5.DPP-IV阻害薬
基本事項
・236のRCT (176310名)の結果を統合したメタ分析では、GLP-1受
・単独投与では低血糖を起こしにくく、体重を増やさない。
・テネリグリプチン(テネリアⓇ)とリナグリプチン(トラゼンタ
・血糖降下作用は強くない(HbA1c 0.5-0.8%)(Diabetes care 2009; 32: 193)。製剤間の差もどんぐり背比べ。
・薬価が高い(ジャヌビア 50mg 129.5円/錠, テネリア 154.6円/錠, トラゼンタ 155.4円/錠)。
・ジャヌビアとテネリアは増量可能だが、追加の血糖降下は-0.
6.a-グリコシダーゼ阻害薬
基本事項
・小腸刷子縁細胞の細胞膜上に発現するa-グリコシダーゼの活性
・a-GIは二糖類の分解を阻害するので、低血糖時の rescue は原則としてブドウ糖を用いる。
・血糖降下作用は強くない(HbA1c 0.5-0.8%)(Diabetes care 2009; 32: 193)。
・薬価は高い(ベイスンⓇ 0.3mg 42.7円/錠)。
・稀に重篤な肝障害を起こす。
・糖尿病の発症予防効果が示されている(STOP-NIDDM)
・日本人を対象にしたRCT (VICTORY trial) でも糖尿病の発症予防効果が示されている。
・この結果を受けて、低用量のベイスンⓇ(0.2 mg ×3 /日)はIGTに対する2型糖尿病予防に保険適応がある。
7. スルホニルウレア
基本事項
・SU薬は b 細胞膜上に発現するKATP チャネルに結合し、閉鎖させることによって b
細胞の細胞膜電位を脱分極させる。その結果、電位依存性 Ca チャネルが開口し、細胞質 Ca 濃度が上昇する。細胞質 Ca 濃度上昇が引き金となり、インスリン分泌顆粒が開口放出される。
・強力な血糖降下作用(HbA1c 1.0-2.0%)を示す(Diabetes care 2009; 32: 193)。
・副作用として体重増加と低血糖が多い。とくに腎機能が低下して
・緩徐進行1型糖尿病では、SU 薬の使用はインスリン依存性となる時期を早める可能性がある(C
・UKPDS57 ではインスリンと併用した場合(basal oral therapy)、インスリン単独と比較して、血糖コントロール
8. グリニド薬
基本事項
・SU薬と同じく b 細胞のKATP チャネルに結合し、インスリン分泌を促進する。SU薬よりも効果
・血糖降下作用以外の付加価値を示すエビデンスがない。
・薬価は a-GI より高い(シュアポスト 0.5mg 59.5 円/錠)。
9. チアゾリジン
基本事項
・中性脂肪を蓄積して大型化した脂肪細胞はアディポカイン(FF
・チアゾリジンの心血管イベントの抑制効果を検討した大規模臨床
・フランスで行われた後ろ向きコホート研究(CNAMTS)では
・副作用として、しばしば浮腫と体重増加を認める。体重増加につ
・10件のRCT(被験者 13715名)を統合したメタ分析(CMAJ 2009; 180: 32-39)の検討では、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンを
・HbA1c低下についてはメトホルミンおよびSU薬に劣らない
・薬価はメトホルミン、SU薬よりも高い(ピオグリタゾン 15mg 24.0円/錠)。