涙目筑前速報+

詰まるところは明日を知る。なだらかな日々につまずいて
向かうところはありもせず、未来の居場所だって未定―秋田ひろむ

どんな名作だって人を選ぶ

2015-12-21 21:37:42 | チラシの裏
「このゲームは人を選ぶから・・・」


僕の嫌いなワード。「人を選ぶ」
ゲームに限らず、本でも音楽でも、この言葉はよく使われる。
一部の人には受け入れられるが、一部の人には分からない・受け入れられないであろうという意味合いで使われる。
僕自身も、「まあ人を選ぶものだから安易に紹介にしくいですね」なんて建前でヘラヘラ使う事もある。
その建前を使わなきゃいけない空気感もまた嫌いだ。
でも対人関係なんて往々にしてそんなもんだから、仕方がないという灰色に満ちた想いもある。

よくよく考えれば「人を選ぶ」なんて当たり前な事なんだ。
どんな神ゲーと呼ばれるゲームソフトだって、それが嫌いな奴はいるだろう。
音楽にしたって、ビートルズがダメな人間だっているだろう。
今の作品を否定してりゃ行きつく先は古典なんだろうが、そんなテンションで作品作りをした日には、どうせ「焼き増し」と言われるのがオチだったりする。
先人の知恵は進歩の足しにはなっても、先人の真似事に進歩はないんだよ。
ファミコンのクオリティを今のご時世で出したところで、万人受けするわけなんかない事なんて、一度ファミコンソフトを遊んでみれば一目瞭然だ。
そもそもUIが古すぎて遊びにくいことこの上ない。

つまるところ、あらゆる作品には「数割方内容が理解できなかった・受け入れられないかった」という人間が存在するのが真理なんじゃないかと、僕は考えている。
そこを、ランチェスターおじさんよろしく「73.9%の支持があったから、これは万人受け!」なんて無理くり頭の良さそうな事言ってみたり、「全世界でウン百万の売上があったから万人向けなのは当然!否定してるのはキチガイアンチ!と売り豚レベルの認定しちゃうのも人それぞれだ。
そして行きつくのは「おまえみたいなキチガイアンチor信者はこんなだからクソみたいな人生なんだよな」だのなんだのの泥仕合だ。
ここまで来ると泥仕合の言い合いに参加した奴らにかけることが出来る言葉と言えば、全員漏れなく死ねの一言しか出てこなくなる。
オウ死ねコラ。

で、この手の泥仕合の結論はいつだって、「まあ人それぞれなんだから好きなのに触れていたらいいじゃないですか。お互い距離を取りながらナアナアでやっていきましょうよ」だ。
実に日本人的。
いや言い争ってる奴らだけが「世間の皆さま、お騒がせして不快にさせてしまって申し訳ありませんでした」っつって切腹したらいいだけの話じゃないですか。
そんでもって当の本人達は何食わぬ顔で明日も平日の昼間から言い合いに興じるわけでしょ。
Twitterでブツクサしょうもないこと垂れ流してるだけなんでしょ。
チン毛毟るぞコラ。

万人に受け入れられるものなんて滅多にないだろうし、疑い出せばキリがない。
そりゃデカルトだって「考える自分自身は疑いなく存在する」なんて言葉の一つも言いたくなる。
いやデカルトあんま関係ないけど。

なので、どんな名作でも人を選ぶ。
僕がFallout3をどんなに楽しんでいたところで、戦闘が面白くないだの翻訳がおかしいだの、何したらいいかわからんつまらん糞ゲー!なんて声はたくさんある。
一方で、The Last of Usがどんなに賞を総なめして周りが大絶賛したところで、僕は速攻で飽きてしまったわけで。
まあ、そんなもんなんだろうと思う。

何が言いたいかっていうと、繰り返しになっちゃうけど、まず万人向けの作品なんて、突き詰めたら存在しない。
周囲の評価が爆高だったからって、その作品は貴方に合うわけではない。

でもこんな事言っちゃうと哀しいことなので、ちょっといい事も言いたい。
自分が「ダメだな」って思った時なんて、大抵その人自身の心持ちの問題でしかないわけ。
日が経ってみたり、気分が変わったりすると、評価がコロッと一転することだってあると思う。
その時合わなかった作品に再度触れたら、また新たな発見があるかもしれないよと言いたい。
だからThe Last of Usやろうよ。もう一回やろう俺。

「一度つまらなかったと感じたものが、もう一回触れてみたら面白かった」なんて発見があれば、それはその作品の魅力に気付くことが出来た貴方の成長だ。
おめでとう。
面白い面白くないなんて、ホントその時の気分次第なもんなので、作品にはもっと気軽に触れた方が良いと思うよ。
なんかそんな感じだ。


あとアレ。
「人を選ぶ」って言われる時はすっごい受け入れられる要素と受け入れられない要素が分かりやすく出ているって意味でも使われたりするよね。
「遊びにくいけどストーリーが良い!」とか、逆もまた然りな感じで。
そういう意味合いの時は、その作品の長所と自身の趣味嗜好をしっかり見極めることが大事だよね。
ここも、自分の度量を試されているってわけじゃないけど、自分の好きな幅が出てくると思うので、まあ出来れば幅広く好きでいたいと思います。僕は。
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