糖尿病ケトアシドーシス
1. インスリンにより,糖尿病ケトアシドーシスの生命予後は劇的に改
・1921年にインスリンが発見される以前は,糖尿病ケトアシド
2. 糖尿病ケトアシドーシスの誘因で多いのは感染とインスリン中止で
・英国72施設における糖尿病ケトアシドーシス283症例につい
・上記の観察研究では7%以上の症例は入院患者であった.1型糖
3. 糖尿病ケトアシドーシスの本態は脂質代謝の異常である.
・糖尿病ケトアシドーシスでは,インスリンの欠乏と拮抗ホルモン
(グルカゴン,カテコラミンなど)の亢進により,ホルモン感受性
・ケトン体生成径路ではまずアセト酢酸が生成される.ケトン産生
・糖尿病ケトアシドーシスでは 3-ヒドロキシ酪酸はアセト酢酸の 3-4倍まで上昇する.また呼気にアセトン臭を認める.ニトロプ
4. 高グルカゴン血症による糖新生亢進により高血糖となる.
・グルカゴン/インスリン比が上昇すると,肝における糖新生が亢
・肝における糖新生を抑制し,末梢での糖の取り込みを促進させる
5. 糖尿病ケトアシドーシスは脱水をともなうが評価は難しい.
・高血糖による浸透圧利尿が起こるため,糖尿病ケトアシドーシス
・糖尿病ケトアシドーシスにおける脱水は浸透圧利尿による細胞内
・脱水が進行し血管内脱水をともなう場合は,糸球体濾過量が低下
6. 糖尿病ケトアシドーシスはカリウム欠乏をともなう.
・浸透圧利尿のために尿からの電解質(Na, K, Ca, Mg, Cl, P) の喪失が起こる(Metabolism 2016; 65: 507-521).インスリン欠乏により細胞内への K の移動が起こらないので,K 欠乏があるのにもかかわらず血液検査では K 高値を認めることが多い.
7. 糖尿病ケトアシドーシスの診断基準はガイドラインにより異なる.
・糖尿病ケトアシドーシスの診断基準はガイドラインによって異な
1114-1128).英国糖尿病学会(Joint British Diabetes Society)によるガイドラインの診断基準が比較的シンプル
・英国糖尿病学会のガイドラインにおける糖尿病ケトアシドーシス
8. SGLT-2阻害薬投与中の患者では euglycemic diabetic ketoacidosis に注意
・近年,SGLT-2阻害薬に関連する高血糖を認めない糖尿病ケ
・euglycemic diabetic ketoacidosis は診断が遅れる可能性があり,注意が必要である(Diabete
・41万7514例を対象とした後ろ向きコホートでは,SGLT
1.83-2.25) VS 0.75 (95%CI 0.63-0.89), ハザード比 2.85 (95%CI 1.99-4.08)(Ann Intern Med 2020; 173: 417-425).絶対リスクは0.2%/年程度であり高くはな