地理講義   

容量限界のため別ブログ「地理総合」に続く。https://blog.goo.ne.jp/morinoizumi777

240.佐沼の遠見遮断 宮城県登米市迫町佐沼

2017年01月18日 | 地理講義

城下町
城下町の街路には防衛目的で遠見遮断としての枡形・鍵型が見られる。防衛の対象となる敵とは、隣接諸藩や百姓一揆、あるいは夜盗などであったろう。しかし、遠見遮断が有効な防衛手段かどうか疑わしい。むしろ、遠見遮断によって敵の発見が遅れ、不利な状況に陥ることもある。
宮城県登米市迫町佐沼は城下町であった。近郷の農村の中心地としての商業都市でもある。仙北鉄道廃止(昭和46年)とともに市街地道路網の整備が進み、鍵形・枡形の遠見遮断は少なくなった。

遠見遮断(枡形) 
津島神社交差点(標高点9m)で枡形街路の遠見遮断になっている。佐沼大通りから南下する道は津島神社正面になり、南は津島神社に遮られて見通しがきかない。
逆に、南から津島神社交差点に向かう場合、交差点の北は見えず、佐沼城への視界は遮られ、遠見遮断になっている。また登米~古川の県道1号線から佐沼城に向かう道は、津島神社で直角に曲がっている。津島神社は城が一揆、敵軍、群盗に襲撃される事態に備える遠見遮断である。


佐沼城から南に向かうと、緩いカーブをしつつ津島神社の正面鳥居に達する。米山への道は津島神社を避けるように曲がりながら南へ通る。津島神社は佐沼城を守る遠見遮断の役割を果たしている。また、津島神社が門前の大通りを、日常とは異質な宗教的空間としている。

これを反対方向、つまり津島神社から宗教的空間を見ると、昭和の高度成長期に作られた街路灯の商店街を見ることができる。

しかしながら、津島神社横の道路(米山)からは、大通りの古い市街地は見えない。遠見遮断になっている。米山方面から来ると、カドチョーの向こう側の大通りには見知らぬ空間が存在することになる。

 津島神社門前つまり大通りの津島神社北側の間が霊的空間である。津島神社そのものが城下町の防衛拠点になるとともに、形成された霊的空間が安寧秩序の維持された地域となる。津島神社の枡形は単なる遠見遮断以上の、平和的空間を作り出す能力がある。

 津島神社の斜め向かいにある総合衣料品店カドチョーは、枡形の道路改修にともない建物のカドを削ったものの、津島神社の補完的役割を果たしている。

 津島神社境内から大通り方向を見ると、直線道路が神社前で左に曲がっていることが分かる。

 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。