焔は水面に 映えて 杉山雅彦鵜匠

ｆｂより

鵜匠は炎を統べる。
明るく、豊かな焔は川面を貫いて川底のアユを照らす。

薪をくべながら、十二本の手縄（たなわ）で鵜を操って、初めて鵜飼いという漁は成立する。

鵜飼いの愉しみは、炎を愉しむことでもある。

その昔、チャップリンが鵜飼いを観てたいへんに感動したという。一度ならず、二度も来日して、長良川を訪れたと言う。
かの大俳優を魅了したものは、暗闇を破る圧倒的な炎の美しさだった。

残念なことに、二回目の来日の時、彼は落胆して、そして酷く怒ったという。
　わずかな時間の経過は、長良川から静謐な暗闇を奪っていたからであった。

　　　　　　　　　2014年6月3日　鵜匠　杉山雅彦さん