扇状地の最下流にある扇端集落は、地下水が湧き出るので、古くから集落ができていた。1000年あるいは2000年の歴史はある。洪水は少ないし、田畑は近いし、住み心地は快適である。だからこそ、扇端集落には長い歴史が存在するのである。
扇端集落は歴史的に完成された人間関係ができあがっていて、新参者がそのネットワークに割り込むのは容易ではない。不当な侵略者とみなすような目で、新参者を見るのである。
一般論として、扇状地の扇端集落は住みよいが、新参者に与えられる住宅は扇端集落の中では、最悪の部類に属する。滅多にはないことだが、わき水の濁ったり枯れたりするのは、一番早いが、これは程度問題だから、我慢しなくてはならない。冠婚葬祭の座席は最も末席で、冬は戸のすき間から粉雪が入り込んで寒い。夏は高温多湿の水蒸気のような熱風が溜まる席であり、失神するほど暑い。それでいて、祝儀・不祝儀・寄付金の類は、集落最高額を要求される。
地下水が湧き出るが、無尽蔵ではない。電動強力ポンプで汲み上げると、隣家のわき水が枯れることがある。起源不明の古い集落のままであれば、それなりの生活は成り立つ。しかし、狭い道に自動車が増えれば、危険であるし、騒音もバカにならない。
新しい生活の拠点を、扇端に求める余地はないが、あったとしても、わき水が多すぎて湿地帯に住むことになり、大きな災害は少ないとしても、快適な生活にはならない。
つまり、今さら扇端集落に住居を求め、新しい生活を送ろうと考えることが無理なのである。
百瀬川は琵琶湖北西部の小河川だが、砂礫運搬量が多く、扇型の美しい扇状地をつくった。その扇端にある集落は、近代までは日本海と京都とを結ぶ街道にあり、美しい家屋が並んでいる。しかし、融雪装置をつくって冬の交通を確保したとしても、道は狭く、現代の自動車社会には不適当な集落である。新しい住宅は、扇端から扇央に移りつつある。
扇端集落は歴史的に完成された人間関係ができあがっていて、新参者がそのネットワークに割り込むのは容易ではない。不当な侵略者とみなすような目で、新参者を見るのである。
一般論として、扇状地の扇端集落は住みよいが、新参者に与えられる住宅は扇端集落の中では、最悪の部類に属する。滅多にはないことだが、わき水の濁ったり枯れたりするのは、一番早いが、これは程度問題だから、我慢しなくてはならない。冠婚葬祭の座席は最も末席で、冬は戸のすき間から粉雪が入り込んで寒い。夏は高温多湿の水蒸気のような熱風が溜まる席であり、失神するほど暑い。それでいて、祝儀・不祝儀・寄付金の類は、集落最高額を要求される。
地下水が湧き出るが、無尽蔵ではない。電動強力ポンプで汲み上げると、隣家のわき水が枯れることがある。起源不明の古い集落のままであれば、それなりの生活は成り立つ。しかし、狭い道に自動車が増えれば、危険であるし、騒音もバカにならない。
新しい生活の拠点を、扇端に求める余地はないが、あったとしても、わき水が多すぎて湿地帯に住むことになり、大きな災害は少ないとしても、快適な生活にはならない。
つまり、今さら扇端集落に住居を求め、新しい生活を送ろうと考えることが無理なのである。
百瀬川は琵琶湖北西部の小河川だが、砂礫運搬量が多く、扇型の美しい扇状地をつくった。その扇端にある集落は、近代までは日本海と京都とを結ぶ街道にあり、美しい家屋が並んでいる。しかし、融雪装置をつくって冬の交通を確保したとしても、道は狭く、現代の自動車社会には不適当な集落である。新しい住宅は、扇端から扇央に移りつつある。