第4回 工作に目覚める
小学校4~5年の頃 課外授業があった。正規の教科の他に 体操や音楽などが選択でき、私はすぐ近所に住むNGT君と 工作クラブへ入った。
何を作ろうかと彼と相談すると M42パットンと言う戦車を作ると言う。プラモデルが流行りだした時期だった。そこで私も プラモデルの戦車を作ることにした。お店を聞くと浦上駅の並びにあって歩いて行けた。なんとか無線という名の店だった。
私も シャーマンだったか センチュリオンだったか忘れたが 戦車のプラモを買った。
数週間後 顧問の先生の採点があった。NGT君が電源を入れると戦車は颯爽と走り出した。
次は私だった。先生は採点表を持ちながら 「動くか?」と私に聞いた。
私は「走りません」と、力無く答えた。マブチ・モーターや電池を買うお金は もう無かったのだ。
大人になったら絶対に貧乏にはなりたくないと 心底思った。
しかし ひとつ大切なことを教えられた。
私の後に採点を受けたI君。15本くらいの割り箸を組み上げて 素敵なオブジェを作っていた。中には牛乳瓶か何か入っていて 花瓶の様だった。
バランスが取れていて デザイン的にみても素晴らしかった。
ショックだった・・・そうか、お金を掛けなくても アイデア次第では 身近なもので素敵な作品ができるのだと教えられた。
後日 I君の家へ遊びに行った。つつじなどの植栽があって 小さな噴水さえある素敵な庭のある家だった。
プラモデルなど簡単に買ってもらえそうなお宅だった。