母を歯科に連れて行くこと
4か月ほど。
母は大の歯医者嫌い。
痛くなくても行った方がいいよ
とは言った。
夏に部分入れ歯が収まらなくなり
駆け込んだ。
その治療は終わったが
2年くらい放置したせいで
虫歯だらけになっている。
まだ当分掛かるようだ。
「もうええわ。行かん」と
勝手に宣言する母なのだが
前歯上4本は仮歯のままだ。
「まだ本チャンの歯が入って
いないからダメ」と何度も言った。
週1回連れて行くのだが
何度も何度も「いつ行くのか」と聞く。
行くのを楽しみにしているのか?
と思うくらいだが
「行きとうないの~」
「面倒くさいの~」とごねる。
「面倒くさいのは誰だと思う?」と
詰め寄ると黙る(笑)
長い時は2時間近く待合室で
待ったこともある。
お尻が痛くなるがスマホを
いじっているとあっという間。
私にとっては暖かい静かな空間で
ゆっくりするしかないという
奇跡の余暇だ。
母はひたすら申し訳ないと
いっとき恐縮するのだが
翌週になると「もう行かん」
と言い始める。
ルーティーンになっている。
母は病院も嫌いだ。
すべてのことが億劫になった
というのが正しい。
おかげさまで母は取り立てて
病院に掛かることがない。
89歳。
クスリを飲むのが当たり前の
年齢のようだが内臓が元気。
夏以降、脳の力がめっきり弱った
のが気がかりではある。
年に1度、介護認定の為に
かかりつけ医に行かねばならぬ。
「病院へは行かん」と何度も固辞した。
行かないと介護認定が下りないよ。
デイケアを止めるんなら
行かなくても良いけどと脅した。
何もかも腑に落ちない様子。
前日から明日は病院だと
言いふくめておいた。
私のリハビリに乗じて病院へ
連れて行った。
私のリハビリ最中に診察室に
入って問診中だった。
連絡が行ったのか
ケアマネさんが同席しておられた。
老人は誰しも「どこも悪くないし
あれもできるこれもできる」
と言いがちだ。
「ご飯は炊ける」と言ったようだ。
それは本当。
洗濯機を使えると申告した
ようだが使い方を忘れていた。
時々思い出す可能性はある。
パンツが汚れたまま放置されて
いないかと聞かれた。
「いいえ」と母。
「まれに放置しています」と娘。
畠はするか?と聞かれて
「私と一緒なら30分程度は」
と答えたが母は畠に興味を
無くした。
いつどんな野菜を植えるかも
分からなくなった。
もっとも、
秋に玉ねぎを植えるのを忘れて
春だと思い込んでいた私も
どっこいどっこいだが。
入浴は嫌いだ。
面倒だと言うがシャンプー台で
頭を洗ってあげると案外喜ぶ。
衣類の着脱はできる。
トイレには一人で行けるし
室内で杖は使わない。
モノを取られたと言いませんか?
急に暴力的になったり・・。
「ありません。謎に朗らかです。」
と娘。
ここでケアマネさんが笑って
くれたが、先生は難しい顔。
「んん~~~~。」と悩まれる。
「要介護2だね」と結論を頂いた。
昨年と同じだ。
昨年より脳の力は低下したが
身体機能は変わらずとの判断。
診察室に入ってすぐに
質問されたのか答えられたのかは
分からない。
今日は何月何日ですか?の問いは
私も実は怖い。
心配した妹が事前に母の掌に
「1月21日」とペンで書いた。
リハビリの担当者に打ち明けると
「ちょんぼはダメですよ」と
笑われた。
母は自分の年齢を覚えていない。
昨年88歳米寿の節目を迎えたが
87とか86だと思っていた。
やっと88歳と自覚した頃には
89歳だ。
未だに混乱している。
理学療法士さん曰く
「ここだけの話」と前置きして
2歳は誤差の範囲内なのですと。
ふーーーーん。
100歳近くなれば2歳くらい
たいした差ではないってことか。
入院手術前に私のカルテを見たら
〇〇歳7カ月と書いてあった。
「7カ月」がものをいう年齢も
あるってことだ。
そうそう、入院直後のこと。
看護師さんの質問に答えたら
「ちゃんとしている」と褒められ?た。
後から思うに60代半ばはもう
りっぱな老人の域なのだろうね(哀)
母は明日の我が身だ。
「お母さんは大丈夫!
ゼンゼン問題ない!
ええ娘もええ息子もおる。」
「それより私が問題だ。
娘も息子も孫もひ孫もおらん」
というと真顔になっていう。
「ほんまよ~。
あんたぁどうするんか?」
どうするもこうするも。
健康でどうにか回るお金があって
何等かのコミュニティーにいれば
何とかなると信じている。
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