ここ10年で見た映画の最高峰。
ピナ・バウシュ ブッパータール舞踊団。名前だけは知っていた。
しかし生前に観ることはなかった。
亡くなった、というニュースは聞いていた。
それがあのヴェンダースにより映画化されているという情報を聞いた。
ヴィムヴェンダース。
若い時に何本か観た。
当時話題になった「ベルリン天使の詩」
そして今思い返せば富山にも「都会のアリス」が来ていた。(はずだ。)
ビデオでは「ことの次第」「アメリカの友人」そして何と言っても「パリ・テキサス」。
ナスターシャ・キンスキーの美しさとライ・クーダーのギター。
彼の映画全編を貫くのは、どうしようもない喪失感とでも言えばいいのか。
さてピナ。
冒頭の春の祭典の群舞。みるみる動悸が激しくなり、そのなんとも言えない雰囲気にのまれ、涙する。
ストーリーによるものではないなんだかわからないものにここまで心を動かされることは滅多にない。
そして3D。
ここ最近増えてきている3D映画だが、いままでにまともに観たことはない。
なにかディズニーランドのアトラクションのようで、これみよがしに驚かせる仕掛けに胡散臭さもあり、必要感も感じなかった。
はっきり言うと、3Dの要素が必要不可欠である最初の映画ではなかろうか。
ヴェンダースによると、3D技術の進歩により、演舞の奥行き感を伝えるのにこれしかないと確信したとのこと。
今一つは、映画の客席と、映画中の客席がシンクロし、映画館にあたかもピナ・バウシュの舞台が展開しているように見せていること。この臨場感は素晴らしかった。
さらに、ダンスの舞台設定。
大自然や、スタジオセットそれぞれに美しい風景。
監督気に入りのベルリンモノレール内での撮影もある。
全国で限定上映中。