以前よりもめていたドミニカ移住問題..
移民の多くは棄民と言うことを言っているようですが
覚悟を決めていったからにはと言うよりも現地を知らずにいくと
言うのも無理があると思います..
海外に移住して簡単に大金を稼げるとか夢のような生活を送れると夢を持つのはいいかもしれませんが現実は超厳しい..日本のように何とかなるさということ事は現地の経済状況では通用しないと言うことです..
外務省サイトより
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/18/das_0607.html
麻生外務大臣談話
ドミニカ共和国移住問題に関する外務大臣談話
平成18年6月7日
1 6月7日(水曜日)、東京地裁は、ドミニカ共和国日本人移住者国家損害賠
償訴訟について判決を下した。賠償請求の棄却という判断については、国側の
主張が認められたものと考える。同時に、当時の状況について厳しい指摘があ
ったことに十分留意し、判決内容を精査する必要があると考える。いずれにせ
よ、外務省としては、移住者との信頼関係の構築に向け、平成16年の小泉総理
の国会での発言に基づき日系人社会全体の利益及び日・ドミニカ共和国の友好
関係発展のためにどのような協力を行うかにつき、引き続き移住者との対話と
共同作業を旨として調整を進めていく考えである。
2 折しも本年はドミニカ共和国移住50周年を迎え、一連の記念行事が実施さ
れつつあると承知している。先人の御苦労と誇りを次世代へと語り継ぐ上で貴
重な機会である。法的問題とは別途に進めてきた対話と調整を通じ、外務省及
びJICAは、日系人子弟教育、ドミニカ共和国国民との地域交流等に資する現地
移住者の事業につき協力を積み重ねてきた。このような対話と調整のプロセス
が、移住50周年への対応に限られることなく、およそ国と移住者との信頼関係
の構築、強化に繋がることとなるよう、更に意を尽くしていく考えである。
毎日新聞から
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/archive/news/2006/06/07/20060607dde001040009000c.html
ドミニカ移民訴訟:劣悪環境「国に責任」 賠償請求は棄却--東京地裁
1950年代に中米のドミニカ共和国へ移住した日本人と遺族ら170人が
「『優良農地を無償配分』などとした日本政府の誇大宣伝にだまされ劣悪な環
境での生活を強いられた」として、31億円余の賠償を国に求めた訴訟で、東
京地裁(金井康雄裁判長)は7日、国の法的義務違反を認めながら、請求権が
消滅する除斥期間(20年)が過ぎたとして、請求を棄却した。日本弁護士連
合会が人権侵害と認定するなど「戦後最悪の移民政策」と指摘されたドミニカ
移民について、判決が国策の誤りを指摘したことで、国は原告ら移住者救済へ
の対応を迫られる。原告側は控訴する。
移民募集などの事務は外務省傘下の財団法人「日本海外協会連合会」(海協連、現・国
際協力機構)が担当。国が「海協連が主体的に募集選考した」と主張したことから、国の
関与や賠償責任が最大の争点になった。
判決は移住を国策だったと認定。そのうえで「国は、農業に適した土地を確保するよう
配慮する職務上の法的義務を負っていた」と判断。入植地の農業適性や面積、所有権の有
無などについて「現地調査や情報提供をする義務を尽くさなかった」と、国家賠償法上の
賠償責任を認めた。
しかし、原告の賠償請求権は移住した56~59年に発生したと指摘。「20年間を過
ぎた時点で消滅した。除斥期間の適用が著しく正義、公平に反するとは言えない」として
訴えを退けた。【高倉友彰】
◇主張が認められた--麻生外相
麻生太郎外相は「国側の主張が認められた。同時に、当時の状況について厳しい指摘が
あったことに十分留意し、判決内容を精査する必要がある」との談話を発表した。
◇無念に時効はない--原告・弁護団の話
国策だったことに判決は触れたが、控えめな評価しかできない。移住者の無念や苦しみ
に「時効」はない。判決の不当性は明らかで、ただちに控訴する。
==============
■ことば
◇ドミニカ移民訴訟
戦後の引き揚げ者対策で56~59年にドミニカ共和国に移住した249家族1319
人のうち、現地に残留した141人が、00~01年、東京地裁に提訴。01年には61
~62年に集団帰国した29人も加わった。1人当たり約350万~3000万円の賠償
を請求している。南米など他の国への移民を巡っては同種の訴訟はない。03年に訴訟を
支援する超党派の国会議員連盟が発足。小泉純一郎首相は04年3月「不手際を認め、し
かるべき対応を考えたい」と参院予算委で答弁していた。
毎日新聞 2006年6月7日 東京夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060608k0000m040053000c.html
ドミニカ移民訴訟:東京地裁判決の要旨
ドミニカ移民訴訟を巡る7日の東京地裁判決の要旨は次の通り。
1 本件移住の性格
本件移住は、被告国が重要な政策として位置づけていた日本国民の海外移住政策の一環
として、外務省と農林省が企画立案し、財団法人・日本海外協会連合会(海協連)に指示
して実施した。
2 職員の法的義務違反
(1)調査義務違反
移住は、移住者の人生に多大な影響を及ぼし、農業移民の場合、入植地の農業適性が問
題になる。国はドミニカとの交渉などにより、努力を積めば所期の目的を達しうる農地を
備えた移住先を確保する配慮が求められる。本件移住政策の遂行過程を検討すると、外務
省と農林省の担当職員はそうした配慮をすべき職務上の法的義務を負っていたにもかかわ
らず尽くさなかった。
55年9月の現地調査団は入植予定地の農業適性を十分調査する必要があったが尽くさ
ず、ドミニカ政府との受け入れ条件に関する交渉でも細部の詰めをしなかった。現地公館
はドミニカ側からダボハン地区のかんがい用水の確保で難色が示されたにもかかわらず
「日本人移住者であれば対処できる」として早期移住の実現を強く働き掛けた。その他の
地区でも農業適性や、配分される土地の面積に関する調査義務違反があった。
(2)情報提供義務違反
移住者は、ドミニカの法律などで、営農や土地所有権の取得に制約を課される立場に
あった。これは農業経営基盤の根幹にかかわる重要事項だったが、募集要領や要項には記
載が一切なかったり、不十分な記載しかなかった。外務省と農林省の担当職員には職務上
の法的義務違反があった。
3 外相、農相の法的義務違反
本件移住の性格に照らすと、行政事務を統括していた外相、農相にも職務上の法的義務
違反があった。国には国賠法に基づく損害賠償義務が発生した。
4 除斥期間について
不法行為に基づく損害賠償請求権は、不法行為から20年で消滅する(除斥期間)。本
件では原告の入植時点を除斥期間の起算点とするのが相当。本件訴訟の提起は起算点から
20年以上後であることは明らかで、請求権は既に消滅した。
原告らは除斥期間の適用が著しく正義、公平の理念に反する場合、除斥期間の適用を制
限することができると主張する。確かに、原告らが移住により物心両面に幾多の辛苦を重
ねてきたことが十分認められる。しかし、帰国原告らは62年の時点で国の責任追及のた
め行動し、残留原告らは74年までに直接日本政府と交渉するとの前提で取り組みを始め
ていた。にもかかわらず、訴訟提起は除斥期間経過後で、除斥期間の適用が著しく正義、
公平に反すると認めることはできない。
毎日新聞 2006年6月7日 19時29分 (最終更新時間 6月7日 20時43分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060607k0000e040043000c.html
ドミニカ移民訴訟:「棄民」に時効の壁…老いた原告無念
「涙を流して死んでいった仲間に何と報告すればいいのか」。ドミニカ移民
訴訟の7日の東京地裁判決は「戦後最悪」とされた移民政策を糾弾しながら、
法律上の「時効」を理由に原告の請求を棄却した。「私たちは国にだまされ捨
てられた『棄民』」。内容で勝訴しながら、結果は敗訴。国策移民の悲劇を告
発してきた老いた原告たちは、無念の表情を見せた。
「祖国は自国民をカリブ海の小さな島に捨てたんだな」。請求棄却の主文を聞いた瞬
間、今もドミニカ共和国で暮らす原告の嶽釜(たけがま)徹さん(68)の頭を、そんな
思いがよぎった。
提訴から6年。法廷で移民政策の不当性を訴え続けてきた。「すべてを時効として消し
てしまう判決には本当に不満」。悔しさをこらえるように言葉を選ぶ。「祖国にだまされ
るなんて、誰一人思っていなかった。我々は本当に日本人なんでしょうか」。移住先で亡
くなった仲間は137人に上るという。「ドミニカに眠る彼らにどのように報告すればい
いのか迷っている」。そう語ると、唇をかんだ。
一方、61~62年に日本へ戻った移住者でつくる「集団帰国者の会」副会長の森正次
さん(73)=石川県志賀町=も「政府が悪いと分かっていて、時効で解決するのは許せ
ない」と、判決に怒りをあらわにした。
石川県の森林組合に勤めていた55年3月、「現地はカリブ海の楽園。広大な優良農地
が無償で得られる」とのチラシに誘われ、ドミニカ共和国移住に応募した。当時23歳。
「大農園主になり『国土』を広げれば新生日本にも貢献できる」。そう思った。
だが、入植した同国西部のネイバ地区は、石ころだらけで、かんがい施設もなかった。
わずかな土と水でバナナを作り命をつなぐ日々。入植地は有刺鉄線で囲まれ、銃と刀を持
つ軍人に似た姿の管理人が草刈り作業などを強いる。自由さえ奪われた。その悔しさやみ
じめさが、今もうずく。
今夏は移住50周年。記念式典も予定されている。嶽釜さんは「移住50周年になりま
せん。『棄民』50周年になります」と吐き捨てるように言った。【高倉友彰、木戸哲】
【写真】敗訴判決を受けて記者会見する原告の嶽釜徹さん=東京地方裁判所で7日午前
11時46分、内藤絵美写す
毎日新聞 2006年6月7日 11時18分 (最終更新時間 6月7日 14時33分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060608k0000m040107000c.html
ドミニカ移民訴訟:「反省点は多々」…小泉首相
小泉純一郎首相は7日夜、ドミニカ移民訴訟について「形式的には国が勝訴になってい
るが、国として反省すべき点は多々ありますね」と記者団に語った。首相はこれに先立
ち、首相官邸に報告に訪れた外務省の谷崎泰明領事局長に「誠意を持って対応するよう
に」と指示した。
毎日新聞 2006年6月7日 21時11分
移民の多くは棄民と言うことを言っているようですが
覚悟を決めていったからにはと言うよりも現地を知らずにいくと
言うのも無理があると思います..
海外に移住して簡単に大金を稼げるとか夢のような生活を送れると夢を持つのはいいかもしれませんが現実は超厳しい..日本のように何とかなるさということ事は現地の経済状況では通用しないと言うことです..
外務省サイトより
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/18/das_0607.html
麻生外務大臣談話
ドミニカ共和国移住問題に関する外務大臣談話
平成18年6月7日
1 6月7日(水曜日)、東京地裁は、ドミニカ共和国日本人移住者国家損害賠
償訴訟について判決を下した。賠償請求の棄却という判断については、国側の
主張が認められたものと考える。同時に、当時の状況について厳しい指摘があ
ったことに十分留意し、判決内容を精査する必要があると考える。いずれにせ
よ、外務省としては、移住者との信頼関係の構築に向け、平成16年の小泉総理
の国会での発言に基づき日系人社会全体の利益及び日・ドミニカ共和国の友好
関係発展のためにどのような協力を行うかにつき、引き続き移住者との対話と
共同作業を旨として調整を進めていく考えである。
2 折しも本年はドミニカ共和国移住50周年を迎え、一連の記念行事が実施さ
れつつあると承知している。先人の御苦労と誇りを次世代へと語り継ぐ上で貴
重な機会である。法的問題とは別途に進めてきた対話と調整を通じ、外務省及
びJICAは、日系人子弟教育、ドミニカ共和国国民との地域交流等に資する現地
移住者の事業につき協力を積み重ねてきた。このような対話と調整のプロセス
が、移住50周年への対応に限られることなく、およそ国と移住者との信頼関係
の構築、強化に繋がることとなるよう、更に意を尽くしていく考えである。
毎日新聞から
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/archive/news/2006/06/07/20060607dde001040009000c.html
ドミニカ移民訴訟:劣悪環境「国に責任」 賠償請求は棄却--東京地裁
1950年代に中米のドミニカ共和国へ移住した日本人と遺族ら170人が
「『優良農地を無償配分』などとした日本政府の誇大宣伝にだまされ劣悪な環
境での生活を強いられた」として、31億円余の賠償を国に求めた訴訟で、東
京地裁(金井康雄裁判長)は7日、国の法的義務違反を認めながら、請求権が
消滅する除斥期間(20年)が過ぎたとして、請求を棄却した。日本弁護士連
合会が人権侵害と認定するなど「戦後最悪の移民政策」と指摘されたドミニカ
移民について、判決が国策の誤りを指摘したことで、国は原告ら移住者救済へ
の対応を迫られる。原告側は控訴する。
移民募集などの事務は外務省傘下の財団法人「日本海外協会連合会」(海協連、現・国
際協力機構)が担当。国が「海協連が主体的に募集選考した」と主張したことから、国の
関与や賠償責任が最大の争点になった。
判決は移住を国策だったと認定。そのうえで「国は、農業に適した土地を確保するよう
配慮する職務上の法的義務を負っていた」と判断。入植地の農業適性や面積、所有権の有
無などについて「現地調査や情報提供をする義務を尽くさなかった」と、国家賠償法上の
賠償責任を認めた。
しかし、原告の賠償請求権は移住した56~59年に発生したと指摘。「20年間を過
ぎた時点で消滅した。除斥期間の適用が著しく正義、公平に反するとは言えない」として
訴えを退けた。【高倉友彰】
◇主張が認められた--麻生外相
麻生太郎外相は「国側の主張が認められた。同時に、当時の状況について厳しい指摘が
あったことに十分留意し、判決内容を精査する必要がある」との談話を発表した。
◇無念に時効はない--原告・弁護団の話
国策だったことに判決は触れたが、控えめな評価しかできない。移住者の無念や苦しみ
に「時効」はない。判決の不当性は明らかで、ただちに控訴する。
==============
■ことば
◇ドミニカ移民訴訟
戦後の引き揚げ者対策で56~59年にドミニカ共和国に移住した249家族1319
人のうち、現地に残留した141人が、00~01年、東京地裁に提訴。01年には61
~62年に集団帰国した29人も加わった。1人当たり約350万~3000万円の賠償
を請求している。南米など他の国への移民を巡っては同種の訴訟はない。03年に訴訟を
支援する超党派の国会議員連盟が発足。小泉純一郎首相は04年3月「不手際を認め、し
かるべき対応を考えたい」と参院予算委で答弁していた。
毎日新聞 2006年6月7日 東京夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060608k0000m040053000c.html
ドミニカ移民訴訟:東京地裁判決の要旨
ドミニカ移民訴訟を巡る7日の東京地裁判決の要旨は次の通り。
1 本件移住の性格
本件移住は、被告国が重要な政策として位置づけていた日本国民の海外移住政策の一環
として、外務省と農林省が企画立案し、財団法人・日本海外協会連合会(海協連)に指示
して実施した。
2 職員の法的義務違反
(1)調査義務違反
移住は、移住者の人生に多大な影響を及ぼし、農業移民の場合、入植地の農業適性が問
題になる。国はドミニカとの交渉などにより、努力を積めば所期の目的を達しうる農地を
備えた移住先を確保する配慮が求められる。本件移住政策の遂行過程を検討すると、外務
省と農林省の担当職員はそうした配慮をすべき職務上の法的義務を負っていたにもかかわ
らず尽くさなかった。
55年9月の現地調査団は入植予定地の農業適性を十分調査する必要があったが尽くさ
ず、ドミニカ政府との受け入れ条件に関する交渉でも細部の詰めをしなかった。現地公館
はドミニカ側からダボハン地区のかんがい用水の確保で難色が示されたにもかかわらず
「日本人移住者であれば対処できる」として早期移住の実現を強く働き掛けた。その他の
地区でも農業適性や、配分される土地の面積に関する調査義務違反があった。
(2)情報提供義務違反
移住者は、ドミニカの法律などで、営農や土地所有権の取得に制約を課される立場に
あった。これは農業経営基盤の根幹にかかわる重要事項だったが、募集要領や要項には記
載が一切なかったり、不十分な記載しかなかった。外務省と農林省の担当職員には職務上
の法的義務違反があった。
3 外相、農相の法的義務違反
本件移住の性格に照らすと、行政事務を統括していた外相、農相にも職務上の法的義務
違反があった。国には国賠法に基づく損害賠償義務が発生した。
4 除斥期間について
不法行為に基づく損害賠償請求権は、不法行為から20年で消滅する(除斥期間)。本
件では原告の入植時点を除斥期間の起算点とするのが相当。本件訴訟の提起は起算点から
20年以上後であることは明らかで、請求権は既に消滅した。
原告らは除斥期間の適用が著しく正義、公平の理念に反する場合、除斥期間の適用を制
限することができると主張する。確かに、原告らが移住により物心両面に幾多の辛苦を重
ねてきたことが十分認められる。しかし、帰国原告らは62年の時点で国の責任追及のた
め行動し、残留原告らは74年までに直接日本政府と交渉するとの前提で取り組みを始め
ていた。にもかかわらず、訴訟提起は除斥期間経過後で、除斥期間の適用が著しく正義、
公平に反すると認めることはできない。
毎日新聞 2006年6月7日 19時29分 (最終更新時間 6月7日 20時43分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060607k0000e040043000c.html
ドミニカ移民訴訟:「棄民」に時効の壁…老いた原告無念
「涙を流して死んでいった仲間に何と報告すればいいのか」。ドミニカ移民
訴訟の7日の東京地裁判決は「戦後最悪」とされた移民政策を糾弾しながら、
法律上の「時効」を理由に原告の請求を棄却した。「私たちは国にだまされ捨
てられた『棄民』」。内容で勝訴しながら、結果は敗訴。国策移民の悲劇を告
発してきた老いた原告たちは、無念の表情を見せた。
「祖国は自国民をカリブ海の小さな島に捨てたんだな」。請求棄却の主文を聞いた瞬
間、今もドミニカ共和国で暮らす原告の嶽釜(たけがま)徹さん(68)の頭を、そんな
思いがよぎった。
提訴から6年。法廷で移民政策の不当性を訴え続けてきた。「すべてを時効として消し
てしまう判決には本当に不満」。悔しさをこらえるように言葉を選ぶ。「祖国にだまされ
るなんて、誰一人思っていなかった。我々は本当に日本人なんでしょうか」。移住先で亡
くなった仲間は137人に上るという。「ドミニカに眠る彼らにどのように報告すればい
いのか迷っている」。そう語ると、唇をかんだ。
一方、61~62年に日本へ戻った移住者でつくる「集団帰国者の会」副会長の森正次
さん(73)=石川県志賀町=も「政府が悪いと分かっていて、時効で解決するのは許せ
ない」と、判決に怒りをあらわにした。
石川県の森林組合に勤めていた55年3月、「現地はカリブ海の楽園。広大な優良農地
が無償で得られる」とのチラシに誘われ、ドミニカ共和国移住に応募した。当時23歳。
「大農園主になり『国土』を広げれば新生日本にも貢献できる」。そう思った。
だが、入植した同国西部のネイバ地区は、石ころだらけで、かんがい施設もなかった。
わずかな土と水でバナナを作り命をつなぐ日々。入植地は有刺鉄線で囲まれ、銃と刀を持
つ軍人に似た姿の管理人が草刈り作業などを強いる。自由さえ奪われた。その悔しさやみ
じめさが、今もうずく。
今夏は移住50周年。記念式典も予定されている。嶽釜さんは「移住50周年になりま
せん。『棄民』50周年になります」と吐き捨てるように言った。【高倉友彰、木戸哲】
【写真】敗訴判決を受けて記者会見する原告の嶽釜徹さん=東京地方裁判所で7日午前
11時46分、内藤絵美写す
毎日新聞 2006年6月7日 11時18分 (最終更新時間 6月7日 14時33分)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060608k0000m040107000c.html
ドミニカ移民訴訟:「反省点は多々」…小泉首相
小泉純一郎首相は7日夜、ドミニカ移民訴訟について「形式的には国が勝訴になってい
るが、国として反省すべき点は多々ありますね」と記者団に語った。首相はこれに先立
ち、首相官邸に報告に訪れた外務省の谷崎泰明領事局長に「誠意を持って対応するよう
に」と指示した。
毎日新聞 2006年6月7日 21時11分