あめつちの詩

「あめつち」に響く歌声の持ち主「にいや」こと「新屋まり」が奮闘の日々を綴る。

被災地に捧ぐ「風の子守唄」

2024-03-11 | 私が歌手

 

 

東日本大震災から13年の今日。

当時衝撃を受けて生まれた

「風の子守唄」を動画配信している。

「被災地に捧ぐ」という趣旨の

鎮魂歌をアルバムに挿入した。

 

震災が起こったのは

たまたま被爆二世の方から

被爆者であるお母様のことを

聞いた直後だった。

歌にしたいと思いながら

出来ないでいたタイミング。

津波の映像はあまりに凄くて

現実味がないくらいだった。

その大津波にさらわれた

我が子を見つけたお母さんの

話が新聞紙面に載っていた。

口から泥を掻き出すことしか

できなかったとあった。

その記事を泣きながら読んだ後、

「風の子守唄」が生まれた。

広島と東日本ふたつの被災地へ

鎮魂歌としてアルバムリリースを

思いたった。

 

その数年前からだ。

あなたにはビックヒット曲が

生まれるはずだとある方に

言われていた。

真に受けていた。

1年に1枚ペースでアルバム制作を

していた時期。

年に1度CDを持ってその人に

会いに行ったがCDを開封さえせず

「違います」と言われ続けた。

唯一「惜しい」と言われたのが

「生かされて」。

「今まではこうだった」と

その人は両手を左右に180度

拡げた。

「生かされて」で「このくらいになった」

と、45度くらいに両手を狭めた。

「大分狭まったが方向性が違う」とは。

その人は「どこかにアクセス」している

ようだった。

そもそも誰がそう言うのかと聞いた。

ややイラっとしながら

「分かりません」とのこと。

ここまで5年とか費やしていた。

この話は相当ばかげている。

ここで終わりで当然だが

負けた気がしていたので、

ヒントをくれと食い下がった。

「言いたくないみたいですが」

と前置きがあって

大きなヒントは「こだま」。

それよりは小さいが「子供」

と言われた。

「こだま」と「こども」って

おちょくられている気がした。

 

その後「風の子守唄」が完成。

件のことはもうお手上げ状態だった。

そもそも私に大ヒット曲が

書けるはずもないと結論して

脳裏から消えていた。

その方曰く、当時大ヒットしていた

「千の風になって」に並ぶほどの

大ヒットになるから急げ、

あなたがその気にならないと

他に行ってしまう・・

などと叱咤されたものだ。

それでもできない物はできない。

違うと言われたらもう私には

どうしようもないと

腹立たしくもあった。

 

震災後テレビから一切の

コマーシャルが消えた。

ある日、背後から聞こえた

「こだまですか」にはっとした。

テレビから聞こええてきたのは

金子みすゞの一文だった。

「風の子守唄」は子供がテーマ

でもある。

アルバム「あめつちの詩」に挿入した。

テーマ曲「あめつちの詩」は

天地自然の讃歌。

大ヒット曲を書きたいと

足掻いていた頃に思い立ち

別の方にお伺いを立ててみた。

ヒットする曲は天地の美しさが

テーマだと言われた。

その頃、車が横滑りしているようで

運転が怖くて仕方なかった。

その人は「車は異常ない。

車のタイヤは4本。

4つの方向つまり自然界を表す。

そんな歌を作りなさい」と言われた。

謎が深まるばかり。

それとは別にしても

ある日めちゃくちゃ美しい歌詞と

メロディーがわいて歌になった。

嬉しくて知人に聞いてもらったら

ジブリの何とかいうテーマ曲と

同じメロだった。

パクったつもりはないが

拍子が違うだけで同じ。

あえなくボツにした。

 

アルバムリリースに向けて

レコーディングを開始しつつも

あと1曲が必要だった。

創作ノートをめくっていたら

例のボツにした歌詞が出て来た。

作曲しなおして編曲してもらった。

素敵な歌になった。

「あめつちの詩」完成。

大ヒットとは無縁と言いながらも

「こだまです?」と聞こえてきたら

「もしかしてこれ???」と思った。

制作に半年。

完成したアルバム「あめつちの詩」を

恐る恐る持参した。

開封するまでもなく「できましたね」

「これです!」と即答。

人類救済の歌を有難う~!

と泣かんばかりだった。

「天地自然の讃歌」というヒントを

下さった方も「この歌」と

涙ぐみながら聞いて下さった。

挿入歌「風の子守唄」は地味な歌だ。

「あめつちの詩」が世に出ることも

なさそうだ。

私はしかし淡々かつ粛々と、

縁ある土地と人に向かって

歌っていくだけだ。

ライブではめったに歌わない。

今日はそんなこんなを

思い出しながら我が家の庭で

そっと被災地に捧げた。

 


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