内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2021/12/24

2021-12-24 15:17:06 | 日記
原発性アルドステロン症のレビュー
Circulation 2018; 138:823-835

印象的だったのは、ブラジル北東部の先住民族であるヤノマミ族についてのフィールドワーク。ヤノマミは調味料として塩を使わないそうで、1970年代の調査では1日の塩分摂取量はなんと、0.05g。尿Na排泄量は調査隊の1/100で、尿アルドステロン濃度は27倍。本来、ヒトは幅広い塩分環境に対応できる生き物であって、MRHE はただ加齢によってRAA系の調節ができなくなっただけなのだなあ…と思いました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30359120/

2021/12/24

2021-12-24 15:05:04 | 日記
非ステロイド骨格ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンの2型糖尿病患者における腎疾患に対する効果を検討したランダム化比較試験(FIDELIO-DKD)
NEJM 2020; 383: 2219-2229

高カリウム血症の副作用に対する懸念のためか、組み入れ基準が複雑で 、eGFR が低下している腎症2期の患者と eGFR がさほど低下していない腎症3期の患者を組み入れていて、腎機能が低下している患者には低用量のフィネレノンを投与している。

eGFR の低下はフィネレノン投与群で有意に抑制されていて、尿アルブミンも低下している。しかし、著者らも議論している通り、カナグリフロジンの腎保護作用を示した CREDENCE と比べると腎保護作用は小さそう。また、高カリウム血症はやはりフィネレノン投与群で多い。

ステロイド骨格ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬でも尿アルブミンを31%減少させることがメタ分析で示されているので、スピロノラクトンでも良いのかもしれない。

そうすると、腎症2-3期の糖尿病患者では、電解質に注意しつつ、降圧薬を ACEI/ARB、利尿薬、スピロノラクトンの組み合わせにするのも良いかもしれない。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2025845

2021/12/24

2021-12-24 14:49:18 | 日記
SGLT-2阻害薬とDKAとの関連を検討した後ろ向きコホート(Ann Intern Med 2020; 173:417-425)。

SGLT-2阻害薬を投与されている糖尿病患者と、DPP-4阻害薬を投与されている糖尿病患者、それぞれ20万人超を対象にしてDKAの発生率を比較している。

SGLT-2阻害薬群ではDPP-4阻害薬群よりもDKAの発生率が2-3倍と有意に高い。しかし、SGLT-2阻害薬投与群でもDKAの発生率の絶対値は1.4/1000人・年(95%信頼区間 1.29-1.53)と高くはない。

気をつけなければいけないのは、インスリンを使用している患者よりも使用していない患者の方がDKAの発生率が高いこと。

糖尿病患者が腹痛で救急外来を受診したら、血液ガスを確認した方が良いかもしれない。

https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-0289