■5月17日(火、68日目)
・くもり。一号機のメルトダウンに関してTV朝日報道番組で名前は失念したが『専門家』が、格納容器まで損傷する(している)危機や再臨界の危機を訴えていた。色々と真相が明らかになってきて、また危ないのではないかと思ったが、米NRCが『第一原発の24時間情報収集を終了する』とのニュースが。一体現状はどうなのか。アメリカの発表のほうに信頼感を感じるのは私だけではないだろう。1~3号機までメルトダウンしたが、取りあえず危機を回避できる見通しがたったということか。だから国民にも『真実』を発表し始めたのか。
・asahi.com---『福島第一原発の24時間情報収集を終了 米NRC』
『米原子力規制委員会(NRC)は16日、福島第一原子力発電所の事故直後から続けていた24時間体勢の情報収集を終了する、と発表した。NRCは「同原発は徐々に安定化しており、事故収束に向けた作業が続いている」ことが理由としており、平常の態勢に戻す。
NRCは事故直後から同原発と同じ沸騰水型炉(BWR)の専門家を派遣するなど支援体制を取っており、職員は現在も日本に滞在している。事故を分析し、米国内の原発の安全性を短期・長期的に再評価する特別チームの作業は続ける。(ワシントン=勝田敏彦) 』
・読売online---『冷却装置、津波前に一時停止…東電詳細データ』
『東京電力福島第一原子力発電所1号機で、東日本大震災による津波襲来の前に非常用冷却装置が一時停止していたことが16日、東電が公表した大震災直後のデータでわかった。
データによると、運転中の1号機は地震発生後、原子炉に制御棒が挿入されて緊急停止。1号機では、地震直後の11日午後2時52分、直流電源で動く緊急時冷却装置の「非常用復水器」が自動起動し、原子炉の冷却・減圧が始まった。
しかし、約10分後の午後3時頃には、復水器は一時停止。作業記録によると、その後、弁の開け閉めが行われ、稼働、停止を繰り返した。原因は不明だが、東電によると、地震直後に原子炉内の圧力が乱高下し、この現象を抑えるため、作業員が手動で停止した可能性もある。 』
・毎日jp---『福島第1原発 1号機、冷却装置を手動停止 炉圧急低下し』
『福島第1原発1号機で地震直後、非常用冷却装置が津波の到達前に停止していたことが、東電が16日公表した初期データから分かった。従来、同装置は津波到達までは動いていたと考えられ、東電も15日公表の解析結果の前提を「津波で機能喪失」としていた。東電は「冷却装置によって炉内の圧力が急激に低下したため、手動でいったん停止したとみられる」と説明。津波が到達する中、こうした操作を繰り返すうちに冷却機能喪失に至った。近く始まる政府の事故原因究明につながる重要な内容だ。』
・asahi.com---『2・3号機もメルトダウン 東電データで裏付け』
『東京電力福島第一原子力発電所の2、3号機でも炉心溶融が起こり、原子炉圧力容器の底に燃料が崩れ落ちるメルトダウンが起きていたとみられることが、16日に東電が公表したデータで裏付けられた。3号機では溶けた核燃料がさらに下の格納容器内に落ちた恐れもある。専門家は事故直後から指摘しており、細野豪志首相補佐官も16日の会見で2、3号機でのメルトダウンの可能性を示唆した。
…データによると、圧力容器内の圧力が、2号機は3月15日午後6時43分に、3号機は3月16日午後11時50分に、それぞれ下がった。圧力容器の密閉性が損なわれ、圧力が抜けたとみられている。
…一方、細野氏は会見で炉心に水が入らなかった時間について「1号機は14時間9分、2号機は6時間29分、3号機は6時間43分と短くない」とし「炉心の完全な溶融(メルトダウン)の可能性をみておかないといけない」と話した。
また原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は16日の定例会後の会見で「3月下旬に2号機で高濃度汚染水が発見された時点で、メルトダウンしていたという認識があり、助言した。1号機と3号機も、事故の経緯を考えると同じことが起こっているとの認識を持っていた」と語った。 』
・asahi.com---『手動停止「報道で知った」 枝野氏、東電対応に不快感』
『枝野幸男官房長官は17日の閣議後会見で、東京電力が福島第一原発1号機に津波が来る前、冷却水を原子炉内に注入する「非常用復水器」を手動で止めていた可能性を示すデータを公表したことについて「報道で初めて知った」と不快感を示し、東電から報告を求める考えを明らかにした。 東電はこれまで復水器停止は津波が原因と説明してきた。』
・日経ビジネスオンライン---『1号機では、「最後の砦」は何時間動いたのか?』
『……だが、万が一停電してCSポンプもHPCIポンプも止まってしまい、ECCSが働かなかったらどうするのか。1号機の場合、その「最後の砦」が「隔離時復水器」(IC、Isolation Condenser)だ。このICは、電力を必要としないパッシブな自然冷却システムであって、無電源で8時間作動するように設計されている。
2、3号機では、この隔離時復水器(IC)の進化した「原子炉隔離時冷却系」(RCIC、Reactor Core Isolation Cooling System)と呼ばれるシステムが「最後の砦」として設置されている。これは、すべての電源が喪失した後も、炉心の発熱による蒸気で回る専用タービンによって一定時間、ポンプを駆動するシステムであってICよりも長時間作動する。
……結局のところ、原子炉に海水が注入され始めたのは、同日20時20分。「最後の砦」の隔離時復水器(IC)がほぼ設計通り作動を終えて、事態が「制御不能」の次元に入ってから20時間後のことであった。以下に、まとめておこう。
1、 3月11日16時36分に非常用炉心冷却系(ECCS)が止まってから8時間は、1号機は隔離時復水器(IC)が作動して「制御可能」の状態にあった。元来、隔離時復水器(IC)は、最長8時間作動するように設計されていた。
2、 そして隔離時復水器(IC)停止後に、この1号機は「制御不能」の事態に陥ってしまい熱暴走が起きることを、現場の技術者は知っていた。
3、 ならば、この「執行猶予」の時間内に冷却機能の復活を試みることと並行して、原子炉崩壊熱を上回る熱容量をもつ注水(毎時25トン)の準備をしておかねば、この熱暴走を止める手立てはなかった。結局「執行猶予」の時間内には冷却機能の復活はなかったので、隔離時復水器(IC)の停止と同時に、毎時25トンの注水をしていれば1号機を「制御可能」の状態にとどめて置くことは可能だった。
4、 ところが、実際には即座の注水は行なわれることなく、隔離時復水器停止の約8時間後に炉心の露出が始まった。炉心の露出が始まる直前に淡水注入が行なわれたものの、その量は毎時10トンで功を奏さず。ようやく海水注入が行なわれたのは、1号機が「制御不能」の事態に陥って約20時間後のことだった。
……以上、論証してきたように「『最後の砦』としての隔離時復水器(IC)ないし原子炉隔離時冷却系(RCIC)が停止すれば、それから事態は『制御不能』の事態に陥る。よって停止と同時に、間髪を置かずに海水を注入する以外に暴走を止めることができない」ということが、前もって100%予見可能だった。
…… 現場の技術者はプロフェッショナルなので、全員が以上のように予見したに違いない。しかし、海水を注入することは、取りも直さず原子炉を廃炉にすることを意味する。従ってその意思決定は勝俣恒久会長や清水正孝社長をはじめとする経営陣にしかできない。
4月13日に清水社長は「福島第1原発事故発生後のベント(排気)と海水注入の実施について自分が判断した」と明らかにしたという。しかし1号機の場合、「制御不能」の事態に陥って20時間後に海水注入は行なわれているから、東電の経営陣は、むしろ1号機について20時間もの間、海水注入を拒んだということができる。すなわち東電の経営陣は、技術が「制御不能」になるとはどういうことなのかを、20時間かけてようやく理解したということだろう。
だから、この事故が「初動のミス」つまり「ベントが遅すぎたり注水が少なすぎたりしたから起きた」と単純に理解してしまっては、本質を見誤る。そうではなくて、物理限界を特徴づける境界の位置と特徴、そして構造を、東電の経営陣は理解できなかったから、この事故は起きたのだ。
…… すなわち、この原発事故の本質的原因は、「技術」にあるのではなく「技術経営」にある。よって、元来「制御可能」だった事故をみずからの判断ミスで「制御不能」にしてしまった東電の経営責任は、計り知れないほど大きいと言えるのではないだろうか。日本の独占企業が、「インテリジェンス」を持たない経営陣を選び取ってしまうこと。それは、もはや「日本の病」に通ずる。』
・くもり。一号機のメルトダウンに関してTV朝日報道番組で名前は失念したが『専門家』が、格納容器まで損傷する(している)危機や再臨界の危機を訴えていた。色々と真相が明らかになってきて、また危ないのではないかと思ったが、米NRCが『第一原発の24時間情報収集を終了する』とのニュースが。一体現状はどうなのか。アメリカの発表のほうに信頼感を感じるのは私だけではないだろう。1~3号機までメルトダウンしたが、取りあえず危機を回避できる見通しがたったということか。だから国民にも『真実』を発表し始めたのか。
・asahi.com---『福島第一原発の24時間情報収集を終了 米NRC』
『米原子力規制委員会(NRC)は16日、福島第一原子力発電所の事故直後から続けていた24時間体勢の情報収集を終了する、と発表した。NRCは「同原発は徐々に安定化しており、事故収束に向けた作業が続いている」ことが理由としており、平常の態勢に戻す。
NRCは事故直後から同原発と同じ沸騰水型炉(BWR)の専門家を派遣するなど支援体制を取っており、職員は現在も日本に滞在している。事故を分析し、米国内の原発の安全性を短期・長期的に再評価する特別チームの作業は続ける。(ワシントン=勝田敏彦) 』
・読売online---『冷却装置、津波前に一時停止…東電詳細データ』
『東京電力福島第一原子力発電所1号機で、東日本大震災による津波襲来の前に非常用冷却装置が一時停止していたことが16日、東電が公表した大震災直後のデータでわかった。
データによると、運転中の1号機は地震発生後、原子炉に制御棒が挿入されて緊急停止。1号機では、地震直後の11日午後2時52分、直流電源で動く緊急時冷却装置の「非常用復水器」が自動起動し、原子炉の冷却・減圧が始まった。
しかし、約10分後の午後3時頃には、復水器は一時停止。作業記録によると、その後、弁の開け閉めが行われ、稼働、停止を繰り返した。原因は不明だが、東電によると、地震直後に原子炉内の圧力が乱高下し、この現象を抑えるため、作業員が手動で停止した可能性もある。 』
・毎日jp---『福島第1原発 1号機、冷却装置を手動停止 炉圧急低下し』
『福島第1原発1号機で地震直後、非常用冷却装置が津波の到達前に停止していたことが、東電が16日公表した初期データから分かった。従来、同装置は津波到達までは動いていたと考えられ、東電も15日公表の解析結果の前提を「津波で機能喪失」としていた。東電は「冷却装置によって炉内の圧力が急激に低下したため、手動でいったん停止したとみられる」と説明。津波が到達する中、こうした操作を繰り返すうちに冷却機能喪失に至った。近く始まる政府の事故原因究明につながる重要な内容だ。』
・asahi.com---『2・3号機もメルトダウン 東電データで裏付け』
『東京電力福島第一原子力発電所の2、3号機でも炉心溶融が起こり、原子炉圧力容器の底に燃料が崩れ落ちるメルトダウンが起きていたとみられることが、16日に東電が公表したデータで裏付けられた。3号機では溶けた核燃料がさらに下の格納容器内に落ちた恐れもある。専門家は事故直後から指摘しており、細野豪志首相補佐官も16日の会見で2、3号機でのメルトダウンの可能性を示唆した。
…データによると、圧力容器内の圧力が、2号機は3月15日午後6時43分に、3号機は3月16日午後11時50分に、それぞれ下がった。圧力容器の密閉性が損なわれ、圧力が抜けたとみられている。
…一方、細野氏は会見で炉心に水が入らなかった時間について「1号機は14時間9分、2号機は6時間29分、3号機は6時間43分と短くない」とし「炉心の完全な溶融(メルトダウン)の可能性をみておかないといけない」と話した。
また原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は16日の定例会後の会見で「3月下旬に2号機で高濃度汚染水が発見された時点で、メルトダウンしていたという認識があり、助言した。1号機と3号機も、事故の経緯を考えると同じことが起こっているとの認識を持っていた」と語った。 』
・asahi.com---『手動停止「報道で知った」 枝野氏、東電対応に不快感』
『枝野幸男官房長官は17日の閣議後会見で、東京電力が福島第一原発1号機に津波が来る前、冷却水を原子炉内に注入する「非常用復水器」を手動で止めていた可能性を示すデータを公表したことについて「報道で初めて知った」と不快感を示し、東電から報告を求める考えを明らかにした。 東電はこれまで復水器停止は津波が原因と説明してきた。』
・日経ビジネスオンライン---『1号機では、「最後の砦」は何時間動いたのか?』
『……だが、万が一停電してCSポンプもHPCIポンプも止まってしまい、ECCSが働かなかったらどうするのか。1号機の場合、その「最後の砦」が「隔離時復水器」(IC、Isolation Condenser)だ。このICは、電力を必要としないパッシブな自然冷却システムであって、無電源で8時間作動するように設計されている。
2、3号機では、この隔離時復水器(IC)の進化した「原子炉隔離時冷却系」(RCIC、Reactor Core Isolation Cooling System)と呼ばれるシステムが「最後の砦」として設置されている。これは、すべての電源が喪失した後も、炉心の発熱による蒸気で回る専用タービンによって一定時間、ポンプを駆動するシステムであってICよりも長時間作動する。
……結局のところ、原子炉に海水が注入され始めたのは、同日20時20分。「最後の砦」の隔離時復水器(IC)がほぼ設計通り作動を終えて、事態が「制御不能」の次元に入ってから20時間後のことであった。以下に、まとめておこう。
1、 3月11日16時36分に非常用炉心冷却系(ECCS)が止まってから8時間は、1号機は隔離時復水器(IC)が作動して「制御可能」の状態にあった。元来、隔離時復水器(IC)は、最長8時間作動するように設計されていた。
2、 そして隔離時復水器(IC)停止後に、この1号機は「制御不能」の事態に陥ってしまい熱暴走が起きることを、現場の技術者は知っていた。
3、 ならば、この「執行猶予」の時間内に冷却機能の復活を試みることと並行して、原子炉崩壊熱を上回る熱容量をもつ注水(毎時25トン)の準備をしておかねば、この熱暴走を止める手立てはなかった。結局「執行猶予」の時間内には冷却機能の復活はなかったので、隔離時復水器(IC)の停止と同時に、毎時25トンの注水をしていれば1号機を「制御可能」の状態にとどめて置くことは可能だった。
4、 ところが、実際には即座の注水は行なわれることなく、隔離時復水器停止の約8時間後に炉心の露出が始まった。炉心の露出が始まる直前に淡水注入が行なわれたものの、その量は毎時10トンで功を奏さず。ようやく海水注入が行なわれたのは、1号機が「制御不能」の事態に陥って約20時間後のことだった。
……以上、論証してきたように「『最後の砦』としての隔離時復水器(IC)ないし原子炉隔離時冷却系(RCIC)が停止すれば、それから事態は『制御不能』の事態に陥る。よって停止と同時に、間髪を置かずに海水を注入する以外に暴走を止めることができない」ということが、前もって100%予見可能だった。
…… 現場の技術者はプロフェッショナルなので、全員が以上のように予見したに違いない。しかし、海水を注入することは、取りも直さず原子炉を廃炉にすることを意味する。従ってその意思決定は勝俣恒久会長や清水正孝社長をはじめとする経営陣にしかできない。
4月13日に清水社長は「福島第1原発事故発生後のベント(排気)と海水注入の実施について自分が判断した」と明らかにしたという。しかし1号機の場合、「制御不能」の事態に陥って20時間後に海水注入は行なわれているから、東電の経営陣は、むしろ1号機について20時間もの間、海水注入を拒んだということができる。すなわち東電の経営陣は、技術が「制御不能」になるとはどういうことなのかを、20時間かけてようやく理解したということだろう。
だから、この事故が「初動のミス」つまり「ベントが遅すぎたり注水が少なすぎたりしたから起きた」と単純に理解してしまっては、本質を見誤る。そうではなくて、物理限界を特徴づける境界の位置と特徴、そして構造を、東電の経営陣は理解できなかったから、この事故は起きたのだ。
…… すなわち、この原発事故の本質的原因は、「技術」にあるのではなく「技術経営」にある。よって、元来「制御可能」だった事故をみずからの判断ミスで「制御不能」にしてしまった東電の経営責任は、計り知れないほど大きいと言えるのではないだろうか。日本の独占企業が、「インテリジェンス」を持たない経営陣を選び取ってしまうこと。それは、もはや「日本の病」に通ずる。』