第二章 常勝将軍Sellas P5-7
「約束は守れそうにないな」
キスケは妻との約束を守れないことが残念だった。
来月生まれる子供を抱いてやること、こんな些細な約束が守れないことを、目の前にたなびくOsanpoの旗と、その軍勢の威容が物語っている。
しかも急遽ボンズの軍をも率いることになったため、命令の伝達経路すらままならず、キスケの率いる3万の軍勢は半分の力を出せるかすらもあやしいのだ。
「アーチャー、ソーサラー」
キスケの号令で、矢と魔法による第一射が始まった。
セラの軍団は怯むことなく押し寄せてきた。
速さに重点を置いたくさび型の陣形が、キスケの陣を切り裂いてゆく。
後方のフラウとリュオンの軍も動いた。
さながら大地が揺れながら押し寄せてくるようだ。
キスケは覚悟を決め、戦斧を高々とかざして叫んだ。
「我こそはキスケ!一騎打ちを望む!」
バーバリアンの巨躯と相まって、すさまじい迫力だ。
すると目の前の隊列が割れて、小柄なウッドエルフが飛び出した。
「我が名はセラ。今日この場より常勝将軍の誉れを得る者だ!」
叫ぶが早いか一直線に斬りかかってきた。
キスケは140kgもの重さがある戦斧を棒きれのように無造作に振り回した。
まるで竜巻のようだ。
セラは疾風のように身をかわし二刀で戦斧をさばくと、キスケの鎧の脇と首の隙間に剣を滑らせてキスケを討ち取った。
大将を失った守備軍に勢いは無く、後方から押し寄せるリュオンとフラウの軍団は残党を踏みにじり、そのままの勢いで城へと突入した。
そしてわずか一時間後には、城内のすべての場所にOsanpoの旗がたてられていた。
セラは激戦の疲れと安堵で痺れるような感覚を味わっていた。
「思ったよりはできるようね」
フラウがグラスを差し出すと、セラは笑顔で受け取った。
セラは勝利に酔うこともなく、次の戦場に思いを馳せているのであった。
***** ****** ****** ****** ****** ******
つづく
***** ****** ****** ****** ****** ******
「約束は守れそうにないな」
キスケは妻との約束を守れないことが残念だった。
来月生まれる子供を抱いてやること、こんな些細な約束が守れないことを、目の前にたなびくOsanpoの旗と、その軍勢の威容が物語っている。
しかも急遽ボンズの軍をも率いることになったため、命令の伝達経路すらままならず、キスケの率いる3万の軍勢は半分の力を出せるかすらもあやしいのだ。
「アーチャー、ソーサラー」
キスケの号令で、矢と魔法による第一射が始まった。
セラの軍団は怯むことなく押し寄せてきた。
速さに重点を置いたくさび型の陣形が、キスケの陣を切り裂いてゆく。
後方のフラウとリュオンの軍も動いた。
さながら大地が揺れながら押し寄せてくるようだ。
キスケは覚悟を決め、戦斧を高々とかざして叫んだ。
「我こそはキスケ!一騎打ちを望む!」
バーバリアンの巨躯と相まって、すさまじい迫力だ。
すると目の前の隊列が割れて、小柄なウッドエルフが飛び出した。
「我が名はセラ。今日この場より常勝将軍の誉れを得る者だ!」
叫ぶが早いか一直線に斬りかかってきた。
キスケは140kgもの重さがある戦斧を棒きれのように無造作に振り回した。
まるで竜巻のようだ。
セラは疾風のように身をかわし二刀で戦斧をさばくと、キスケの鎧の脇と首の隙間に剣を滑らせてキスケを討ち取った。
大将を失った守備軍に勢いは無く、後方から押し寄せるリュオンとフラウの軍団は残党を踏みにじり、そのままの勢いで城へと突入した。
そしてわずか一時間後には、城内のすべての場所にOsanpoの旗がたてられていた。
セラは激戦の疲れと安堵で痺れるような感覚を味わっていた。
「思ったよりはできるようね」
フラウがグラスを差し出すと、セラは笑顔で受け取った。
セラは勝利に酔うこともなく、次の戦場に思いを馳せているのであった。
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つづく
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