やおい的読書記録

BL好き女が書いているごく個人的な感想文です
やおい的目線で見ている作品もそうでない作品もあります

光文社文庫版『四つの署名』感想

2019-11-03 19:25:00 | SH関連
ようやくこっちの感想を書けるぜ……

これよりも後に読んだ本の内容を忘れないうちに書こうと思ってたら、見事にこっちが後回しになってしまったんですけどね!!!

さて今回タイトルの『四つの署名』、
お宝をめぐる冒険物語というところでワクワクし、
犯人の尻尾がなかなかつかめないところでハラハラさせられ、
さらにワトソン先生のロマンス要素ときますからね……(腐った目線ではとても重要ポイント)
絶対外せない長編第二作ですよね!!!!

日暮先生の訳が超読みやすくて感動しました。
新潮文庫版の延原訳も好きなんだけど、あっちはヴィクトリア朝の雰囲気に浸りたい時向けかな〜。
あとグラナダ版の字幕でのホームズとワトソンの喋りが日暮訳に近いと(めちゃくちゃ勝手に)思っているので、
グラナダ版を反芻しつつ新幹線の中で読み終わりました…(余韻に浸る顔)

まず、冒頭のコカイン7%溶液のくだりからして読者の心をグッと掴んできますよね…!
ホームズの人物像を提示しながら、事件への導入につながる展開が好き。
あと外せないのが、ワトソン先生がホームズを心配しているところだ!!!
ここで思いっきりガッツポーズ。

ラストにワトソン先生がモースタン嬢と婚約したって報告をしますけど、そこで冒頭の対比でコカイン溶液を持ってくるのが最高だと思いますネ!!!
それワトソン先生がやめろって言ったじゃん!!!これだからこの名探偵は!!!!!!
と思いつつ腐った目線的にはめっちゃ美味しいやつですね。

ちなみに解説で、ラストのシーンでのふたりの関係の恋愛的解釈はバッサリ否定されてますけど!
わかってるんだよこっちも!原作者もそういうつもりで書いてないだろうけど!
勝手に妄想してるだけでーす!!!と主張しとく。

にしても解説で、ふたりの関係が恋愛じゃないだろうとめっちゃ否定されたそのすぐ後ろに
「私のホームズ」というエッセイが掲載されていて、
ビリー・ワイルダーの映画版に言及されているのがめちゃくちゃ面白くないですか😆

だってビリー・ワイルダー版って、ホームズがロシアのバレリーナに迫られたとき
「ワトソンと自分は幸せに暮らしてるからダメ」って断る口実(???それは本当に口実なのか???)
を言って退けるやつらしいんですよ!!!
その内容知ったとき、えっそれマジなんですか???って思ってしまった。
どこの同人誌だよ!!!(失礼)
しかし例のそのエッセイを読むに、相当な原作愛が溢れている映画らしいので、
金と時間がめちゃくちゃかかった、
豪華な二次創作で間違いないのでは…!!!
わたしまだ見たことないけど!!!!
そのうち見たい!!!!

と、欲望のままに語ってますけど、
わたしが四つの署名で普通???に好きなのは、
サディアスの豪奢なインド趣味のお部屋だったり、(グラナダ版が忠実に再現しててすごい見入ってしまう)、
セポイの乱などの歴史的背景が絡んできて財宝探しに発展するあたりです。
宝探しってやっぱりワクワクしますよね〜!
あと、光文社文庫版の装画が、ささめやゆきさんなんですよね!!!
理論社の世界ショートセレクションシリーズのヨシタケシンスケさんの装画も好きですけど〜!!!

というところです。
原作ではなんか報われない感のある探偵氏ですけど(???)
グラナダ版を見ると、あー探偵氏めっちゃ愛されてるなあと思うので、今後もグラナダ版は定期的に摂取していきたい。


グラナダ版ホームズ 赤い輪・マザランの宝石感想

2019-11-03 17:19:51 | SH関連
土曜にぶっ続けで二本見たんですけど、
その前に金縁の鼻眼鏡が配信終わるのに見るの忘れてたーー!!!

いやまあブルーレイBOX持ってるので見れるんですけどね!?
でもやっぱり悔しいじゃないか!!!

そんなこんなでタイトル通りの二本の感想。
赤い輪のほう、イタリア出身の人が殺されたのを
ワトソン先生が「自分が自宅まで聞き込みに行ったからだ」
って自分を責めてたとき、
探偵氏が君だけのせいじゃないみたいなこと言うじゃないですか。
それにちょっと感動すると同時に、

ああこの人、肝心なところではしっかりワトソン先生をフォローするんですよね!?
と思ってなんかホッとしたんだけどね……
いや私はどんだけホームズを血も涙もない人間だと思っているんだ。
まあ、寂しい自転車乗りの時にワトソン先生をけちょんけちょんに言ってたってのを思い出してしまったんだけど、
今回さすがに別問題だもんな…ワトソン先生だけを当然責められないという。
ワトソン先生が自分を責めるところは見ててもう本当に心が痛むので、探偵氏がそう言うのが唯一の救いだよなぁと思う。

しかしホームズも最終的に後手に回ることになってしまったのは悔しいだろうなあ。
まあ赤輪党から逃げてきた夫婦が無事で良かったけど…

と、ラストはあんまりスッキリといかない感じながら、
探偵氏がワトソン先生のことを気遣っていたのは!わたしにとって!重要な!ポイント!でした!!!!!!



さて次、マザランの宝石。
探偵氏不在、そしてストーキング宣言の回ですね(???)
きみのことを見ているぞ!第三の目で!!!
っていう!!
やっぱりストーカーじゃんこの人!!!
バスカヴィル回がその最たるものだと思うけど!!!

ストーリーは、原作のマザリンの宝石と三人ガリデブを掛け合わせたものになってるんですよね。
他の作品と違うことになってるベーカー街の部屋の間取りや、
ホームズが蝋人形と入れ替わるのを犯人が気づかないかどうかの偶然に頼るなんて……と、原作マザリンで指摘される点を、三人ガリデブと合わせてうまくカバーしたなと。

まあマザリンもガリデブも単体で脚本にするには短すぎなのかなと思う。
空き家の冒険で出てきた蝋人形が再登場するのは個人的には面白かったんだけど。

探偵氏不在の分、マイクロフト兄様がダイヤ盗難の犯人である伯爵を追い詰める役で、
一方ワトソン先生はガリデブの謎を解こうとするこの話。

米国出身のガリデブ氏が英国仕立ての服を着古しているところから、
実はガリデブ氏は英国暮らしが長い、
とワトソン先生が推理してたところで、
すごい!探偵氏のやり方を身につけておられる!と思ったら、
あとで原作を確認したら探偵氏の推理の部分だったんですよね……。

あと、ジョン・ガリデブの広告がおかしいってのを老姉妹が指摘してたところ、
おばちゃん達めっちゃ鋭くない!?って思ってたら、
ここも原作では探偵氏の推理だったね。
綴りが違うってのは原作ではワトソン先生が言ってたけど。井戸が普及してないとか言ってたのは探偵氏だった。

この回、原作の三人ガリデブにもある通り、ワトソン先生が犯人に負傷させられてしまう……😭😭😭
見ててめっちゃつらいですね。ワトソン先生が負傷するところなんて見たくない……。
ほんで探偵氏が戻ってきたらブチ切れコースじゃないですかコレ。
「マイクロフトが付いていながら何故こんなことに!!!!!!」ってなりそう。おちついてください。

まー原作でそもそも探偵氏キレまくってたけど。
原作ではここでワトソン先生は探偵氏の深い愛情を感じ取るという名シーンですなぁ。
この回、都合上仕方ないのはもちろんわかるんだけど、探偵氏不在になっちゃったのが個人的には本当に残念〜。

あと、ものすごくどうでもいいんだけど、
マイクロフト兄様のことを、ワトソン先生がファーストネームで呼ぶシーンがあるけど、
それを探偵氏が知ったらどう思うだろうな〜🤭
とか何とか思ってしまうわたしの頭がおかしいぞ!?

いやもちろん、ホームズって呼んだらワトソン先生的にはシャーロックのことだから!
普通はお兄様のこともファーストネームで呼ばないところだけど、
しかしお兄様のことはホームズって呼べないし、ファーストネームで呼ぶしかないだろう!!!
ってワトソン先生は思ってるに違いないし、
マイクロフト兄様もそれを受け入れているんだろうけどさ。

しかし、ふたりの長い歴史の中でただ一回だけのジョン呼び(悪魔の足の回ね)
に比べると、マイクロフト呼びのハードル低いな〜!
と!一瞬思ってしまいました🤔
そしてなんかマイクロフト兄様とワトソン先生が仲良くなってるような…笑
これ、探偵氏が嫉妬してもおかしくないなぁって😱


とまあ、ここまでiPhoneのメモ帳で編集してたんだけど、全体をスクロールしてみてその長さに自分で引きました。
どんだけ英国探偵が好きなんだろうか私は🕵️‍♂️

82年生まれ、キム・ジヨン 感想

2019-11-03 16:21:00 | 読書
三ヶ月前くらいに買っていたんですけど、昨日ようやく読み終わりました。
もともとは絶賛放置中のツイッターで話題になってたのが読むきっかけです。書店の店頭で平積みされているのも知っていたし。
先に手に入れていたフォロワーさんが、疲れているときに読みたくないと仰っていて、読み進めていてもメンタルがやられるという感想も、わたしの周囲では聞かれた本でした。
ツイッターのフォロー関係がフェミニズム関連の話題に敏感な人が多くて、そういう反応が多かったんだとは思いますが。
そのような声を事前に聞いていたので、めっちゃ怖いなと思いながらページをめくっていきました。

実際は、主人公や周りの女性が、暴力の被害を受けるというような、具体的な描写はなかったので、少しだけホッとしたんだけど。
むしろ、直接に暴力を加えられるというより、周囲の言葉や態度が主人公を傷つけるといった描写が多くて、それにじわじわHPを削られたなという読後感でした……。

例えば、主人公のキム・ジヨン氏が幼い頃のエピソードで、長男である弟が家庭内で何かにつけ優遇されたというものがあったり、
小学校で男子に意地悪されたのを、あいつはお前のことが好きなんだから許して仲良くしてやりなさいと担任に言われたりとか。
日本にも家制度の名残はありますが、儒教の影響が強い韓国のほうが長男信仰は強いんだなと思いつつ、
しかし学校での出来事なんかは、私たちにも覚えのあるような出来事で、それが共感のもとになりつつ、
私たちはこんな幼い頃から理不尽な出来事にさらされてきたのかという絶望的な認識に至ったりもしますね。

成長して大学受験を迎えた主人公が、予備校が同じ男子に帰り道で付け回されて、父親に助けを求めたら、そのあと逆に説教された……ってエピソードが、個人的には一番理不尽さを感じました。ちゃんと世の中の人を見分けろとか無茶ぶりにも程があるぜ!!!
なんか、勘違いさせる女のほうが悪いとかよく言いますけど、その辺の男の人に人として当たり前レベルで愛想よくしてたら盛大に勘違いされてストーキングされるとか、何か前世で悪いことしたとでもいうのだろうか?????? それとも塩対応したらいいの?でもそうしたら女は愛嬌だとかまた言われるんでしょ??????どないせえっちゅうねん!!!!!!

この辺でわたしの怒りが頂点に達したので読むの一旦休んだんだけど、主人公の母がかなりパワフルな人であるところに救われた。商才を発揮したり資産運用なんかで、経済的に困らないようにしてくれてちゃんと主人公たちを進学させてくれんだよな……主人公をめちゃくちゃ激励してくれたりとか。
おかげでまた読み進める元気が出たけど、また結婚して妊娠して出産するあたりも精神力をガリガリと削られるエピソードで……。
しかも、女性が生きてたら一度や二度くらい出会ってるだろうエピソードばっかりってのがこの作品の共感を強めるポイントで、かつ、その傷つきエピソードは女性差別が根源的問題なんだ!と言語化してくれて目を覚まさせてくれるところがこの作品のすごいところですよね……。
男女の分断を助長するとかいう声も聞こえますけど、いやいや今まで可視化されてなくて共有もされてなかった問題が公に議論され始めただけだよね…今まで女性たちがモヤモヤしたり深く傷ついたりしても我慢してきた話が明るみに出始めただけだよね…という感想を持ちました。

わたしはBLが好きですけど、なんでBLにハマるかといえば、それこそこの作品で語られるような男女の不平等とか、自分が女性であることについて回る諸問題とかを、BLというファンタジーの中なら忘れられるという側面があるんですよね。純粋な愛がBLにはあるかもしれない……!!!という夢を見てしまう。その前にまあ単純に萌えるんですけど。

今現在『私たちにはことばが必要だ』も途中まで読んでいるので、それもまた書けたら感想を書きたいです。