『Platinum FLASH Vol.16』
もう一人のセンターである山下美月がいるとはいえ、センター不在のまま音楽番組、しかも『Mステ』に出演するのは乃木坂46の歴史においても極めて異例だ。その久保の代打として白羽の矢が立ったのが、林瑠奈だった。アンダー曲「さざ波は戻らない」で伊藤理々杏とダブルセンターを務める林。例えば、ロケット鉛筆方式で選抜メンバーから久保の代打を選ぶよりも、シングル全体、双方向でシンメとも言えるアンダーからセンターを迎え入れる方が形式的にも美しく、林に注目が向くという点で先述したスケジュールを考慮しても選抜からアンダーへとバトンを繋ぐこともできる。
久保は自身のブログに「輝いてね。あなたらしく、あなたのままで。」のタイトルで『Mステ』欠席とそのポジションに林が立つことを綴っているが、想像できるのがそれが決定したのが相当急なスケジュールだったのではないかということ。日程的には4月5日、6日がアンダーライブの1カ所目にあたり、8日から引き続き大阪にてツアーが開催という、ライブに本腰を入れようとした矢先に林は7日『Mステ』でのセンターに抜擢されたことになる。実際、そのことを久保のブログで知ったアンダーメンバーもいたというほどだが、出演までが急ピッチだったことは緊張が見える林のパフォーマンス自体が物語っていた。
ただ、それは昨年9月に開催された『30thSGアンダーライブ』でのパフォーマンスを筆頭としたこれまでの林の姿を知っているからこその意見でもあり、今回の『Mステ』をきっかけにして林を知ったというファンも多く散見される。間奏の山下とのペアダンスからは林にも笑顔が見え、筆者としても理屈抜きで心揺さぶられるパフォーマンスに思えた。
林はアンダーセンター、さらにはアンダーライブの座長を務めることについて、「役割を与えられたことで、自分も引っ張っていく存在なんだと痛感しました。自分に対する不安もあるので、これから悩むことが増えていくんだろうなと思います」(『EX大衆』2023年4月号より)と答えているが、そこからさらに代打センターとしての“役割”を与えられるとは想像もしていなかっただろう。久保が林を指名したのか、それともスタッフ陣の判断だったのかは定かではないが、その期待の中にあることは確か。まずは東京ガーデンシアターでのツアーファイナルで熱量と覚悟のこもった全力のパフォーマンスを観せてほしいのと同時に、今回の『Mステ』の代打センターが未来への布石になることを期待している。
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