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個別銘柄:ネットワンシステムズ

 昨年は循環取引の発覚でも話題になったが、長年保有してきたネットワンシステムズ株を売り切った。一部ツイートしていた内容もあるが、買い始めた時から売り切るまでの話を書く。ちょっと長い。


 ネットワンシステムズの株価の長期チャート(2006年3月~2020年3月)

 出所 チャートは株探。コメントを追記


IT投資拡大の恩恵

 ネットワンは、一般にはあまり馴染みがないかもしれないが、シスコシステムズの製品販売と保守をメインにしてきた三菱商事系の会社だ。NTT東日本がフレッツ網を構築する際は、この会社が中心になって活躍したと聞いていた。

 仕事柄、割とよく知っていた会社でもあったので、IT投資拡大の恩恵を受ける銘柄として注目し、2006年から2015年にかけて少しずつ買い増していった。ピーク時は、800円以下の平均買いコストで2000株以上保有していた。


信じて保有し続けるのは難しい

 2019年には3,000円を超えていた時期も長く、購入分をずっと保有していればかなりの利益になったが、株価の伸びない期間が長過ぎたため2017年に1,000円に近付いた辺りからヤレヤレと少しずつ売り始てしまった。

 アベノミクスで多くの株が大きく上げた時期(2012年末以降)でも、ネットワン株はむしろ下げ基調だったのだ。有望だと思って買い増ししていても、花開くまで信じて保有し続けるのは難しい


2018年に大半を売却

 ネットワンは、シスコ製品の販売保守からSIやソリューションへのシフトが成功して業績が改善し続けた(一部循環取引の数字が入っていたことになる)。その結果、人気も出て株価は上げ続け、2017年には4回売却し、2018年には8回も売却することになった。

 2018年はずっと上げ続けた訳ではないが、大きく下げてきた省力化関連や半導体関連の株への投資資金を捻出するために売却した。配当狙いでリートも買い増した。フルインベストメントを基本にしているので、他の株式を買うための資金捻出が必要になる(2019年末の資産運用状況)。

 2018年にネットワン株の大半を売って利益が積み上がったため、ネットワン株への投資資金の回収は完了し、残りは恩株となった。


国民健康保険料が高くなった

 昔から手掛けていた銘柄なので、特定口座ではなく一般口座での保有だった。結果的に2018年分の申告株式売却益の約半分はネットワン株によるものになった。この年、他の銘柄やFXも合わせて300万円ほど利益が出て、その分だけ国民健康保険料が高くなってしまった(退職後の健康保険など)。

 このこともあって、2019年は3,000円到達記念で100株売却しただけだった。高値圏でのもみ合い状態で、かつ割安感もなくなっていたのに、税金や国保保険料が増えるのが嫌で売却を控えてしまったのだ。


循環取引が発覚して暴落

 恩株として温存していたら、東芝ITサービスとの循環取引騒ぎで大暴落した。こういうことがあると、"たられば"で機械的に売って利益確定させていけばよかったか思ってしまう。ネットワンより東芝ITサービスの方が体質的に売上とかほしかったのではと思ったが、以下の記事の時点では真相は解明待ちだった。

 東芝ITサービスの循環取引の話は、1月18日に公表され、1月20日の上の記事になった。「自社が最初に循環取引を他社に持ちかける立場ではなかった」としていた。しかし、調べてみると東芝ITサービスの売上高は2018年度で440億円しかなかった。なのに半期で200億円の循環取引による売上という数字は異様過ぎる。社長を始め気付かない訳がないし、他社から頼まれて対応できるような規模ではないし、東芝ITの言い分は怪し過ぎると思った。

 1月24日の日経には、ネットワンが主だと書かれた記事が出た。担当マネジャーがやったにしても、15年から少なくとも400億円規模となると関係者も多く、組織ぐるみと言ってもいいだろうと思った。

 こういうニュースが出ると投資信託や機関投資家は処分売りに出る。サラリーマンの運用担当者は、ずっと持っていてさらに下げると説明に困るので、値段に関係なく売りに回るはずだと思った。ストップ安まで一気に下げた。カラ売りの買戻しで一時的に下げ止まっても、売り切られるまで下げ、下値は当分見えない感じだと思った。3桁もありえるかと思いつつ、恩株なので最後まで付き合う覚悟を決めた


米国キャピタル系が買い増し

 3桁も覚悟したのに、1月27日が底でじりじりと上げて2,000円を超えてしまった。2月7日に米国のキャピタル系投資会社の保有増の大量保有報告書が出て、もう下値更新はなさそうになった。こういうところで買えるのが、米国系の強さなのだろう。2月下旬にも大量保有の変更報告が連日出たりしていた。おかげで、市場環境が弱い割にあまり下げなくなっていた

 ちなみにキャピタルは、私にとっては馴染みのある会社だった。現在、個人年金を受け取っている変額年金保険変額年金保険の運用は自分次第)の運用時に、2本柱の運用先としていた世界株式と世界債券の運用会社だったからだ。

 2月14日に発表された20年3月通期決算予想を見たら、驚くほど循環取引の影響が小さかった。これだと売り方は一旦は買戻しせざるを得ず、だいぶ上げた。循環取引については、個人の責任(犯罪)となっていたが、今後の入札での指名停止の影響は心配なところではあった。


資金捻出のために残りも売却

 残していた恩株は、キャピタル系の動きに期待して持っていたかったが、新型コロナウイルスの感染拡大でバーゲンセール中となっている他銘柄の購入資金を捻出するために、2月下旬から3月初旬にかけて順次売却した。フルインベストメントの逆張り投資を基本にしているので仕方ない。この相場環境であまり下げずに処分できたことに感謝しよう。

 ネットワン株の売買に関しては、税引き後で累計200万円以上の利益となった。売り始めが早過ぎたり、温存していたら循環取引騒ぎにあったりと、うまくいかなかった面もあるが、足かけ15年間の投資としては総じて成功したと言えるだろう。多くの人にとっては気が長過ぎて参考にはならないだろうけど。



【2020.3.16追記】

 循環取引に関する特別調査委員会の最終報告書は3月12日の夜にネットワンから公表されていて、それに関する日経クロステックの記事が以下にある。最終報告でも個人の単独犯行と結論付けていて、問題の矮小化だとの指摘もあるとのこと。


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