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NPC福岡・女性プランナー4人の日々

幸せなリフォーム  byオオチ

2007年06月03日 | ワーク
先日、私のスケジュール表から一年のもの間載っていた邸名を消しました。
この邸のオーナーと初めてお会いしたのが去年の6月。半年の設計期間を経て12月に着工。
メインの工事終了とお引越は2月でしたが、残工事・追加工事が終了したのが5月末なので、本当にちょうど丸一年。全面改装とはいえ、購入に際したマンションリフォームでこんなに時間をかけるのは稀なことです。
家を購入前に計画や仕様も決定しておいて、物件の売買が決定したと同時に工事に入り、家賃を2ヶ所分払う期間を最小限に抑えるというのが慣例の昨今、
家がオーナーのものになってからあえて4ケ月後に着工という今回の事例は珍しいパターンなのです。
これは、家造りに思い入れがあるオーナーの、ゆっくり検討して満足できるリフォームをしたいというご意向によるものでした。
とはいえ、共働きのご家庭だったので、お会いしての打合せは1ケ月に1回ペース。後はメールでの打合せがほとんどでしたが、1年で送信した数、片道200通以上。オーナーも同じだけ出されているので、併せて400通以上のやりとり!
着工前はもちろん、着工後も設計変更、色彩計画、家具・照明・カーテンetc.. 隅から隅まで一緒に検討を重ねました。
私はこれが仕事ですが、オーナーは仕事も家事も子育てもある上での家造り。
竣工までパワーが落ちなかったオーナー一家の連携にはまさに尊敬の一言です。途中、アクシデントもありましたが、それを転じて福にできたのもオーナーの前向きな力と信頼という土壌があった故。

 さて、オーナーと共に時間をかけて完成した家、何が違ったと思いますか?
特に奇抜なデザインはしていないし、この規模にしてはメーカー商品の使用率も高かった。
では、何が違ったか?
それは完成した家にオーナーが越してきたとき、すでにオーナー一家が新しい家にしっくり似合っていたこと。既製の商品がオーナー用のオリジナルかと思うほど。
家の方も、これまで可愛がって造ってきた私のことなどすっかり忘れて、引越を待ってましたとばかりにオーナーにすっかり寄り添っている雰囲気・・!?
 きれいな家やかっこいい家は私たちだけでも造れますが、住まう人と家がこんなにぴったりおさまっているこの空気は、設計者の力だけでは造れないですね。きっと計算やデザインや技術を超えるところだから。
設計の限界と空間の可能性・・。ヒトとイエとの幸せな関係・・。
設計者として関わらなければ感じられなかった貴重な経験でした。
私のスケジュールから消えるのは、淋しくも無事に終わって嬉しいことですが、携わった者として本当に安心できるのは、住み始めて季節が一巡するまで。
これから5年、10年後のこの家が楽しみです。

  オーナーと目指したのはホテルライクな家。滞在時間が少ない玄関や洗面所ではこれを心おきなく前面に。・・トップと上記の写真にある照明器具はオーナーが東京まで行って選んできたもの。
 
日々の生活が行われる場所には、多少散らかっても苦にならないよう少し気を抜いて明るくゆるりと。でも主照明から間接照明に切り替えると雰囲気をぐっと引き締められるようにもなっているのです。

投稿by オオチ

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