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MusicMemo

ブラック・ディアスポラ

1990年代になってから、アメリカの黒人のことをアフリカン・アメリカン(アフリカ系アメリカ人)と呼ぶケースにしばしば出会うようになった。なぜそう呼ぶようになったか。少なくとも、ブラック(黒)という言い方が差別的だからという理由で言い換えられた表現だとは思えない。二ガー(黒んぼ)とかカラード(色つき)というのは差別的な言葉だが、ブラックは誇り高い言葉だ。アメリカの黒人達は、60年代に沸き起こった公民権運動のさなかに“ブラック・イズ・ビューティフル”という概念に目覚めている。それでもなお、あえてアフリカン・アメリカンと呼ぶのは、そこにブラック・ディアスポラ(アフリカン・ディアスポラ)としてのアメリカの黒人という意味合いが含まれているからである。


ディアスポラとは、もともとはユダヤ人の離散を意味した言葉だが、いまは様々な民族がグローバルに流浪していった結果最終的に生まれた意識や感覚全般を指す言葉になっている。例えばアメリカに渡ったアジア人はアジアン・ディアスポラだし、インターネットのことをデジタル・ディアスポラと称する人もいる。
インターネットのアルタヴィスタという検索エンジンにdiasporaと打ち込んでみれば、実に8万件以上もヒットして、その多くがブラック・ディアスポラについての記述となっていることに気づかされる。


アメリカの黒人は、プエルトリコやハイチやジャマイカなどから近年になって移民
してきた人や、キューバからの亡命者も含めて、言うまでもなく、すべて強制的に
奴隷船に乗せられたアフリカの黒人たちの子孫である。奴隷船の航路は、三角貿易
といっても、実際にはシンプルな三角形を描いていたわけではなく、アフリカの港
はセネガルからアンゴラまで大西洋岸一体に広く分布していたし、荷物が下ろされ
た港はアメリカからブラジルまでど、こちらも広く分布していた。音楽に組み込ま
れたアフリカ起源のリズムも、その奴隷船の航路のようにルートを経て、アメリカ
という世界最大の音楽消費国に辿り着いたのだろう。※「黒いグルーブ」石井昌隆著より



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