自己免疫性腸疾患(AIE)のページを更新
- 自己免疫性腸疾患(AIE)は、免疫介在性傷害に起因する重篤な下痢および小腸粘膜萎縮を特徴とする稀な疾患である。
自己免疫性腸症は自己免疫機序によって腸管が障害され.難治性下痢症を来す疾患である.Unsworthらは以下の4項目を満たすものを自己免疫性腸症と定義した.
1. 食餌療法・完全静脈栄養で改善しない慢性難治性下痢症
2. 十二指腸・小腸生検で絨毛萎縮,粘膜固有層への単核細胞・形質細胞を中心とした細胞浸潤を認める
3. 正常腸管を用いた免疫組織学的方法で血清中に抗腸管上皮細胞抗体が検出される.ただし既に同定されている自己抗原(AIE-75, villin)に対する自己抗体が陽性.
明らかな免疫不全症がないがその後,自己免疫性腸症の主要な基礎疾患である“多腺性内分泌不全症、腸疾患を伴う伴性劣性免疫調節異常(immunedysregulation, polyendocrinopathy, enteropathy, X-linked;IPEX)症候群”の疾患概念が確立され責任遺伝子が同定されるにいたり,さらにこれが原発性免疫不全症に分類されたことから,上記項目の1-3を満たすものを自己免疫性腸症と定義することが合理的と考えられる. IPEX症候群はFOXP3遺伝子の変異によって生じ,自己免疫性腸症を主要症候とする遺伝性疾患であり,1型糖尿病,自己免疫性甲状腺炎,自己免疫性溶血性貧血など多彩な自己免疫疾患を来す.