
上巻と異なり、後半は冷戦の影響によるGHQの右旋回と、改革の巻き戻し、それらの矛盾が描かれる。
理想は絵に描いた餅になってしまい、禍根を残した。
いわゆる55年体制とか、長らく解決を見ない憲法論議は、占領下における日米合作の結果であることが、本書によって理解できた。
日米双方が、天皇制を利用し、無責任の国体が強力な官僚制とともに生き残ってしまった。
帯には「敗北からの蘇りと簒奪された改革を壮大に描いた20世紀の叙事詩」とある。まさにそういえるだけの、大河ドラマ級ボリューム・情報量だった。それを全く飽きさせずに読ませる筆力。多くの賞を獲得したのも納得である。
本書は、1999年にアメリカで発刊された。日本が復興し、経済的に勝利し、その勝利を失って数年というタイミングだ。これから「日本たち」「日本人たち」は、平和と民主主義をどうするのか、そういう不安(と微かな期待)を行間に感じた。
アメリカに渡され、アメリカに骨抜きにされた平和憲法。私たちは、まだ敗北を抱きしめている。そして無責任さを増している。占領されてるのか独立しているのかも曖昧なままに。
もし他に、その後書かれた翻訳があるなら、同じ著者の本を読みたい。また、日本の評論家が本書をどう読んだのかも紐解いてみたい。
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