森の里ホームズのブログ

細胞外小胞(Extracellular Vesicles; EV):一口メモ

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 細胞外小胞(Extracellular Vesicles; EV)は、新たな細胞間コミュニケーションツールとして注目されている。 ベシクルの種類は、その発生機序、サイズにより大きく分けて3つに分類できる (エクソソーム:30~200nm、マイクロベシクル:100~1000nm、アポトーシス小体: 1~5μm)。特に、エクソソームに関してはその内部にタンパク質やmicro RNAを含有していることから、疾患治療や予後診断、バイオマーカーとしての応用が期待される。

エクソソームとマイクロベシクルは大きさの違いで分けられます。(エクソソーム 直径30-120 nm、マイクロベシクル 直径100-1000 nm)また、エクソソームとマイクロベシクルでは細胞表面抗原が異なり、細胞間コミュニケーションや遺伝子交換において異なる役割を果たします。

アポトーシス小体がアポトーシスを起こした細胞から放出されるのに対し、エクソソームと MV はいずれも健康な細胞から放出されますが、これら二つにはいくつかの点で違いがあります。エクソソームは多胞性エンドソーム(MVE)の内部にエンドソームの膜が陥没して形成されます。そのため Rab GTPase、SNARE、Annexin、Flotillin といったエンドソーム結合タンパク質が豊富に含まれます。これらのうち Alix や Tsg101 はエクソソーム・マーカー分子として用いられます。その他にも膜貫通タンパク質ファミリーである Tetraspanin テトラスパニン(CD63、CD81、CD9 など)もエクソソームに豊富に含まれ、マーカー分子として用いられます。この Tetraspanin は、原形質膜のマイクロドメインに集合する性質を有しています。MV は細胞膜が陥没して形成されます。MV に含まれるタンパク質についての研究はまだ十分ではありませんが、現段階ではマーカー分子として Integrin(インテグリン)、Selectin(セレクチン)、CD40などが用いられています。

免疫系においては、細胞から放出されたエクソソームが抗原提示小胞として機能し、抗腫瘍免疫における応答や、炎症を抑制する免疫寛容性などを誘導します。神経系においては、ミエリン鞘の形成、神経突起の伸展、神経細胞の生存維持に関わっていると考えられています。血液凝固系においては、血小板および単球由来の MV が血液凝固カスケードに関わる第 X 因子などの複合体形成を媒介し、細胞を融合させて血栓形成を誘導します。また炎症の過程において MV は、刺激の種類や放出される細胞によって、抑制か亢進かその作用が変わります。どちらのケースでも MV がターゲット細胞に結合することによってその細胞から炎症反応を調節するサイトカインが放出されます。

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