為せば成る為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり

やろうと思えば何でもできる。できないのはやろうと思わないから。やろうとすることは他人のためではなく、自分のためになる。

闘うリハビリ-あなたはここまで再生できる:脳がもつ可能性-

2008-02-11 | 今日の出来事
NHKで2夜連続報道されました闘うリハビリ 。

第1回
あなたはここまで再生できる
-脳がもつ可能性-

第2回 早期リハビリ
-常識への挑戦-

長嶋茂雄さんが番組の中に登場し、
脳卒中により右片麻痺と失語症などに対するリハビリテーションを
行った経緯や長嶋茂雄さんにとってのリハビリテーションとは…
などを語っていました。

長嶋茂雄さんがマスコミの前に出てくる事を、
脳卒中で倒れたという報道があってからずっと待っていました。

世間のHERO。 そのHEROが障害と共存して生きる。
障害と共存されている方にとっては非常に元気の出る話題だったと思います。

今回は、私の元同僚が担当したクライエントが 番組に出るという
情報を事前にもらっていたので、 今回の番組を見る事ができました。

NIRS(:ニルス)という機械を用いて活動時の脳血流量を画像としてみます。
一般的には脳出血や脳梗塞を起こすと、その中心の部位は
壊死(:細胞死)を 起こすため、血流が途絶えた状態になり、
NIRSで画像診断をすると、血流量の乏しい部位は青っぽく見えます。
逆に脳細胞が活性化している部位に関しては、血流量の増加を示し、
NIRSの画像では赤っぽく映ります。

壊死した脳細胞は復活することはありません。
という事は、完治することも不可能です。
でも、脳の中で代償(:特定の機能を他の部位が補うこと)することは証明されています。

しかし… 証明されてはいますが、人間ではなく、猿やマウスなどの下等動物実験です。
しかも人工的な梗塞を起こした実験なので、
自然に出現した脳梗塞とは異なります。

今回の放送では、森ノ宮病院の宮井先生が出ていました。
森ノ宮病院は新しく作られた病院で、
その母体病院は、Bobath(:ボバース)記念病院です。

最新の方法で治療を展開している…??
Bobathがですか…?? おいおい… と突っ込みながら見ていました。
でも、科学性がある検査を介入前と介入後ですることは重要です。

あとCI療法。 概念は原始的です。
動かない機能を使う事で機能が向上する。
でも、今回CI療法を2週間の入院で猛特訓されていた方は、
入院中に作業療法をおそらく受けていなかったと思います。

あの機能で、あれだけできるのに…。
なぜ、日常生活や余暇を行っていないのか。

かなり疑問に思いました。

CI療法の初回評価でブロックを3つ積み上げる事ができませんでした。
CI療法の再評価ではブロックを8つ積み重ねる事ができました。

できたはできたのですが…
『代償動作がひどすぎる…』
全然変わっていない(涙
本当にこれって報道していいの??? と思いながらみていました。

入院中に、元々の役割や、
退院後にしたいこと、しなければならないことなどの
お話はしなかったのでしょうね。

もししていたなら
料理の際、包丁の形を変えてあげたらいいのに…。
そしたらできるのに。
腹が立ってきました。

実際にCI療法施行後、退院して料理をしていましたが、
あれって、麻痺側の手指を使ってるって言えますか???
ただ包丁の上に親指がチョンとのっているだけ(涙
どうやって食器を洗うんだろう…映像はありませんでしたが必然的に思いました。

もっと本当のリハビリテーションを報道してほしいですね。
リハビリテーションの内容が含まれる番組をみると…
非常に残念な気持ちになってしまいます。

家庭に帰ってからリハビリテーションができない。
退院してからどんどん機能が低下していく。
このような事を番組では言っていました。

だからリハビリテーションは時間をかけて、根気強く続ける事が重要。
また医療機関側も理学療法士(:PT)と作業療法士(:OT)という人材をそろえる必要がある。
なども言われていました。

本当にそうでしょうか…??という疑問が急浮上しました。
なぜ退院したらリハビリテーションができない??
なぜ機能が低下していく??
これは、家庭生活をすることを目標に入院中にリハビリテーションを行っていない事が、一番大きな要因だと思います。

入院しているクライエントは…
『病院では手足が動かない』ことが一番の悩みで、
ここを解決することが一番重要な課題になっています。

これは当然だと思いますが、この流れのリハビリテーションを行うと、
間違いなく、退院後にリハビリができない。機能が低下するという事を招きます。

だって…
何もすることないんだもん。
手や足は動かないんだもん。

このパターンって結構全国的にも日本の場合には多いと思います。
入院中に、作業療法で必要な作業を提供し、 どのようにすれば、この作業(:例えば家事など)ができるのか?
一緒に考え、一緒に目標を立てる。

こんな流れで作業療法を提供していますが、
今回の報道のような状況には陥っていません。

手足は動かないけど…
以前のようにはできないけど…
『これはできるからね!』といい、
退院後にどんどん良くなっていく人が多いです。

本当の作業療法士が今回の報道をみたら…
きっとショックでしょうね。 今の世間の状況と、レベルを叩きつけられたようで…(涙

かなりの辛口、毒舌トークで申し訳ありません。
個人的な感想でした。


※(注
脳卒中(:脳出血や脳梗塞など)による麻痺の改善などは
医師でなければ、患者やご家族にお伝えすることができません。
理学療法士や作業療法士は診断という医療行為を行う事は法律で禁止されています。
患者ひとりひとり症状や状態は違いと思いますので、
医学では一概に言えない部分が大きいと思います。
具体的な症状や説明を知りたいという方は主治医専門医にお聞きください。


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2 コメント

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テレビ (きんごきんご)
2008-02-13 00:21:53
私も個人的な感想です。
2日間、所々しか見ておりませんが非常に考えさせられました。(良かった面、悪く感じた面)
情報化社会となって、マスコミの持つ力は大きくなっていると感じます。うまく付き合えると非常にプラスとなるのでしょうが、逆になると…
今回の番組は一部をクローズアップしたんだよ と視聴者の皆さんに受け取っていただけたらいいなぁと思いました。どの分野もそうでしょうが、医療の分野は特に幅広いと思います。
うーん、説明が下手だなぁ。段々、貝になりそう。
返信する
そうですね。。 (管理人)
2008-02-13 21:41:15
>きんごきんごさん
いつもコメントありがとうございます。

私も結構、辛口の投稿をさせて頂きました。
もちろんあくまでも個人的感想の投稿です。

今回の報道された内容が本来のリハビリテーションという姿なのかもしれません。
ただ、私の知識が不十分なだけなのかもしけませんし。

でも、私も作業療法士という専門家です。
専門家なら専門家なりの意見や信念を持っている者が専門家だと思っています。

そこで、個人的な意見ですが、私の専門的立場より書かせて頂きました。

報道と実際の臨床の場のギャップは我々専門家には手に取るようにわかりますが、
素人の患者やクライエントには全くわかりませんし、報道を信じるしかないので。

結構、多くの方々が毎日閲覧しに来て下さっているようです。
少しでも参考になればと思います。
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