時には、旅の日常

管理人:taろう/旅先で撮ったスナップにコメントを添えて、他にも気の向いた事を綴っていきます。

和歌山・生石高原 日帰りドライブ-06~集落最高所に佇む古社 蔵王権現社

2019-12-23 07:00:34 | 近畿/日本
 あらぎ島展望所から駐車場へと戻る途中、地元の権現様への案内標識が目に入り、誘われるように参拝してきました。

 <<和歌山・生石高原 日帰りドライブ-05>

 あらぎ島展望所がある集落の背後の高台てっぺん近くに、小さなお社が鎮座しています。
 高台に鎮座するだけあり、権現様からは、集落からあらぎ島、水ヶ宝形山までをも一望する、素晴らしい眺望が広がっていました!
 他の参拝者の姿もない境内にしばしの間身を置き、晴れ渡った秋空の下での、格別に静寂なひと時を過ごしました。

 <三田区蔵王権現社(広報ありだがわ)>


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 あらぎ島展望所から駐車場へと戻る道中、小さな標識を発見。
 「蔵王権現社」というお社が、駐車場への道路から分かれる小径を進んだ先にあるようです。

 先を急ぐ行程でもなかったので、普段なら一瞥するだけで通り過ぎてしまいそうな、この案内標識に誘われて、小径へと進みます。




 標識のとおり、50m程進むと、小径が二手に分かれていました。

 50m程進んできた道は、画像の左端へと抜けていきます。
 「龍神街道」だという道から、蔵王権現社への参道へと、進路を変更。

 ここからは、残りの650mの行程は、登り坂となりそうです;



 龍神街道から分岐して程なく、前方の視界が開け、目指す蔵王権現社の鳥居が早くも、その姿を現しました。
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 画像の、赤の矢印で指した先に、権現様の鳥居が見えています。
 登坂は始まったばかりですが、権現様到着まで、途切れることのない登り坂であることが、これで確定(爆)
 日頃の運動不足を悔恨しながらの、道中となりました(^^;)



 ズームで、蔵王権現社の鳥居を、今一度確認。
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 この辺りは、三田という集落で、その最も高い場所にあって、長い間、三田を見守り続けてきたのですね。

 家の生垣と道との角度が…かなりの勾配であることが、お分かりかと…;
 このような、斜面上にある集落なので、集落内の農地もまた、棚田状になっていました。



 参道の沿道で、家屋としては最も高所に建っていた、廃屋。
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 屋根は、半ば朽ちていました。
 敷地も既に、一面ススキの穂に覆い尽くされた状態。。。
 人が手を入れたものが、自然へと還りつつある風情は、秋の空気とも良くマッチしているように、思えます。

 背後の山肌を覆う木々の緑のグラデーションが素晴らしく鮮やかなだけに、風景のコントラストがより引き立って見えますね。



 あらぎ島展望所から、息をつきつつ、坂道を登り続けることおよそ15分、ようやく蔵王権現社へと辿り着きました。
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 あらぎ島展望所の標高は271mで、蔵王権現社は352m(Google mapより)。
 800mの距離で高低差が約80mということは…10%の勾配ということで、かなりの急勾配な行程でした;;

 鳥居へと至る草むした石段も、かなり急な勾配となっています;
 最後の気力をふり絞り(大袈裟w)、鳥居の下へ。



 鳥居は、金属製でした。

 遠くからでも、光を反映して、鮮やかに視認することができたのも道理ですね。
 「蔵王神社」のシンプルな額も、神々しい雰囲気の演出に、一役買っています。



 鳥居をくぐって振り返ると、今度は一転、鳥居は逆光のアングルとなり、下界を一望する眺望の額縁のような趣きを纏います。

 このような山深い土地で、地元の人々は、川が作り上げた段丘上を開墾して、代々暮らしてきたのですね。
 棚田の美形は、その営みの証であることを、良く理解させてくれた、素敵な眺めでした。

 遥か正面には、気象条件により見え方が変わり、空気の透明度を判別することができるという、水ヶ宝形山(みずがほうぎょうさん)が、優美な稜線を広げながら聳えています。



 木立の中に佇む、蔵王権現社の社殿。
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 こじんまりとしているものの、地元の人々から崇敬され、長い年月を閲してきた威光を感じます。

 蔵王権現社の由来は、定かではないとのこと。
 天正年間(1573年~1593年)に再建された旨の記録が残り、現存するこの社殿は、1826年に再建されたものです。
 御神体は、戦国時代の一石五輪塔で、お参りをすると、不思議と失せ物が出てくるという御利益があると、昔から言い伝えられてきました。

 …私も、失くしたことすら忘れた物が何か、この先出てくるのでしょうか?!
 ちょっと、期待してしまいますねw



 境内にも石段があり、立体的な奥行きを実感する、蔵王権現社の境内です。

 地元に根差した、素朴な雰囲気に包まれた境内に身を置いていると、心も自然と安らぎます。



 境内の木立の中から、下界を一望。
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 明暗のコントラストが印象的であった眺めで、画像中央にある、茶色い屋根の家の背後に見えている棚田が、あらぎ島です。
 国の重要文化的景観に選定されたあらぎ島一帯のエリアにおいて、この神社は、その北端に位置していて、集落(三田区)の信仰空間として重要であることから、重要文化的景観を構成する要素の一つとされています。



 蔵王権現社を辞去し、登ってきた参道を、下りに掛かります。

 あらぎ島から水ヶ宝形山へと至る、美しい眺めは、参道からでも存分に堪能することができます!




 参道の傍らは、秋の風情に満ちていました。

 草木の緑の中で、鮮やかな彩りを添える彼岸花の朱が、目に染み入ります。
 彼岸花は本当に、畔の風景と素晴らしくフィットしますね。



 下り坂の眺めは、勾配のキツさをより引き立たせますね;
 (画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

 蔵王権現社からの眺望で、あらぎ島の手前に見えていた、茶色の屋根の家が、もう近くになるまでのところまで、下ってきました。
 水ヶ宝形山の存在感も、際立っていますね!
 気象観察の際の対象となるのも、納得です。




 集落内にある棚田の美しさにもまた、足を止められてしまいます。
 (画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

 陽光の当たる、棚田上の部分が、鮮やかなグリーンのラインとなっている、とても印象に強く残る風景でした!
 棚田の下を縫うようなカーブを描く坂道の様子も、情感が溢れた素敵な眺めで、足取りも気分も軽く楽しくなった、復路の下り坂ですw



 この山間の地も、柑橘王国・和歌山県であることを、改めて思い起こさせてくれます。

 たわわに実るものですね…豊穣なる土地にも、思いを馳せます。



 集落内にも、ススキのある、素敵な景色が点在。

 ちょっと沿道に目を遣るたび、秋の風情を何かしら感じ取ることができました。
 急な坂の上り下りで結構汗ばみましたが、季節は着実に進んでいます。




 あらぎ島展望所駐車場へと続く道との分岐まで、戻ってきました。

 素朴なお社の静謐な空気に心癒された、素敵な寄り道でした。
 急な坂道を上り下りする価値は十分にある、蔵王権現社への参拝でした。

 <和歌山・生石高原 日帰りドライブ-07>>

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 少々早いですが、この記事が2019年最終のブログ更新となります。

 2019年は、父の逝去や引っ越し等、自身の環境が大きく変化した年でした。
 新たな生活環境の中で、従前のペースでブログを更新する時間的余裕がなくなってしまい、更新の頻度を、年の後半大きく落とさざるを得ない事態となってしまいました。
 2020年も、低頻度かつ不定期のブログ更新となると思いますが、細々でも更新自体は続けていこうと考えておりますので、ご来訪くだされば、嬉しく存じます。

 来たる2020年が皆様にとりまして、良き年となりますことを、心より祈念申し上げます。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (タヌ子)
2019-12-28 08:24:55
15分の上り坂の疲れは平坦な道の1時間半分ぐらいに相当しますよね。
どこからか童達がtaろうさんの様子を伺っていそうな蔵王権現社。
ずっと村の人々の生活を見守ってきたのですね。
その後失せ物は何か見つかりましたか?
棚田は遠くから見たことはあるけれど、すぐ近くで見たことはありませんでした。
角が丸みを帯びていて可愛らしいですね。
2020年は自然災害が少なく、穏やかな一年となりますように。
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タヌ子さん。 (taろう)
2019-12-28 20:10:56
800mの距離で80mも登る…と考えると、80mの高低差の凄みをジワジワと思い知らされました(^^;)
生石ヶ峰でもそうでしたが、目指す先が見えていると、中々そこまでたどり着けずに、精神的にキツいです。
参拝時のお社は、人の気配がなかったので、童をはじめ、神様やそのお使いの方々にも、じっと観察されていたのかもしれませんw
物的なものではなく、精神的に長い間失っていた何かを、この年末の辺りに少し取り戻したような気がします。。。これも、御利益でしょうか?!
斜面で耕作するためか、土台がとてもガッシリと固められていた、棚田でした。
角が丸かったので、茶畑のようにも見えました。
来たる2020年、年末に「いい年だったね」と振り返りたいですよね。
良い年をお迎えください!
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