新しい歌の骨組みがひとまず完成しました。
なんというか、こう――ぐわーっと盛り上がって終わる、
壮大な感じにしたかったのですが、
なかなかうまくいきません。
せめて合唱曲なら合唱曲でも、
ちゃんとした歌に作れるだけの
方法論的なものの骨でもつかめれば
また違うのでしょうけど。
前回の掛け合い形式に対し、
今回は二人合唱を試してみました。
でも完全二人ではなくて、一人が主旋律、
もう一人がサポートの副旋律を歌う感じです。
器楽曲としてはなんとなくイメージができるので
軽く歌をあわせてみたところ……
同じ音を歌うところだと、
両方ミクの声なのでただ音量が倍になるだけで、
気持ちよさがまったくないことにびっくりしました。
どうやら作りながら思っていたのは、
合唱によるハーモニーの気持ちよさのようです。
と思うと、わたしの中学校では
わたしたちが『輝かしい世代』の最後だと言われています。
基本的にまともな要員で占められていたので
行事や何かもそれなりに行われていました。
合唱祭ではわたしも指揮をしたりしましたが、
練習は意外と大変。しかも歌っているほうは
なにがなんだかわからないものです。
でも合唱祭で、はじめて他のクラスの歌を聞いたとき、
盛り上がりの部分で鳥肌がたちました。
ぶわっと膨らむような声の圧力と、
不思議にからみあって響いてくる声の震え。
声は楽器なんだと感動したのを覚えています。
そのときの優勝はわたしたちのクラスでしたが、
近くできいているせいか、そういう感じはありませんでした。
もっと遠くで聞けたら、すごかったのかもしれません。
それがその後の合唱祭で下の学年の歌を聞いたら……
ひどくがっかりしました。
合唱はああいうものだと思っているところに
響いてくるのは、なんだか薄っぺらくて
しなしなした感じのものです。
ただ合唱すれば気持ちよい響きになるのではなく、
頑張って作るから、声は楽器になるのだとふと思いました。
そんな気持ちよい響きを期待しながら
今回の歌を作って行ったのですが、
すごく、難しかったです。
なにが難しいって、とりわけ和音の作り方です。
ピアノなら右手の旋律でオクターブ開けながら
移動するのは普通に行えます。
さらにそれで、1オクターブ以上を行き来するのも
めずらしいことではないでしょう。
でもそれに歌を乗せてみると、
やけに不自然になるのです。
上の声はいいとしても、下の声がやけに低くなり、
特にミクでは歌ではなくうめきになってしまいます。
ピアノ旋律としては『あり』な音の動きも、
歌の旋律としては『なし』であることはめずらしくないようです。
しかも声で考えると、あまり動くと
物理的に歌えなくなってしまうということにも気づきました。
つまり、声を楽器とすると、出せる音の幅が
異様にすくないもの、ということになります。
それでハーモニーを作るとしたら、
すくない音の中で旋律をどう作り、
どう和音をつくるのかという詰め将棋みたいな思考が
必要になる気がしました。
歌曲と器楽曲は、前奏・間奏のあるなし以外にも
いろいろなところで違いがあるみたいです。
新しい発見は楽しいですが……なかなか、苦しいです。