地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

2018年地理B第3問解答解説 ポンチョ、イスラム、彦根

2018-10-23 13:27:53 | 地理講義

2018年センター試験地理B第3問

  

解答
【13】②
解説 カトリック、ギリシャ正教(正教)、プロテスタントの組合せの問題。
①× フランス。カトリックが比較的多く、ラテン系に区分される。
②◯ ドイツ。宗教改革はドイツで始まった。以後のキリスト教分派がプロテスタント。
③× ギリシャ。ギリシャ正教はカトリックから分離した正教会の一派。
④× ポーランド。ハンガリーとともにカトリックが多い。

詳細な解説
① フランス:北アフリカのイスラム教徒移民が増加し、フランスはヨーロッパではイスラム教徒の比率が高い。低賃金労働者として働いている。

②~④ フランスから南はカトリックでラテン民族、北はプロテスタントでゲルマン民族、東は当方教会(正教会)でギリシャ・スラブ民族などである。

 

 

解答
【14】④
解説 自然と素材とを調和させた伝統衣装の問題。
(ア)南アメリカ、アンデス高地のポンチョ。撥水性は雨よけ、断熱性は防寒。
(イ)東南アジアのベトナムのアオザイ。男女の正装だが、女性の着る機会が多い。
(ウ)西アジア、サウジアラビアなどのカンドゥーラ。砂漠気候に適した服装。

詳細な解説
(ア)ポンチョはチリ南部の先住民がリャマ・カモシカなどの毛を染めて織ったもので、伝統的には貫頭衣である。長さは肩から腰まであり、雨、風、寒さに強い。また伝統的な手作りファッションでもある。

(イ)ベトナムのアオザイは中国服チャイナドレスが原型であり、18世紀にベトナムで流行して以来、ベトナムの正装となった。オーダーメイドあるいは手作りであり、販売されているのは土産用である。アオは上衣、ザイは長い、の意味である。女性用が一般的だが、男性用もある。

(ウ)カンドゥーラは砂漠の強い日差しを避けるための服装である。白が基本だが、紺・茶・黒など様々の色のカンドゥーラがある。頭をおおうスカーフがクドラである。なお、履き物はサンダルが多いが、靴・スニーカーの場合もある。カンドゥーラの生地は綿花だが、最近は化繊がふえている。いずれの生地も日本からの輸入品である。


解答
【15】②
解説 多民族国家マレーシアのマレー人優遇政策。
(カ)ブミプトラ政策:マレー人優先政策。ブミプトラは先住民の意味である。
(キ)中国人:中国からスズ鉱山や農園労働者としてマレーシアに来て定住。華僑。

詳細な解説
ブミプトラ政策
マレーシアの人口3,200万人のうち、先住民としてのマレー人66%、スズ鉱山などに来た中国人労働者25%、ゴム園労働者のインド人8%、植民地マレーシアを統治していたイギリス人が1%である。経済的には中国人華僑が強いため、1971年にマレー人の地位向上をめざして、中国人を排斥するブミプトラ政策が実施され、現在も続いている。公務員への雇用、税金、大学入試ではマレー人が優先される。マレー人とはマレーシア語を使うイスラム教徒であり、中国人華僑は差別された。しかし、それでも中国人華僑の経済力はマレー人を上回る。公用語はマレーシア語であり、英語・中国語は準公用語である。

ルックイースト政策
1981年から2003年まで続けられた経済政策である。日本の勤労倫理と集団主義に学び、工業化を進める政策である。日本からマレーシアに積極的な経済・技術援助がなされ、マレーシアの経済力は向上した。ASEANにおけるマレーシアの地位は高い。

解答
【16】③
解説 首位都市とは人口が国内第1位の都市である。都市人口率は農業国で低い。
①× インドの首位都市はムンバイ。1,841万人(総人口128,239万人)。
②× イタリアの首位都市はローマ(首都)。263万人(6,114万人)。
③◯ バングラデシュの首位都市はダッカ(首都)。1,698万人(16,041万人)。
④× カナダの首位都市はトロント。558万人(3,587万人)。 

詳細な解説
首位都市(プライメートシティ)は経済的に発展した都市であり、首都とは限らない。第2位以下の都市よりも人口が格段に多い。発展途上国では首位都市などの大都市に人口が集中し、都市爆発が問題になるが、集中する労働力を吸収するだけの雇用の場はなく、貧困な都市住民が多くなる。発展途上国では都市爆発が起こっても、都市人口率は低く、農村人口が多くを占める。先進国では第3次産業の発展により、都市人口の割合が高くなる。
①と③は都市人口率が低いから発展途上国である。ムンバイとダッカは人口が同程度だが、インドの人口がはるかに多いから、①がムンバイ、③はダッカである。
②と④は都市人口率が高いから先進国である。イタリアの人口はカナダの2倍に近いから、ローマの人口率割合は低く、②がローマである。④はトロントである。

 

 

解答
【17】③
解説 城下町は滋賀県彦根市。水域は琵琶湖である。
①A 駅から遠いことと道路の区画から、郊外の住宅団地。
②B 道路が屈曲し、城跡にも近いことから、城下町の景観が残る。
③C 駅前の商業中心地で、近代の鉄道開通後に発展した。
④D 国道沿いにあり、郊外立地型の大型店が進出している。

詳細な解説
A 最近の団地は通勤に自動車を利用するため、鉄道から離れて建設される。
B 城下町の道路は、防衛上、鍵型の屈曲路や丁字路が多く、現在の自動車交通には不便である。しかし、城下町としての風情があるので、道路は直線化せず、観光用に残される。
C 地方都市の中心街は政治・経済の中心であり、一時期は賑わったが、最近は郊外の大型店舗に負けてさびれ、シャッター商店街が多くなった。
D 郊外には自動車で訪れる買い物客のための大型スーパーマーケットや専門店が増加した。全国チェーンとしての人気があり、しかも幹線道路沿いにあって駐車場も広いので便利である。特に週末には買い物客で賑わう。古い都心商店街から客が郊外大型店に移った。なお、地元商店街も都心での商売をあきらめ、郊外に進出する傾向がある。

 

 

解答
【18】④
解説 都心、郊外農村、郊外住宅団地の人口構成の比較。
(サ)Y 郊外の住宅団地。働き盛りの生産年齢層が多い。また、その子ども世代も多い。
(シ)Z 郊外の農村。高齢化が進んでいて、生産年齢層が少ない。
(ス)X 都心。勤労世帯が多く、子どもの割合が非常に少ない。

詳しい説明
人口ピラミッドは年齢別の人口構成を示す。
(サ)星型の人口ピラミッド:大都市あるいは都市的な地域の人口ピラミッド。生産年齢人口が多い。また、その子ども世代である幼年人口も多い。老齢人口は少ない。なお、ピラミッドの形は星の形ではないが、都市的人口ピラミッドを星型と呼ぶ。
(シ)ひょうたん型の人口ピラミッド:農村の人口ピラミッド。農村の労働者は都市で働き、生産年齢人口が少ない。老年人口が多い。ひょうたん型と呼ぶのは、老人と子どもの多いのが農村だからである。しかし、子どもの数が減り、ひょうたんの形ではないが、ひょうたん型と呼ぶ。
(ス)都心型の人口ピラミッド:特に名称はない。都心には単身の勤労者が集中するため、20代から50代の人口が多い。子どもの割合は極端に少ない。

 


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