ウナギ調査にICチップ 静岡県、越冬場所特定し資源保護へ(産経新聞) - goo ニュース
ウナギ調査にICチップ 静岡県、越冬場所特定し資源保護へ
先月、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定したニホンウナギ。資源保護のため、謎に包まれたウナギの生態を解明する研究が県内でも本 格化している。県水産技術研究所(焼津市)は天然ウナギを捕獲してICチップを埋め込む調査を行い、河川での生息状況の正確な把握に乗り出した。ウナギの 越冬場所を特定し、保全の対象を見極めるのが狙いだ。
◆絶滅危惧種に指定
県水産技術研究所富士養鱒場(富士宮市)では、 昨年5月から伊東市内の3河川(烏川・伊東仲川・伊東宮川)の河口上流約500メートルで、毎月1回ニホンウナギの個体調査を実施。捕獲した体重5グラム 以上のウナギの体内にICチップを埋め込み、河川ごとの個体数や成長速度などを測定した。
今年5月までの調査の結果、ウナギは平均水温が 18度以上となる5~10月に平均5センチほど成長し、水温が下がる11~4月には成長が止まることが判明。また、温泉排水などで平均水温の高い河川と、 そうでない河川とでは成長率に倍近い差が出ることも分かった。同研究所の田中真所長は「養殖池では高い水温でウナギを育てるが、天然ウナギも高温下でよく 育つことがデータ的に裏付けられた」としている。
一方で、予想を裏切る意外な事実も明らかに。川底に護床ブロックが敷き詰められた都市型 河川の伊東仲川では、当初「ウナギは1匹もいないのでは」と予想されたが、調査で3河川では最多の978匹を捕獲。うち5グラム未満のウナギが578匹と 約6割を占めており、ブロックの隙間の砂礫(されき)内に稚魚が多く生息していることが確認された。
また、河川間を移動したウナギが1匹 も確認されなかったのも大きな収穫だ。ウナギは冬場に川を下ることが知られており、これまでは「海で越冬しているのでは」とも考えられていた。今回の調査 で「ウナギは同一の河川で成長し、砂礫の中で越冬している」という仮説が成り立ち、同研究所富士養鱒場の鈴木邦弘主査は「越冬場所が特定できれば、そこを 保全することで資源保護につなげられる」と期待する。
◆河川どう整備
だが、天然ウナギの調査には限界も。今回調査した3 河川はいずれも護岸のある小規模の河川で、ウナギの捕獲が困難な大規模河川では「生態が異なる可能性もある」のが実情だ。県水産資源課の嶌本淳司課長は 「ウナギの資源保護のためにどう河川を整備するのか。今後、さらに調査が必要だ」と話した。
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