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ご存じのとおり日本は地下資源に恵まれず、その一例としてエネルギー自給率は低い。例えば石油はほぼ輸入に頼っている。その中でわずかだが石油の国内生産が行われていることは以前このブログで触れた。

一方日本において豊富に採取できる地下資源も存在する。石灰石とヨウ素 (ヨード) がその代表格だ。

石灰石は自給率100%を誇っている。

石灰石鉱業協会 - 石灰石鉱業の紹介
https://www.limestone.gr.jp/introduction/index.htm

石灰岩は、主に方解石(炭酸カルシウム・CaCO3)という鉱物から出来ている岩石です。石灰岩を鉱業的に資源として取り扱う場合は鉱石名として「石灰石」と呼びます。日本には全国各地に石灰岩が分布しており、200以上の石灰石鉱山が稼動しています。
石灰石は全国で年間約1億4千万トン生産されています。採掘方法としてはほとんどの鉱山で露天採掘でのベンチカット採掘法が採用されています。また、石灰石鉱床の多くは山地に分布しているため、ベンチカットと立坑を組み合わせた方式が一般的です。
石灰石の主要な用途はセメント原料です。日本では年間約7,900万トンの石灰石 (全出荷量の47%) がセメント向けに出荷されています。セメントは石灰石、粘土、けい石、鉄滓などをキルンで焼成し、石膏を添加し粉砕して製造されます。セメントは様々な建築や土木工事などに広く使われており私たちの生活に無くてはならない基礎資材です。


セメントの他にも、コンクリート用骨材や鉄鋼 (製鉄所の高炉に鉄鉱石やコークスと共に投入され、鉄原料中の不純物と化合してスラグをつくる) などで使用されている。
また石灰石は人体に安全で、カルシウム分そのものが栄養素であることから、こんにゃくやパンなどさまざまな食品の加工、添加用に使用されている。

但し、石灰石は日本のみでなく世界各地で大量に産出されるため単価が安く、また重くてかさ張るため輸出入はあまり行われない。そのため日本の石灰石は地産地消型で輸出は僅かである。

一方で日本が世界的に高いシェアを誇り、海外への輸出も多い地下資源はヨウ素 (ヨード) である。

事業構想オンライン 2014年1月号 世界シェア2位の実力、千葉県産ヨード
https://www.projectdesign.jp/201401/pn-chiba/001032.php

千葉県を中心とする南関東一帯の地下には「南関東ガス田」という巨大な天然ガス田が存在します。この天然ガスは水溶性で、かん水(塩水)に溶解し地中に埋蔵されており、千葉県の茂原市を中心とした地域で採取されています。このかん水に含まれる元素がヨードです。ヨードは海水などにも含まれますが、微量のため抽出は経済的に不可能です。一方、かん水には海水の約2000倍のヨードが含まれ、濃縮・精製が可能です。日本最大の水溶性ガス田を持つ千葉県は、ヨード生産量も日本一です。
2012年の全世界での生産量は3万2000トンと推測されます。ほとんどをチリと日本が占め、日本は約30%にあたる9500トンを生産しています。そのうち千葉県は国内生産量の75%を占めています。

ヨードは工業、食品、医薬、農業などあらゆる産業で活用される資源です。ヨードの用途開発が急速に進み、新市場が成長しています。
代表例がレントゲン撮影に利用される造影剤です。ヨードのX線吸収機能に着目し、従来品よりも格段に造影能力が高い「第三世代」と呼ばれる造影剤が開発されました。
次に工業用触媒や液晶関連の需要です。レインコートやテーブルクロス等の撥水剤を製造する過程でヨードが使われます。また、液晶テレビやスマートフォンの偏光フィルムにもヨードが使用され、その優れた偏光作用を利用して鮮明な画像が得られることで、皆様の豊かな生活に役立っています。
また医療産業や先端産業でも活躍しています。ヨードは非常に幅広い化合物としての特性を持っており、今後の研究でさらなる用途拡大が期待できます。
ヨードは我々の生存と成長に不可欠な元素で、摂取量が少ないとヨウ素欠乏症になり、甲状腺肥大や脳障害、発育不全などの原因となります。世界ではヨード欠乏症予備軍は16億人と言われ、日本ヨード工業会では、社会貢献とヨード産出国の責務として、新興国へのヨード支援を行ってきました

この「南関東ガス田」は日本国内の天然ガス埋蔵量の約9割を占めるのだが、その範囲は以下の地図のとおりで東京都心、川崎市、京葉地区も含まれる。かつては東京での生産も行われていたが、ガス採掘に伴う地下水汲み上げが地盤沈下を招いたことから採掘は規制されたそうだ。というか、地価を考えたらさすがに割が合わないだろう。

地下資源はエネルギー資源だけではなく、また日本にも豊富な地下資源はある。ぜひ石灰石とヨウ素の用途を拡めて貴重な資源を最大限活用していきたい。

 



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