地理講義   

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16.日本の米 食糧管理特別会計法(全文)

2011年01月02日 | 地理講義
食糧管理特別会計法

(大正十年四月四日法律第三十七号)
【改正履歴等一覧】最終改正年月日:平成一八年六月二一日法律第八九号

第一条
 食糧ノ需給及価格ノ安定ノ為ニスル食糧及飼料需給安定法(昭和二十七年法律第三百五十六号)第三条ニ規定スル飼料需給計画ニ基キ政府ノ買入ルル輸入飼料(以下輸入飼料ト謂フ)ノ買入、売渡、交換、貸付、交付、加工、製造及貯蔵並米穀等及麦等ノ輸入ニ係ル納付金ノ受入ニ関スル一切ノ歳入歳出ハ之ヲ一般会計ト区分シ特別会計ヲ設置ス

第一条ノ二
 本会計ハ之ヲ国内米管理勘定、国内麦管理勘定及輸入食糧管理勘定(以下食糧管理勘定ト謂フ)並輸入飼料勘定、業務勘定及調整勘定ニ区分ス

第二条
 本会計ニ於テ食糧及輸入飼料ノ買入代金以外ノ経費ヲ支弁スル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ借入ヲ為スコトヲ得

第三条
 本会計ニ於テ食糧及輸入飼料ノ買入代金ノ財源ニ充ツル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ一年内ニ償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ為スコトヲ得
○2本会計ニ於テ食糧、農産物等及輸入飼料ノ買入代金ノ支払上一時現金ニ不足アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ当該年度内ニ償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ一時借入ヲ為スコトヲ得

第四条
 前条第一項ノ規定ニ依リ発行スル証券又ハ借入ルル借入金ノ借換ノ為政府ハ一年内ニ償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ為スコトヲ得其ノ借換ニ付亦同シ
○2前項ノ規定ハ前条第二項ノ規定ニ依リ発行スル証券又ハ借入ルル一時借入金ノ借換ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ前項ノ規定中一年内トアルハ当該年度内トス

第四条ノ二
 本会計ノ負担ニ属スル証券、借入金及一時借入金ノ限度額ニ付テハ予算ヲ以テ国会ノ議決ヲ経ベシ

第四条ノ三
 政府ハ食糧及輸入飼料ノ買入代金ノ支払ニ付其ノ事務ノ一部ヲ銀行(日本銀行ヲ除ク)、農林中央金庫又ハ農業協同組合ニ委託スルコトヲ得
○2政府ハ日本銀行又ハ農林中央金庫ニ対シ食糧、農産物等及輸入飼料ノ買入代金ノ支払ニ必要ナル資金ヲ交付スルコトヲ得
○3農林中央金庫ハ農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第五十五条ノ規定ニ拘ラス食糧、農産物等及輸入飼料ノ買入代金ノ支払ニ関スル事務ヲ行フコトヲ得

第五条
 本会計ノ負担ニ属スル証券(第三条第二項及第四条第二項ノ規定ニ依リ発行スル証券ヲ除ク)及借入金ノ償還金、証券、借入金及一時借入金ノ利子並証券ノ発行及償還ニ関スル諸費ノ支出ニ必要ナル金額ハ毎年度国債整理基金特別会計ニ之ヲ繰入ルヘシ

第六条
 食糧管理勘定ニ於テハ夫々国内産米穀(其ノ製品ヲ含ム)、国内産麦及此等以外ノ国内産主要食糧並輸入ニ係ル主要食糧ノ売渡代金、米穀等及麦等(飼料用ヲ除ク)ノ輸入ニ係ル納付金、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第十七条第二項ノ規定ニ依ル償還金、調整勘定ヨリノ受入金其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ此等ノ買入代金並買入、売渡、交換、貸付、交付、加工、製造、貯蔵及運搬ニ関スル諸費、同条第一項ノ規定ニ依ル米穀安定供給確保支援機構ニ対スル貸付金、業務勘定及調整勘定ヘノ繰入金其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
○2 前項ニ定ムルモノノ外国内米管理勘定ニ於テハ輸入食糧管理勘定ヨリノ受入金ヲ以テ其ノ歳入トシ輸入食糧管理勘定ニ於テハ国内米管理勘定ヘノ繰入金ヲ以テ其ノ歳出トス
○3 前項ノ国内米管理勘定ヘノ繰入金ハ同勘定ニ於ケル備蓄ニ係ル損失ヲ補填スル為輸入食糧管理勘定ニ於ケル輸入ニ係ル米穀等ノ売買ニ因リ生ズル利益ノ額及米穀等ノ輸入ニ係ル納付金ノ額ヲ合計シタル額(輸入ニ係ル米穀等ノ売買ニ因リ損失アルトキハ米穀等ノ輸入ニ係ル納付金ノ額ヨリ其ノ損失ノ額ヲ控除シタル額)ヲ国内米管理勘定ニ於ケル備蓄ニ係ル損失ノ額ヲ限度トシテ予算ノ定ムル所ニ依リ輸入食糧管理勘定ヨリ之ヲ繰入ルルモノトス

第六条ノ二
 輸入飼料勘定ニ於テハ輸入飼料ノ売渡代金、麦等(飼料用ニ限ル)ノ輸入ニ係ル納付金、調整勘定ヨリノ受入金、一般会計ヨリノ受入金其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ輸入飼料ノ買入代金、輸入飼料ノ買入、売渡及交換ニ関スル諸費、業務勘定及調整勘定ヘノ繰入金其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
○2前項ノ一般会計ヨリノ受入金ハ予算ノ定ムル所ニ依リ輸入飼料勘定ニ生ズル損失ヲ補填スル為一般会計ヨリ之ヲ繰入ルルモノトス

第六条ノ三
 業務勘定ニ於テハ食糧管理勘定、輸入飼料勘定及調整勘定ヨリノ受入金其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ本会計ノ事務取扱及施設運営ニ関スル諸費、調整勘定ヘノ繰入金其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス

第六条ノ四
 第六条ノ五第一項ノ一般会計ヨリノ受入金ニ相当スル金額及第八条ノ三ノ規定ニ依ル組入金ニ相当スル金額ヲ以テ調整勘定ノ資金(以下調整資金ト謂フ)トス

第六条ノ五
 調整勘定ニ於テハ一般会計ヨリノ受入金、証券(第三条第二項及第四条第二項ノ規定ニ依リ発行スル証券ヲ除ク)ノ発行収入金、借入金並食糧管理勘定、輸入飼料勘定及業務勘定(以下本条ニ於テ他勘定ト謂フ)ヨリノ受入金其ノ他附属雑収入ヲ以テ其ノ歳入トシ他勘定ヘノ繰入金、証券(第三条第二項及第四条第二項ノ規定ニ依リ発行スル証券ヲ除ク)及借入金ノ償還金並証券、借入金及一時借入金ノ利子其ノ他附属諸費ヲ以テ其ノ歳出トス
○2前項ノ一般会計ヨリノ受入金ハ予算ノ定ムル所ニ依リ調整資金ニ充ツル為一般会計ヨリ之ヲ繰入ルルモノトス
○3第一項ノ他勘定ヘノ繰入金ハ当該勘定ニ於ケル経費ノ財源トシテ調整勘定ヨリ之ヲ繰入レ又ハ調整勘定ニ於ケル経費ノ財源トシテ他勘定ヨリ繰入レタル受入金ノ返還金ニ係ルモノトシテ調整勘定ヨリ之ヲ繰入ルルモノトシ同項ノ他勘定ヨリノ受入金ハ調整勘定ヨリ他勘定ヘ繰入レタル繰入金ノ返還金ニ係ルモノトシテ当該勘定ヨリ之ヲ受入レ又ハ調整勘定ニ於ケル経費ノ財源トシテ他勘定ヨリ之ヲ受入ルルモノトス

第六条ノ六
 農林水産大臣ハ毎年度本会計ノ歳入歳出予定計算書及国庫債務負担行為要求書ヲ作製シ之ヲ財務大臣ニ送付スヘシ

第六条ノ七
 本会計ノ歳入歳出予算ハ歳入ニ在リテハ其ノ性質ニ従ヒ之ヲ款及項ニ区分シ歳出ニ在リテハ其ノ目的ニ従ヒ之ヲ項ニ区分ス

第六条ノ八
 内閣ハ毎年度本会計ノ予算ヲ作成シ一般会計ノ予算ト共ニ之ヲ国会ニ提出スヘシ
○2前項ノ予算ニハ左ノ書類ヲ添附スヘシ
一 歳入歳出予定計算書及国庫債務負担行為要求書
二 前前年度ノ各勘定ノ損益計算書、貸借対照表及財産目録
三 前年度及当該年度ノ各勘定ノ予定損益計算書及予定貸借対照表
四 国庫債務負担行為ニシテ翌年度以降ニ亘ルモノニ付キ前年度迄ノ支出額及支出額ノ見込並当該年度以降ノ支出予定額

第六条ノ九
 食糧及輸入飼料ノ買入数量ノ増加其ノ他避クベカラザル事由ニ因リ生ジタル予算ノ不足ヲ補フ為歳出予算ニ予備費ヲ設クルコトヲ得

第七条
 本会計ノ各勘定ニ於テ支払上余裕アルトキハ財政融資資金ニ之ヲ預託スルコトヲ得

第八条
 本会計ノ各勘定ノ決算上剰余アルトキハ当該各勘定ノ翌年度ノ歳入ニ之ヲ繰入ルヘシ

第八条ノ二
 食糧管理勘定ニ於ケル毎年度ノ損益計算上ノ利益又ハ損失ハ之ヲ調整勘定ニ移シ整理スベシ
○2業務勘定ニ於ケル毎年度ノ損益計算上ノ利益又ハ損失ハ政令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ調整勘定ニ移シ整理スベシ

第八条ノ三
 前条ノ整理ヲ為シタル後調整勘定ニ利益又ハ損失アルトキハ其ノ利益ノ額ヲ第六条ノ四ノ調整資金ニ組入レ又ハ其ノ損失ノ額ヲ限度トシテ当該資金ヲ減額シ処理スルコトヲ得

第八条ノ四
 輸入飼料勘定ニ於ケル毎年度ノ損益計算上ノ利益ハ積立金トシテ之ヲ積立ツベシ
○2農産物等安定勘定ニ於ケル毎年度ノ損益計算上ノ損失ハ積立金ヲ減額シ之ヲ整理スルモノトス但其ノ損失額中当該整理ヲ為シ得ザル部分ノ金額ハ損失ノ繰越トシテ之ヲ整理スベシ

第八条ノ五
 農林水産大臣ハ毎年度歳入歳出予定計算書ト同一ノ区分ニ依リ本会計ノ歳入歳出決定計算書ヲ作製シ之ヲ財務大臣ニ送付スヘシ

第八条ノ六
 内閣ハ毎年度本会計ノ歳入歳出決算ヲ作成シ一般会計ノ歳入歳出決算ト共ニ之ヲ国会ニ提出スヘシ
○2前項ノ歳入歳出決算ニハ左ノ書類ヲ添附スヘシ
一 歳入歳出決定計算書
二 当該年度ノ各勘定ノ損益計算書、貸借対照表及財産目録
三 債務ニ関スル計算書

第九条
 本会計ニ於テ支払義務ノ発生シタル歳出金ニシテ当該年度内ニ支出済ト為ラサリシモノニ係ル歳出予算ハ之ヲ翌年度ニ繰越使用スルコトヲ得
○2前項ノ規定ニ依ル繰越ニ付テハ財政法第四十三条ノ規定ニ拘ラス財務大臣ノ承認ヲ経ルコトヲ要セス
○3農林水産大臣第一項ノ規定ニ依ル繰越ヲ為シタルトキハ財務大臣及会計検査院ニ之ヲ通知スヘシ

第十条
 本法ノ実施ノ為必要ナル手続其ノ他ノ事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム

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附則 抄
○1本法ハ大正十年度ヨリ之ヲ施行ス
○2政府ハ本会計ノ負担ニ属スル証券ノ内四十五億円ヲ限リ一般会計ノ負担ニ移スコトヲ得
○3前項ノ規定ニ依リ一般会計ノ負担ト為リタル証券ノ借換ノ為政府ハ公債ヲ発行スルコトヲ得
○5政府ハ当分ノ内食糧管理法の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第百五十八号)附則第二項ノ規定ニ基ク政令ノ定ムル所ニ依ル同項ノ麦ノ売渡ニ因リ生ズル損失ヲ補填スル為予算ニ定ムル金額ノ範囲内ニ於テ一般会計ヨリ本会計ノ輸入食糧管理勘定ニ繰入金ヲ為スコトヲ得
○6政府ハ其ノ保有ニ係ル昭和四十二年以降昭和四十五年以前ニ生産セラレタル米穀及昭和五十年以降昭和五十三年以前ニ生産セラレタル米穀ニシテ配給ノ用ニ供スル数量ヲ超過セルモノヲ其ノ定ムル計画ニ基キ加工食品ノ原材料ノ用其ノ他食糧以外ノ用(飼料用ヲ含ム)ニ供スル為売渡シ又ハ輸出ヲ目的トシテ売渡スコトニ伴ヒ本会計ノ国内米管理勘定ニ生ズル損益計算上ノ損失トシテ政令ノ定ムル所ニ依リ算定シタル金額(次項ニ於テ過剰米処分損失ト謂フ)ヲ補填スル為一般会計ヨリ同勘定ヘ繰入金ヲ為スモノトス此ノ場合ニ於ケル繰入金ハ当該売渡ヲ為シタル年度以降七箇年度内ノ期間ニ於テ毎年度予算ノ定ムル所ニ依リ計画的ニ之ヲ繰入ルルモノトス
○7過剰米処分損失ハ前項ニ規定スル毎年度ノ繰入金ヲ以テ之ヲ整理スルモノトシ其ノ損失中当該整理ヲ為シ得ザル部分ノ金額ハ第八条ノ二第一項ノ規定ニ拘ラズ本会計ノ国内米管理勘定ノ損失ノ繰越トシテ之ヲ整理スベシ
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以後の附則などについては、次のページ17.食糧管理特別会計法附則を参照



食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 平成6年法律第113号)
1994年(平成6年)食糧法公布、1955年11月11日に施行された。これにより食糧管理法は廃止された。システムとしての「食糧管理制度」も「食糧制度」に改称された。
食糧法施行により、農家が自由に米などの作物を販売でき、政府管理は緩和された。

2004年の改正(改正食糧法、新食糧法) 平成15年 法律第103号
2004年4月1日からは、農業従事者以外の誰でも、自由に米を売買できるようになった。1995年の食管法廃止(食糧法制定)のような大きな制度改革であった。2004年からの食糧法は、それまでの食糧法と区別するため、「新食糧法」あるいは「改正食糧法」と言われる。




食糧管理法(原型:食糧管理特別会計法)とコメ議員
1921年(大正14年)の食糧管理特別会計法は、1937年の米騒動の再発防止策であった。が、1942年の戦時食糧統制法[食糧管理法]の基礎になった。第2次大戦後は、農村を選挙地盤とする国会議員が選挙を有利にするため、米価を引き上げた。さらに政府が農協を通して農家の米の全量買い上げを進めた。農村を支持基盤とする国会議員は選挙に強くなり、政治家として高い地位を得た。
農村出身の有力政治家多数が、戦時立法であった食糧管理法を存続させて、高米価政策を実現したが、これにより米作中心の日本農業が1960年前後には安定経営が実現した。
しかし、米の生産過剰つまり政府保管米の余剰の問題が生じた。さらにアメリカ・オーストラリアなどからは、安価な米価の輸入を要求され、日本政府はミニマムアクセスの名目で年50万トンの米を輸入している。輸入米は政府が買い取りって保管し、自由な売買がなされていない。古米になるまで長期保管してから、加工用として安く売却している。日本政府は300億円の赤字を垂れ流している。日本の米市場は、農民保護のため、きわめて閉鎖的である。
日本国内の米価は国際価格の5~10倍の高値である。海外の農業関連企業(アグリビジネス)や貿易会社にとっては、日本の米輸入自由化で利益を得る機会をねらっている。

国内産の過剰米と用途のない輸入米処分が大問題である。米の生産調整の失敗は、日本の農業政策の最大の失敗である。
平成6年(1994)に、食糧管理法(食糧管理会計)が廃止された。米は通常の果実・野菜と同様の市場価格で動く商品となったが、実際にはコメ議員と結託した農林水産省が、「減反補助金」を通して、農村の支配を続けている。
また、食管法は1994年に廃止されたが、その原型であった食糧管理特別会計は2008年までの赤字処理のために廃止が遅れ、2009年4月1日に廃止された。

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