事務局長通信

地域医療構想と介護保険で『地域包括ケア』は可能か~高齢者の尊厳を守るために

 当日発言させていただくにあたってのメッセージを、「大阪社保協FAX通信第1147号」に掲載していただきました。ぜひたくさんの方に、このシンャWウムに参加して欲しいと思っています。

★家族の立場から~
 「大変なことになった」は、急性期病院に駆け付けた私に向かっておばあちゃん(母)が最初に発した言葉です。
 おじいちゃん(父)は、1年前の10月8日に自宅で脳出血を発症、階段を下りている最中でそのまま転落しました。すぐに救急車を呼び病院へ、左大腿骨骨折と脳出血との診断で総合医療センターへ再搬送されました。
 出血は広がらなかったものの右マヒと言語障害が残り、大腿骨にはプレートを挿入する手術を受けました。様々な病歴が影響したのか、身体的状況が中々落ち着きませんでした。入院から1ヶ月、「回復期リハビリHPへの転院は入院から2ヶ月以内」との説明があり、その後期限ギリギリで受け入れ先が決まりました。
 「ベッドから車いすの移乗が出来れば」「自宅に戻った時に一人でトイレに行けたら」。おじいちゃんは、一日3回のリハビリを懸命に頑張って座位を取れるようになりました。しかし、その時点で最長5ヵ月という回復期入院期限。在宅も考えましたが、結果は老健入所となりました。「まだ家に帰ること難しいな」という問いかけに黙ってうなずいたおじいちゃん、「しょうがないよな」とおばあちゃんも淋しそうに言い聞かせていました。
 老健入所10日で肺炎となり、1ヶ月入院(規定で老健は即退所)。再入所できたもののリハビリは1週間2回40分に減少しました。面会時、動く左手を使い前後に車イスを動かす仕草をよく見せています。ある時気が付いたのですが、それは家に帰るためのおじいちゃんなりの練習でした。本当に悲しそうな表情で「帰りたい。でも難しいな」と言う言葉に、申し訳ない気持ちで一杯です
 いつかは、親の介護に直面するだろうと思っていました。しかし実際にそうなり医療・介護に向き合うと、当事者・家族の願いとは違うところで制度が動いているように思えてなりません。医療は、本当に必要な人に届いているのでしょうか。入院期間やリハビリに、何故ここまで期限があるのかわかりません。在宅生活を送るためには家族介護が前提であり、結局は老老介護・介護離職につながります。必要な支援を受けようと思えば、負担が重くのしかかります。「介護を社会化する」と言って導入した制度なのに、現実は全く違っていると強く感じています。
 私が直面している状況は、特別なことではなく多くの方に共通することだと思います。ぜひたくさんの方に、このシンャWウムに参加して欲しいです。


【ご案内】
「地域医療構想と介護保険で『地域包括ケア』は可能か~高齢者の尊厳を守るために」

・主催;大阪社会保障推進協議会
・日時;11月20日(日)午後1:30~5:00
・場所:大阪民医連会議室(「堺筋本町駅9番出口・徒歩3分)
    大阪市中央区南本町2丁目1番8号 創建本町ビル 2階
・内容
1時30分 主催者あいさつ      井上賢二 大阪社保協会長
1時35分 ①家族から訴える     報告者 雨田信幸さん 
1時50分 ②病院・老健アンケート(入院・入所前、退院・退所後)の報告
報告者(鴻上圭太さん・北垣智基さん いずれも健康福祉短期大学講師)
2時20分 ③問題提起 「地域包括ケアと地域医療構想 高齢者の尊厳は守れるか」佛教大学 岡崎祐司教授 (50分)
3時10分 休憩(10分)
3時20分 ④シンャWウム   
コーディネーター(岡崎祐司教授) 
15分×3人 45分
・病院から 上山病院地域連携室MSW 江坂竜二さん(退院の実態と問題点)
・老健から よどの里支援相談員社会福祉士森部登美子さん(入所経路、対処に向けての苦労など)
・地域医療から 入谷医院医師 入谷純光さん(開業医の実態と在宅医療)
4時40分 ⑤まとめ  大阪民医連 土居事務局長
⑥アピール提案 採択
5時00分 終了


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