「北極星に願いをこめて」 (右脳のひらめき)

I'm your polar star in the journey of life.

ピーターパン症候群 ~ウェンディが大人になる日~

2010年10月24日 19時32分55秒 | 精神哲学 ~魂の筋力をつける朋塾~
こんばんは。

ふと、手元にあったDVDを子供と一緒に見た、そのDVDは実写版ピーターパンだった。何とも楽しい事ばかりを考えつく彼に、ついていって迷ってしまう迷子達がネバーランドに住んでいる。

ピーターパン自身は、結構な自己中心的な人間で、無責任が基本だ。反抗的でとても怒りやすい。恐らく自分を認めてほしい一心で、人の寵愛にひどく敏感で、その愛を貰う為には、何でもする狡猾(ずるさ)を持っている。また、その為に、ちょっとした事で依存気味であるのも事実である。

ウェンディが彼の為にした事も、彼は自分の手柄と考えを持って行ってしまう。実に自己中心的な発想で、彼はいつでも、ウェンディみたいな女性を探している。大人になりきれないけれど、母性が強く、その人に何かしてあげたいと、頼まれもせずに世話をせっせと焼く女性が、ターゲットポイントとなる。無償の愛をくれて、自分に都合よく立ち回らせる為に、何でもしてくれるウェンディは、母のようであり、彼にとって、必要な女性像だと考えられる。

けれど、ウェンディは、彼が大人になって、自分の手を取って、一緒に進んでくれる事を期待して、ピーターパンの世話を焼く。恐らく、祭壇の前にあなたを連れて行ってくれて、将来を約束し、あなたを幸せにしてくれると考える。祭壇の前に行ったら、次は子供のこともある、安定した収入や情動の家庭を望むのは、ウェンディの高望なのか。だからこそ、今日もウェンディ達は、ピーターパンに期待をして、裏切られる。

ピーターパンは、大人になるつもりはない。自分の刹那こそが永遠であって、その時々に非常に流されやすい。また、楽しい事を考えるのが上手だから、非常に最初は居心地のいい、癒される男であると思う。一緒にいる時は楽しく過ぎるけれど、ウェンディの裏舞台には現実が山積みに残っている。何故なら、この男は、将来を希望しても、将来性がない。元々、彼の中に、最初から将来のビジョンがないのだから。

何度も考え直して欲しいと思うウェンディをよそに、ピーターパンは、夢を追いかける。その夢は成功はしない。着実に一歩一歩夢へと進む事はしない彼ら。余りにストレスをかけると、パチンコに夢中になったり、借金を作ってきたり、女性に逃げたり、様々な展開を行う。そして、ウェンディが期待するような、着実な男には、改心しない。

どうせ、そのウェンディがいなくなっても、次のウェンディがいる事を彼らは熟知している。そうして、その女性の母性を堪能し、女性に捨てられると嘆く。嘆く所を始めに見た次なるウェンディ候補は、ビックリする。こんな楽しくて素敵な人を、どうして捨てて行くのかと、考えたその時は、既に、あなたがウェンディになったのだ。そして、甘い罠の中で、アリ地獄にはまるように、ウェンディは、そのまま、ピーターが何とかわいそうな人か、自分が幸せにしなくちゃと思いこんで世話を焼き始める。ピーターにしたら、しめたもんだ。

女性に捨てられてきた経歴をあからさまに話す男がいて、明らかにあなたの同情を引こうと思って喋っている時がある。女性歴が続かない男は、何かあるもんである。現実面を全く見ない、見ようとしないその姿勢に、多くの女性は失望し、去る。けれど、ピーターは一向に意に介さず、自分は捨てられた弱い犬だとウェンディに訴えて、ウェンディの母性を引き出すのだ。自分が欲しいモノの為には、ずる賢さ、全開である。

多くのウェンディ候補は、ある程度まで深みにはまった時にピーターの正体に気がつくから、逃げて行ってしまう。口を酸っぱくしても、彼は大人にはならない。現実を見ない。金は稼いでくるどころか、あなたにたかる始末。何でもあなたに尻拭いをさせる。一生成功はしない。あまりに、現実を見ない男に、嫌気がさすウェンディもいる。

その時、ウェンディは、初めて「大人になるのを嫌悪していた自分」から卒業して、「大人になる階段を上る」のだ。ピーターと言う存在がいなかったら、ウェンディは大人にならなかったかもしれない。何にせよ、ウェンディは、子供でい続ける為の舞台裏を見てしまう。それが、ウェンディにとって、自分の中のウェンディを脱ぎ捨てる時なのだと思う。

フック船長は、その点面白い存在だ。彼は、若い頃をピーターパンとして過ごし、年齢を気にしないで遊んで暮らした。いつしか彼は年をとり、新しく出てきた若くてルックスのいいピーターに、次々と、追い抜かされて行く。焦りも出るし、怒りを吐きだす所もそんな時はもうない。そうなると、孤独の中に自分がいる事に気がつくが、そうなった時は、既に寄り添ってくれるはずであった、「フック船長を温かく包みこむウェンディ」は、いないのがお約束だ。

実に意味深なお話しじゃないか。





ウェンディの母親が、上映中にこう言う。「お父さんは、夢を引出しにしまっているの。毎晩お母さんと一緒にうっとりして眺める。けれど、どんどん、夢は膨らんで、引き出しは閉まらなくなるの。それでも、どんなになっても必ず、引き出しを閉める。それがお父さんの勇敢なところなのよ。」ピーターパンではない男は、必ず引き出しを閉める。どんなに夢を見ても、引き出しを閉める。奥さんと一緒に。
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2 Comments

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フック船長とウェンディ (ako)
2010-10-25 16:02:16
こんにちは。
このお話、すっごく楽しかった。視点を変えるとピーターパンも大人のお話になってしまうのね? 私のピーターくんは今や立派なフック船長と化しているけど、それでも大好きだわ。こういうのって、オバサンになっても懲りてない、バイタリティだけあって学習能力に欠けるウェンディっていうのかしら。。。
返信する
(苦笑) ()
2010-10-25 16:48:05
akoさま

今回は、特に私自身の得意なテーマであった為に面白く書けたと思っております。あんまり秀逸すぎて、本日のテーマが書けません(苦笑)。

フック船長が大好きとの事。色々、女性も好みがありますわ。マニアックさでは、我が家のピーターもフック船長になりかけている所もございまして、ほんと、羽衣を取ってやろうとか、妖精の粉を取り上げてやろうとか(苦笑)。

人間、どこかには、ピーター的素質も、ウェンディの素質もあるからこそ、この話は名作なんじゃないんですかね。

ありがとう
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