『若冲展 』に行ってきました(このブログ内の関連記事)
若冲ゆかりの石峰寺へ(このブログ内の関連記事)
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「南山城の古寺巡礼」京都国立博物館

2014-05-18 | ミュージアム・企画展
4月26日、展観が始まってすぐの週末に京都に行った。
博物館ではあるけれど私にとっては古寺拝観・散策のつづき。
去年と一昨年、こつこつと地道に足を運んで拝観した魅惑の仏さまたち
に再会できるのだから胸がキュンキュンした。
拝観して回っている間に、京博にはうちも出展が決まってるからと、事前
に情報をいただいたり、仮チラシを持ち帰ったりしたお寺も幾つかある。
私の場合、併行して読んだ白洲正子さんの本が、さらに拍車をかけたこと
もあって、出展されたものを見ながら、逆に現地の風景やお寺の情景が
浮かんでくるのは至福のひとときだった。





京都府南部の木津川流域。所番地は京都府だけどいわゆる京都じゃない。
奈良と縁が深かったりする。
しかもこの地域の寺院は点在(散在)しているうえに、公開期間が限定
されたり、事前予約が必要だったりするところがほとんど。
あ~あ、いっそ全部まとめて見られたらいいのに~!
と誰かがつぶやいたのかどうか(笑)。
というワケで「南山城の古寺巡礼」は仏像大好きな皆の一致した熱い想い
が叶えられた夢のような企画だ、と思う。

>> 「南山城の古寺巡礼」公式サイト




一番ボリュームがあったのは海住山寺。
五重塔の中に入れるのは現地じゃないとだめだし、車でも徒歩でも大変
なあのアプローチがあってこそのお寺だと思うけれど、何度見てもいい
ものはいいし、特別拝観期間でも見られないものも幾つかあった。
とりわけ現光寺の観音さまは、海住山寺の住職さんに事前にお願いして
特別に見せてもらわないといけない貴重なもの。
去年は便乗させて頂いたうえ、写真まで購入してしまったけれど、あ
の美しいお姿にこうして再会できるのは本当にありがたい。

笠置寺は、巨大な磨崖仏はもちろん写真だけ。
現地では扉を閉ざした毘沙門堂の前で手を合わせた、その毘沙門天さま
に博物館で会えるとは思わなかった~。
笠置寺は東大寺のお水取り発祥の地。実忠による行法感得のことを描い
た笠置寺縁起絵巻は重要な資料。

浄瑠璃寺と岩船寺のある「当尾の里」も南山城だそうで。
浄瑠璃寺の多聞天(毘沙門天)はずっと東京に出張の身なので、今回の
展示でようやく拝見できた。形といい、表情、彩色、どれをとっても
素晴しい。さすが国宝。足元の邪鬼がなんともいえない表情で笑ってし
まう。てことは、この邪鬼も国宝なのだ!
九体阿弥陀堂と九体仏は、さすがに現地じゃないとねー。
岩船寺からは普賢菩薩騎象像。この象の笑った顔が好き。
10世紀の基準仏と言われる大きな阿弥陀如来坐像は出展されていません。
ここはあじさいのきれいな季節に行ってよかった。

ポスターにもなっている禅定寺の観音さまはやっぱり大きかった。が、
博物館という容れ物に合わせて一段高いところにおられる。
思うに、こちらの観音さまのよさはやはり坂を登った先にある参道を歩
いて山門をくぐり、こんな奥にこんなほとけさまが~!とビックリした後、
その観音さまと真近でご対面できるという、あの接近感、安心感が嬉し
いのじゃないだろうか。あのニマニマした気持ちは忘れられない。

また、観音寺からも国宝である十一面観音菩薩さまはこられていないよう
で写真だけだった。東大寺に縁の深い重要なお寺。こちらもきっと遠い
道のりを訪ねておいでということなのだ。出展は不動明王二童子像の画。

寿宝寺の千手観音さまは、さすがでございます。きれいに手をひろげた
あの独特のかたち。
現地では照明の切り替えによって昼と夜の顔の違いを見せていただける。
博物館で見られるのは伏し目がちで優しい夜の表情のほう。昼の顔は目
が開いて唇もより赤く見える。他にお寺では見られなかった聖徳太子像
がみられる。

蟹満寺からは、国宝の大きな釈迦如来坐像はさすがにむりだったようで。
でも、平安時代の阿弥陀如来坐像が!蟹伝説のお寺・・・。

一番驚いたのは、神童寺の日光・月光の両菩薩さま。愛染明王坐像も。
どれも修復前の状態で拝観していたので、修復後の姿を見てまさにヘン
シン!だと思った。修復というのはこういう仕事のことなのか。
いずれも重要文化財なのだった。
この展覧会を機にきちんとした方法で修復が進むのも、展覧会の大きな
意義だと思う。修復前と後の両方を見られたことがラッキー。

一休寺といわれる酬恩庵については広いスペースが当てられていた。
私はほとんど知識がないので、TVや本でお見かけする肖像画の本物が
見られてよかった。

今回初めて見たお地蔵さまがあった。次はぜひ現地で、お寺のお堂で拝観
してみたい。白洲正子さんもそんなふうにされていた。
一番いいのは現地で地形・環境を見たうえで、博物館ならではの展示方法
で客観的に冷静に見ることかな。
今回はその両方ができてワタシ的に満足度の高い企画展だった。

●6月15日(日)まで。


●このブログ内の関連記事
浄瑠璃寺の九体阿弥陀仏に逢いにゆく。(2009年)
岩船寺の睡蓮とあじさいと白い象♪(2009年)
社寺・周辺散策メモ(4)2012年
社寺・周辺散策メモ(6)2013年後半(更新中)

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ポンビドゥー・センター・コレクション「フルーツ・オブ・ パッション」

2014-01-20 | ミュージアム・企画展
日曜日。雪や!山に登ろう。
・・・のはずが、連日の深夜帰宅のせいか朝起きられなかった。
しかも咳が出て喉の具合もオカシイ。
もう歳なんやし、ここは内なる声にしたがってカラダを休めよう。

というわけで、昨年から楽しみにしていたポンビドゥーセンター展
に早々と行ってきた。
初めてポンビドゥーセンターに行ったのは、もう30年近く前。まだ
新しさを感じる建物内でたまたま開催中だったのがジャン・ティン
ゲリーの作品展で、それが素晴しくてものすごく衝撃的だった。





「ポンビドゥー・センター・コレクション フルーツ・オブ・
パッション」 1月18日~3月23日 兵庫県立美術館
(似ているけれどパッションフルーツとはまったく無関係。)

今回はポンビドゥーセンター国立近代美術館のここ10年の最新コレ
クション、25作家による31点の作品を展示。
入り口付近にイントロダクションとして現代美術の巨匠6人の作品が
あり、奥に進むと「フルーツ・オブ・パッション」として、いま
まさに果実の香りを放っている19人の作家たちの作品に会える。
内容は絵画、彫刻、映像、インスタレーションなど実にさまざま。



印象に残ったのは、マグナス・フォン・プレッセンの「階段」の色。
ステップ部分が本当の板のようにも見えたりした。
ジェイソン・ローズの「ボーブールの雌猫」は独特の世界観。垂れ下
がった赤の電気コードや、女性を意味する幾つかの隠語(フランス語)
のネオンを組み合わせて大きなシャンデリア状に。フランス語がわか
り、レアール周辺の土地勘があればもっといろいろ気づいたかも。

レアンドロ・エルリッヒの「眺め」は12台のモニターを使ったインス
タレーションでブエノス・アイレスのアパートを表し、窓の向かいに
あるアパートの住人たちの部屋を覗き見している感じ。ダンス、筋ト
レ、パーティーなどが各部屋(モニター)で同時進行する。
これと同じシチュエーションをパリのプチホテルで体験したことがあ
り、共感できた。ヒッチコックの映画「裏窓」みたいな!

ジャナイナ・チェッペの「血液、海」では三面に広がる海の映像にみ
るみる引き込まれていく。衣装を着たり何かに絡みついて海中に浮遊
する人物(作家本人?)をさまざまなアングルから撮影した不思議な
世界で、ゆめゆめダイバー映像ならず。羊水感を呼び覚すかなり感覚
的な世界に浸らせてくれる。

ハンス=ペーター・フェルドマンの「影絵芝居」。手前の小さな現物は
作家のコレクション。さまざまな人形だったり、オブジェ、飾り、調
理道具にいたるまで。それらを回転させながら光を当てて背景の影絵を
楽しむ。現物では船長(人形)、妖精、玩具のピストル、塔、泡立て器
といった異ジャンルの雑多なモノがいっしょくたに並べられているけれ
ど、影絵では見事なハーモニーになる。
個人的な体験として、平成中村座の芝居小屋で見た勘三郎さんを思い
出した。あれは面灯りに照らされた役者の顔と、後ろに大きく投影される
影絵の共演。影絵に登場人物の心の闇を見たようで面白かったなー。

一番最後が、今回のポスターに使われている作品。
エルネスト・ネトの「私たちはあの時ちょうどここで立ち止まった」。
たしかにギョッとして、エッと思って立ち止まる作品だよ。
ちょっと乳牛のオッパイを思い起こしてしまうんですけど~~~(笑)。
たくさん足のある生き物にもみえるんですけど~~~(笑)。
塊を入れて垂れ下がったネット。塊の正体はネタバレ(?)になるけ
どいいかなあ~。クローブ、ウコン、胡椒ですと!
なので、それらが入り交じったニオイ、特にクローブのすっぱいような
匂いが空中浮遊しててなかなか楽しいのである。
ウンウン、記憶ってニオイとともにしまいこまれているものだからね。
人の記憶のアリバイのありかを表現したもの、ってカンジかな。

「フルーツ・オブ・パッション」の図録1500円。
ポンビドゥーセンターのめぼしいグッズはあまりなかったような・・・。
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アメリカン・ポップ・アート展 in 国立新美術館

2013-10-04 | ミュージアム・企画展



1カ月前に国立新美術館で見た展覧会をいまごろ。
ジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻のコレクションはとても
見応えがあった。夫妻とアメリカンポップアートの作家たちとの
強い結びつきが感じられるステキな作品展だと思った。

ポップ・アートといえば、その語感だけでポップなアート・・・
つまりカル~く軽快に表現されたもの、という印象があったのだ
けれど、これだけまとまった形でみると時代の特異性を感じるし、
作品展そのものはものすごい力と重みを持っている。
戦後、豊かなアメリカに押し寄せた大量生産の波。そんな時代に
生まれたアートの数々。

内容としてはロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョー
ンズに始まり、アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタイン、
クレス・オルデンバーグ、ジェイムズ・ローゼンクイスト、トム・
ウェッセルマンらの代表作品になる。



歴史的意義はともかく、個人的にとても惹かれたのは、クレス・
オルデンバーグの立体的な作品。
「銀色のアイスクリームのミュール」すてきっ、サイコー!
「ねじれた配水管(青)」では色づけされた針金の文字が
宮沢賢治の『蠕虫舞手(アンネリダ タンツエーリン)』を連想
させ、一人喜々としてしまった。好きなものどうしがリンクする
のは楽しい。

アンディ・ウォーホルはいわずもがな。
我が家には以前、ウォーホルによるイングリッド・バーグマンの
のポスターがあり、キャンベルスープ缶の作品にしても雑誌や本
でよく見ていたので、見慣れた風景のつもりで観に行ったのに、
今回初めてナマで見て圧倒されてしまった。
ボリューム的にも、作品の大きさ的にも、その質感にも。

「電気椅子」はTV番組でも見ていたのに、1枚で見るのと複数で
構成されたまとまりとして見るのとでは全く違うものだった。
左側の大きな1枚は斜めアングルの椅子が1個。右側には小さめの
9枚の電気椅子、9枚は同じアングルの色違い。10点組の作品だ。
9枚を1枚ずつ、順に視点を移して見ていくと、まるでフラッシュ
がたかれたようにパッパッと色の反転が繰り返されるのが見えた。
最後の1枚には、仕事を終えてグッタリした椅子が真っ暗な部屋
で存在を消すようにそこにいた。ショックだった。もう一度左側
の1枚を見ると、それは使用前の電気椅子に見えた。
色違いの反復で有名なマリリン・モンローの絵も10点組で、視点
を動かしているうちに、セクシーなホクロが涙粒に見えたりした。
「花」と題された10点組の作品は、シルクスクリーンに手彩色が
ほどこされているのにビックリ。それはおそらく、絵画によって
生け花を試みたのでは?と思えるような作品だった。

日本初上陸で今回の目玉になっているのが、200個のキャンベル・
スープ缶。デカかった。目を近づけると缶を拡大でみることにな
るので、缶の素材名が一律ではないことがよく見えたし、文字の
かすれ方まで見えた。
缶も、有名人の顔も、電気椅子も、単純な反復に見えるけれど、
間近で本物を見るといろんな見方、感じ方ができて面白い。

ほかの作家の作品もいろいろ楽しめた。
観劇前だったけれど、行っておいて本当によかったと思う。
記念にアンディ・ウォーホルのモチーフのバッグを買った。

「アメリカン・ポップ・アート展」は10月21日まで。
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高田喜佐 ザ・シューズ展

2013-06-23 | ミュージアム・企画展
エントランスに置かれた靴の幾つかに見覚えがあった。
おしゃれで可愛いズック靴・・・。
実際、自分が履いていたデザインそのものや、色違いの靴をそ
の中に見つけ、すご~く懐かしかった。
これらはKISSAというブランドで送り出され、たぶん量産されて
いた時代のものだと思う。

2006年に亡くなったシューズ・デザイナー高田喜佐さんのクリ
エーションの軌跡をたどる展観。
「高田喜佐 ザ・シューズ展 靴のファンタジーを追い続けた
41年の軌跡」。神戸ファッション美術館にて。



さらに奥に進むと、フライヤーに掲載のカラフツなブーツをは
じめ、膨大な数の靴が点々点々・・・・・・・・と並べ置かれ、
そのバリエーションの豊かさ、色使い、可愛さ、緻密さ、大胆
さに高田さんが靴作りに費やした時間や想いが一挙に迫ってき
て、いまなお失せてはいないエネルギーを感じてしまった。
まだ終わらない♪ って歌のフレーズが出そうになる。

ズック靴、革の靴、エナメル、キンキラ・・・。
迷彩柄の地下足袋シューズなんて、マルタンマルジェラの足袋
ブーツよりもずっと前にあったのね~。
そんななか、いまの私の目を釘付けにしたのが、草履サンダル。
種類はいろいろあって、パッと見は和風なんだけどヒールがあ
るから洋っぽくて。色は深みある配色だったりドット柄だったり。
サンダル風でカジュアルなのに、よく見るとソールが二層、三層
になっていて、普通の着物の草履としてじゅうぶん履けるカンジ。
この草履サンダル、いま売れそうだと思うけどな~。

高田喜佐さんの靴は、身近にありそうなのに全く今までになかっ
た靴、そういうラインだと思う。一見、履きやすそうなオシャレ
で可愛い靴は実は現場泣かせだったようだ。
デザインを実際に形にしていた工場やメーカーの人にとっては、
ことごとく常識、セオリーに反するものだったらしい。それでも
喧嘩しながらもいい仕事がしたい、採算が合わなくても勉強がで
きるならそれでいいと思う職人たちとデザイナーの幸せな関係。

当時の宣伝ポスターも展示されていた。
アートディレクターは石岡瑛子さん、写真は繰上和美さん。靴を
靴として撮っていないのに世界観がきちんと伝わる仕事だ。

靴のデザインも、その宣伝も、媚びてなくてのびのびしている。
たとえそれが裏側で命を削るような仕事であったとしても。
ネットや携帯がここまで生活に入り込んでいない時代、自己表現
といえばファッションが最大の手段だった頃のクリエイションの
力をひととき垣間みた思い。

その数時間後、ストイックさをデザインコンセプトにしたような
靴屋さんの前を通りかかり、一瞬食指が動いた自分にダメ出しを
した。もっと夢のあるものを買おうよねっ!

「高田喜佐 ザ・シューズ展」は7月2日まで。
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