内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2021/12/24

2021-12-24 18:24:52 | 日記
子癇前症のレビュー
Nat Rev Nephrol 2019;15:275-289

子癇前症は妊娠後期に高血圧+蛋白尿を認めるもので、子癇の危険因子として同定された歴史があるのでこの名がある。HELLP症候群は子癇前症に含まれる。

全妊娠の4-5%と頻度は高い。興味深いことにヒト以外の哺乳類では子癇前症は認めない。

子癇前症は胎盤の虚血が原因と考えられているが、ヒトは脳が発達しているために妊娠後期の酸素需要が他の哺乳類より格段に多い(ヒトでは胎児の酸素需要の6割を脳が占めているのに対し、他の哺乳類では2割程度)。このことが、子癇前症がヒトに特有である原因だと考えられている。

子癇前症の病態生理は完全には解明されていないが、胎盤の虚血→血管新生/抗血管新生のインバランス(特に抗血管新生作用をもつタンパク質の血中濃度上昇が重要)→母体の血管内皮障害が病態の中心だろうと考えられている。

高血圧に対してはRAA系の関与はないだろうと考えられている。その根拠は子癇前症の患者では、RAA系は健常妊婦よりも抑制されているからである。高血圧の原因とwしては抗血管新生因子やアンジオテンシンII タイプ1受容体に対する自己抗体の関与が想定されている。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6472952/

2021/12/24

2021-12-24 15:48:55 | 日記
Hypogonadtropic hypogonadism についてのレビュー
Clinics 2013; 68: 81-88

中枢性(視床下部性または下垂体性)の性腺機能低下症を hypogonadotropic hypogonadism、原発性腺機能低下症は hypergonadtropic hypogonadism と呼ぶ。いずれも男の子の場合の話(女の子は生まれる前に一生分の卵子をほとんど作り終えているので)。

中枢性の性腺機能低下症の場合、ホルモン補充で生殖能力を獲得できる可能性がある。

いずれも先天性・後天性があるが、圧倒的に多いのは原発性。先天性の原発性性腺機能低下症の原因で多いのは、クラインフェルター症候群で男児の500人に1人。後天性の原発性性腺機能低下症の原因で多いのは、男性の更年期障害で40歳台では4%。

対する中枢性は、先天性は1万~10万に1人。そのうち3分の2は嗅球の低形成をともなっており、カルマン症候群と呼ばれる。

精子を作るためにはLHとFSHの両方が必要なので、中枢性性腺機能低下症の男性が生殖能力を獲得するためには GnRH 補充が最も有効。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23503957/

2021/12/24

2021-12-24 15:40:41 | 日記
原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)のレビュー
Nat Rev Endocrinol 2018; 14: 115-125

孤発性のPHPTの1-3割にはMEN1
の体細胞変異がある。MEN1の95%にはPHPTが、MEN2の90%には甲状腺髄様癌を認める。

PHPTに副甲状腺癌が合併する頻度は1%未満だが、PHPTに下顎癌を合併する遺伝性疾患があり、この場合は副甲状腺癌の合併頻度は15%になる。

間欠的に血清Ca濃度が正常化するPHPTもあるよう。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28885621/

2021/12/24

2021-12-24 15:32:23 | 日記
低カリウム血症によるアルドステロン分泌抑制のためにアルドステロン濃度が測定感度未満だったアルドステロン産生腺腫の症例報告
Clin Kidney J 2021; 14:1269-1271

治療抵抗性の高血圧と血清カリウム 2 mEq/L 未満の低カリウム血症を認め、原発性アルドステロン症が疑われたが、アルドステロン症は測定感度未満。

カリウムを補充してもすぐにはアルドステロン分泌抑制は解除されず、しばらくカリウム補充を続けていたらアルドステロン高値になって診断に至ったそう。

他にヘパリンや甘草の投与で低アルドステロになることがあるそう。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33841871/

2021/12/24

2021-12-24 15:25:22 | 日記
夜間の成長ホルモンの分泌が暁現象に寄与していることを示した生理学的研究
Diabetologia 1990; 33:52-59

まず1型糖尿病患者7名で夜間にグルコースクランプを行い、暁現象は肝糖産生の亢進によることを確認。

次にソマトスタチン投与で成長ホルモンとグルカゴンの分泌を抑制した上で成長ホルモンとグルカゴンを一定の速度で投与する。このようにして成長ホルモンの夜間のスパイク状の分泌を無くすと、明け方の肝糖産生が抑制され、暁現象を認めなくなった。

成長ホルモン投与で成長ホルモンのスパイク分泌を再現すると、肝糖産生の亢進が起こり、暁現象を認めた。

以上の結果から、夜間の成長ホルモンのスパイク分泌が暁現象の原因であると考えられる。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2406181/