DOE(米エネルギー省)のNNSA(国家核安全保障局)が
福島原発事故直後のモニタリング生データを
2011年10月21日にリリースしていたようです。
ケンパルさんが偶然見つけたらしいです。
そして
@xryos_kx りょうさんが
NNSAの生データを、マップに落とし込んで下さったそうです。
タイトルは、
「US DOE/NNSAによる大気中の放射性物質の測定結果」
です。
空間線量率が分かるだけでなく、
放射能拡散を
アニメーションで理解しえます。
一見の価値あります。
☆ リンク
生データーを落とし込んでもらうに当たって、
第29回と第33回の
おしどりマコ・ケンさんの
「脱ってみる?」というブログ記事が
きっかけになったようです。
苦労の後をなぞりたく
以下に
上に掲げた2回の
記事の転載をさせて頂きます。
<資料>
マコ・ケンの「脱ってみる?」第29回
「NNSA生データ! バイスタンダー効果、ゲノム不安定性
などなど低線量被曝に関する件」
最近の内容がむずかしーい! という声を時々聞きますが、そう? 放射性物質のことなんてわかんなーい、という食わず嫌いの拒否反応はせず、案外、簡単だからみんなで知ろうぜ! 水素がH、酸素がOの、あのスイヘーリーベ、ボクノフネ、の周期表の下のほうの話で、おそるるに足らずでござんすよ!
さて、今回は、「脱ってみる?」第27回で県民健康管理調査検討委員会の山下俊一座長に質問した件、行動記録の問診表から内部被曝をどう評価するか? について、いろいろと調べてみました。
結論からいうと、やっぱり内部被曝はちっとも評価しないんじゃん! 何、山下先生デタラメおっしゃったのさ!? てことです。
問診表からは外部被曝しか評価しない、ということを7月の段階でつきとめていたので(第11回参照)過去のヨウ素の内部被曝をどう評価するのか、切り捨てるのか、というのをあちこちで調べまくってるわたくしですが、山下座長は検討委員会のあとの記者会見で
――問診票でその過去のヨウ素の内部被曝を評価する。という認識でよろしいでしょうか。
山下俊一座長「そういうふうに考えています」
このような回答をし、そのあとも「あら? でも問診表は外部被曝のみ、と放医研でも、福島県庁の県民健康管理チームでもそうお聞きしましたよ」と畳み掛けると
「はい、基本的にはそうなんです。基本的にはそういうふうに内部を全くあれしてたんですが…」
などと全く適当な受け答えをされた山下先生。しかし最終的に
「残念ながら、線量の専門家ではないので、これは別途、線量の専門家がきちんと答えるというふうに思っております」
結局、逃げるか! でも、ひょっとしたら方向性が変わったかもしれないので、改めて取材するか、というわけで、放医研と福島県庁の健康管理調査室にお伺いしてきました。
――問診表のデータを打ち込めば被曝線量を出す、というソフト(これも第27回参照)は以前から放医研のHP上にあった住民線量評価システムが完成したのでしょうか?
放医研「いえ、あれと福島県民の問診表のソフトとは別です」
――では、あのHPは5月から更新がありませんが、このままでしょうか?
放医研「いえ、あれはあれで開発はしております。もう少しかかります」
(じゃあ、なんで5月にHPにあげたんだろうね?)
――では福島県民の問診表から被曝線量を出すソフトは正式名称は何というのでしょう?
放医研「いえ、とくになく、我々は単に、線量評価のシステム、と呼んでいます」
――そのシステムは、外部被曝だけではなく、内部被曝も評価する、とお聞きしたのですが。
放医研「いえ、外部被曝のみです、それしか評価できません」
――第4回の検討委員会のあとの会見で山下座長に直接伺ったときに、内部被曝も評価する、とのお答えを頂いたのですが。何でも2007年のアンスケア(UNSCEAR/原子放射線の影響に関する国連科学委員会)のレポートが参考になるとかで。
放医研「え? なんでそんなことをおっしゃったのかわかりませんが、問診表からは外部被曝の線量しか出さないですけど…ちょっと意味がわかりません」
(やっぱりな…)
――ではその外部被曝を評価する線量のデータはどのようなものを使うのでしょうか?
放医研「3月12日から14日までの3日間は、SPEEDIのデータを使い、15日以降は文科省のデータを使います」
補足:この件は取材のあと、もう少し調べました。3月12日〜14日はSPEEDIにより計算された結果、現状設定されているソースターム〈放出された放射性核種の種類や放出量など、被曝解析に必要な前提条件〉を適用。3月15日以降は、文科省が公表しているモニタリングデータ、2kmメッシュに展開したものを利用とのこと。
――その採用データの線量の計算式はどちらで議論されたのでしょう?
放医研「福島県の線量評価委員会です」
――ではソフトの責任者は放医研ではなく線量評価委員会ということですね?
放医研「線量評価委員会に放医研の人間も入っていますが、基本的に放医研はソフトの開発のみです」
はい、ということで、線量評価委員会について、県の健康管理調査室にお聞きしました。
その前に下調べ。第3回の県民健康管理検討委員会で線量評価委員会が立ち上がってるんだよね。設置要綱を見ると、またもや!!!
第3条
委員会は、知事が指名する有識者により構成する。
とのこと。また山下座長の検討委員会と同じ、知事の独断でござんすよ!
いつものごとく、委員名簿も載せちゃいましょう!(どなたかの役に立つかもしれないからね)
上蓑 義朋(理化学研究所・放射線管理)
木名瀬 栄(日本原子力研究開発機構・放射線防護)
高橋 隆行(福島大学)
(文科省、放射線線量等分布マップの作成等にかかる検討会委員)
中村 尚司(東北大学名誉教授、前放射線審議会会長)
松田 尚樹(長崎大学、放射線生物)
山澤 弘実(名古屋大学、環境放射線)
座長は中村先生とのことです。
――線量評価委員会についてお聞きしたのですが、これは検討委員会の並列組織ですか、下部組織ですか?
健康管理調査室「並列組織です」
――これは、第1回どちらでいつ開催されたのでしょう? 第2回の開催はいつでしょうか?
健康管理調査室「ええっと、どこで線量評価委員会をお知りになりましたか? マスコミに発表はしてないのですが…」
――第3回の検討委員会の資料に線量評価委員会の設置要綱が掲載されていました。その要綱が7月20日からの施行で、委員名簿の日付が7月22日なのですが…
健康管理調査室「ああ、そうか、じゃ、出してもいいのかな、出てますもんね。実はね、7月22日に第1回を東京でやったんです」
――東京で? 福島でなく?
健康管理調査室「はい、東京で。ちょっと急ぎで、でしたので」
――第2回はいつ行なわれるのでしょう?
健康管理調査室「それがまだ未定なのです。というかこちらは検討委員会の事務で、線量評価委員会については県庁のマスコミ対応の部署のほうが詳しいと思いますのでそちらにおかけください」
(ここで電話番号をお聞きしました。そして検討委員会についてということで)
――では、第5回の検討委員会はいつ開催されるのですか?
健康管理調査室「まだ未定なんです。」
――え? 第4回の閉会のときに、緊急課題が多いので、できるだけ早く、1ヵ月以内に開催する、とのお話でしたが…」
健康管理調査室「そう! そこなんですよ! 私も一刻も早く開いてほしいんですけど、まったく開催のメドが立たなくて、年内か、年明けか…」
――年明け!?
健康管理調査室「そうなんです! 本当に早く開催してほしいですよ! 第5回の開催のだいたいの予定でも分かっていたら、今お伝えしてあげたいんですが…おしどりさんでしょ? 覚えてますよ! 私、第4回のとき受付してましたからね! 連絡先聞いといて分かったら少しでも早くお伝えしたいくらい…」
(というフレンドリーな方から紹介された県庁のマスコミ対応部署へ再びお電話)
――7月22日に第1回が行なわれた線量評価委員会の第2回が開催されるならば傍聴したいのですが。
福島県庁「うーん、かなり専門的な議論なので、傍聴は考えていないのですが…」
――勉強していますので、よろしければ傍聴したいです。
福島県庁「わかりました、その旨お伝えして、検討課題にいたします
(検討委員会も第4回から傍聴可能になったものね!)
――問診表から外部被曝しか出さない、と放医研からも、以前県民健康管理チームからも伺ったのですが、第4回の検討委員会のあとの質疑で山下座長が内部被曝も評価する、とおっしゃったのですが、どういうことでしょうか?
福島県庁「いやー、内部被曝はムリですね! 自家栽培の野菜を食べたかどうかチェックくらいの話じゃないですか? 県庁としては、その他の吸入による内部被曝に関しては手も足も出ない、というのが正直なところなんですよ!」
(あ、あんがい、フランクにぶっちゃけられる方ね?)
――やっぱり外部被曝のみですか。過去のヨウ素の内部被曝についてはどこが議論するのでしょう? プラットフォーム委員会を立ち上げる、ということをお聞きしたんですが、そちらでしょうか?
福島県庁「何ですか、それ? 全然知りません。県と関係ないのでは?」
――先日の第4回の検討委員会のときにお聞きしたのですが(第27回参照)。
福島県庁「そうですか、でも知らないです。県として、これから立ち上げようとしているのは、アドバイザーのグループなんです」
――アドバイザー? 何のですか、詳しく教えて頂けますか?
福島県庁「はい。現在、個人線量計の配布が始まっているでしょう? その結果を市町村が返すときに、どう返したらいいかわからない、という苦情がたくさん来ているんですね、なので、そういう市町村へのアドバイザーです」
――個人線量計、ガラスバッジ、フィルムバッジなどですね、5週間や3ヶ月間貸与して、そして回収して積算線量を出して結果を返すというアレですね。
福島県庁「そうです、それです。その結果を返すときに、どういう返し方をしたらいいかわからないので、それを早急に教えてほしいということで、アドバイザーのグループを作ろうとしています」
――そのメンバーはどういった方々ですか?
福島県庁「まだ決まっていません。しかし市町村が大変困っているので、早急に市町村に助言する組織を作るために動いています」
むー、またメンバーが気になるところですね! 「10μSV/hまでは子どもが外で遊んでも大丈夫ですよ☆」とはっきりおっしゃった、山下先生の弟子っこの高村先生などが選ばれませんように☆
ところで、ICRP(国際放射線委員会)の報告を見ていると、Publ.99「放射線関連がんリスクの低線量への外挿」にバイスタンダー効果とゲノム不安定性について言及されています。詳しく調べてみました。簡単に言うと、
バイスタンダー効果: 被曝した細胞から、周辺の被曝しなかった細胞へ遠隔的に被曝の情報が伝えられる現象。その損傷シグナルにより、被曝しなかった細胞にも、細胞死、突然変異、染色体異常などの生物学的影響が生じることがある。
ゲノム不安定性: 被曝した細胞がそのあと何回も細胞分裂した時点で、子孫細胞に生じる遺伝子の不安定性。初期の被曝による損傷を乗り越えた細胞のその何代もの後の子孫細胞にも、悪性形質転換、染色体異常、遺伝子突然変異などがみられることがある。
そして、バイスタンダー効果やゲノム不安定性などの論文をいろいろ読むと、
「低線量被曝時に、バイスタンダー効果のために被曝していない細胞で発がんが起きるならば、低線量域における発がん頻度を過小評価している可能性がある」
「バイスタンダー効果、ゲノム不安定性のいずれの現象でも、放射線で直接ヒットされなかった細胞であっても、発がんする可能性が高いことを意味する」
などなど気になることが書いてありますよ…
しかし! 肝心のICRP,Publ.103「2007年勧告」では、バイスタンダー効果もゲノム不安定性も有意なデータがある、と言及しつつ、更なる研究が求められるということで、まだ放射線防護の評価の中に含まれていないのです。けど、2007年以前のデータだからね! 今はもっともっと進んでるんだよ! でも、残念ながら、日本は1990年勧告レベルだから論外なんだけれど…。早く放射線審議会で議論して、現代に追いついてくれなくっちゃね!
さて、11月14日の統合会見から抜粋。
この日の資料を見ると、福島県の周辺県も福島原発事故由来の放射性物質でけっこう汚染されていました。
――これによりますと、福島県内より汚染されている地域が、栃木県や群馬県、千葉県など点在しており、またホットスポットも存在しておりますが、この辺りの住民の方々の健康調査、そして低線量被曝に関する福島県の住民の方々へのケアと同じ様な事は政府としてこれからプランとして入っているのでしょうか。
園田政務官「このー、福島以外の所の県の、健康調査といいますか、ま、そういった所も含めての対応いかんということだろうと思いますけども、あのー、今除染に関してはですね、えーと、福島以外の所でも様々な形での話し合いをさせていただいてる、というふうに承知をいたしております。
それからあと、除染とモニタリングの状況については各県の皆さんともご相談をさせていただいてる、というのは承知をさせていただいておりますけれども、その以外のことについてのですね、えー、各自治体との議論というものはちょっと私も今承知をいたしておりませんので確認をさせていただきたいと存じます」
――では周辺地域の住民の方々の被曝については、各自治体におまかせ、ということでしょうか。
福島県の県民の方々の被曝に関する健康の評価は、現在、福島県で検討委員会そして線量評価委員会が立ち上がり、県知事の指名する委員で構成されていますが、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県などはそれぞれ県が、そういうような委員会を立ち上げるのを待つか、もしくは福島県の県知事が指名された委員会による基準を順次適用する、ということなんでしょうか。
園田政務官「あのー、ちょっとその辺はですねまだ、議論がスタートしてないというふうに思っております。あのー、当然と言いますか、支援チームも含めてまあ福島の件については、進捗をしているという事は聞いておりますけれど、その他のところについてはまだあの、そういった動きがある、というのはちょっと私は聞いておりません」
――ではこれは各県に聞けばいい、という事ですか。それとも政府としては把握されていない、という事でしょうか。
園田政務官「すいません、えっとー、対策の私の立場として把握をしていないだけなのかもしれません」
――では私も調べますから、次回園田政務官もお調べになって回答していただけますでしょうか。
園田政務官「あのー、次回かどうかちょっと別の部署になりますので、あの私の担当ではないという所は、ご承知おきをいただいた上で、ちょっとどこに確認をすればいいか、それも含めて検討はさせていただきます」
――ではあのー、この件のご担当は何処になるのか教えていただけたらと思います。厚労省なのか、環境省なのか。どちらの管轄に…
園田政務官「それもちょっと今この場では、私も分かりませんので、それも含めてちょっと調べさせて下さい」
何だい、全く頼りないな! 本当に頼みますよ!
そして低線量被曝に関して安全委員会加藤さんへ質問。
――前々回の質疑で低線量被曝の事がよく取り上げられてましたが、それに関して直線しきい値なしのLNTモデルで評価しておられる、という事で、その加藤さんのご回答の中で「LNTモデルでも十分に評価している」というお答えでしたと思われますが、現在バイスタンダー効果や、ゲノム不安定性などでLNTモデル自体、被曝の過小評価をしているのではないか、という事が最近の論文でも上っており、ICRPの2007年の勧告やパブリケーション99「放射線関連がんリスクの低線量への外挿」などにもその記述がされておりますが、安全委員会としてLNTモデルだけで十分に低線量被曝は考慮できるとお考えでしょうか。宜しくおねがいいたします。
(分量が多いので、次の記事に引き継ぎます)
福島原発事故直後のモニタリング生データを
2011年10月21日にリリースしていたようです。
ケンパルさんが偶然見つけたらしいです。
そして
@xryos_kx りょうさんが
NNSAの生データを、マップに落とし込んで下さったそうです。
タイトルは、
「US DOE/NNSAによる大気中の放射性物質の測定結果」
です。
空間線量率が分かるだけでなく、
放射能拡散を
アニメーションで理解しえます。
一見の価値あります。
☆ リンク
生データーを落とし込んでもらうに当たって、
第29回と第33回の
おしどりマコ・ケンさんの
「脱ってみる?」というブログ記事が
きっかけになったようです。
苦労の後をなぞりたく
以下に
上に掲げた2回の
記事の転載をさせて頂きます。
<資料>
マコ・ケンの「脱ってみる?」第29回
「NNSA生データ! バイスタンダー効果、ゲノム不安定性
などなど低線量被曝に関する件」
最近の内容がむずかしーい! という声を時々聞きますが、そう? 放射性物質のことなんてわかんなーい、という食わず嫌いの拒否反応はせず、案外、簡単だからみんなで知ろうぜ! 水素がH、酸素がOの、あのスイヘーリーベ、ボクノフネ、の周期表の下のほうの話で、おそるるに足らずでござんすよ!
さて、今回は、「脱ってみる?」第27回で県民健康管理調査検討委員会の山下俊一座長に質問した件、行動記録の問診表から内部被曝をどう評価するか? について、いろいろと調べてみました。
結論からいうと、やっぱり内部被曝はちっとも評価しないんじゃん! 何、山下先生デタラメおっしゃったのさ!? てことです。
問診表からは外部被曝しか評価しない、ということを7月の段階でつきとめていたので(第11回参照)過去のヨウ素の内部被曝をどう評価するのか、切り捨てるのか、というのをあちこちで調べまくってるわたくしですが、山下座長は検討委員会のあとの記者会見で
――問診票でその過去のヨウ素の内部被曝を評価する。という認識でよろしいでしょうか。
山下俊一座長「そういうふうに考えています」
このような回答をし、そのあとも「あら? でも問診表は外部被曝のみ、と放医研でも、福島県庁の県民健康管理チームでもそうお聞きしましたよ」と畳み掛けると
「はい、基本的にはそうなんです。基本的にはそういうふうに内部を全くあれしてたんですが…」
などと全く適当な受け答えをされた山下先生。しかし最終的に
「残念ながら、線量の専門家ではないので、これは別途、線量の専門家がきちんと答えるというふうに思っております」
結局、逃げるか! でも、ひょっとしたら方向性が変わったかもしれないので、改めて取材するか、というわけで、放医研と福島県庁の健康管理調査室にお伺いしてきました。
――問診表のデータを打ち込めば被曝線量を出す、というソフト(これも第27回参照)は以前から放医研のHP上にあった住民線量評価システムが完成したのでしょうか?
放医研「いえ、あれと福島県民の問診表のソフトとは別です」
――では、あのHPは5月から更新がありませんが、このままでしょうか?
放医研「いえ、あれはあれで開発はしております。もう少しかかります」
(じゃあ、なんで5月にHPにあげたんだろうね?)
――では福島県民の問診表から被曝線量を出すソフトは正式名称は何というのでしょう?
放医研「いえ、とくになく、我々は単に、線量評価のシステム、と呼んでいます」
――そのシステムは、外部被曝だけではなく、内部被曝も評価する、とお聞きしたのですが。
放医研「いえ、外部被曝のみです、それしか評価できません」
――第4回の検討委員会のあとの会見で山下座長に直接伺ったときに、内部被曝も評価する、とのお答えを頂いたのですが。何でも2007年のアンスケア(UNSCEAR/原子放射線の影響に関する国連科学委員会)のレポートが参考になるとかで。
放医研「え? なんでそんなことをおっしゃったのかわかりませんが、問診表からは外部被曝の線量しか出さないですけど…ちょっと意味がわかりません」
(やっぱりな…)
――ではその外部被曝を評価する線量のデータはどのようなものを使うのでしょうか?
放医研「3月12日から14日までの3日間は、SPEEDIのデータを使い、15日以降は文科省のデータを使います」
補足:この件は取材のあと、もう少し調べました。3月12日〜14日はSPEEDIにより計算された結果、現状設定されているソースターム〈放出された放射性核種の種類や放出量など、被曝解析に必要な前提条件〉を適用。3月15日以降は、文科省が公表しているモニタリングデータ、2kmメッシュに展開したものを利用とのこと。
――その採用データの線量の計算式はどちらで議論されたのでしょう?
放医研「福島県の線量評価委員会です」
――ではソフトの責任者は放医研ではなく線量評価委員会ということですね?
放医研「線量評価委員会に放医研の人間も入っていますが、基本的に放医研はソフトの開発のみです」
はい、ということで、線量評価委員会について、県の健康管理調査室にお聞きしました。
その前に下調べ。第3回の県民健康管理検討委員会で線量評価委員会が立ち上がってるんだよね。設置要綱を見ると、またもや!!!
第3条
委員会は、知事が指名する有識者により構成する。
とのこと。また山下座長の検討委員会と同じ、知事の独断でござんすよ!
いつものごとく、委員名簿も載せちゃいましょう!(どなたかの役に立つかもしれないからね)
上蓑 義朋(理化学研究所・放射線管理)
木名瀬 栄(日本原子力研究開発機構・放射線防護)
高橋 隆行(福島大学)
(文科省、放射線線量等分布マップの作成等にかかる検討会委員)
中村 尚司(東北大学名誉教授、前放射線審議会会長)
松田 尚樹(長崎大学、放射線生物)
山澤 弘実(名古屋大学、環境放射線)
座長は中村先生とのことです。
――線量評価委員会についてお聞きしたのですが、これは検討委員会の並列組織ですか、下部組織ですか?
健康管理調査室「並列組織です」
――これは、第1回どちらでいつ開催されたのでしょう? 第2回の開催はいつでしょうか?
健康管理調査室「ええっと、どこで線量評価委員会をお知りになりましたか? マスコミに発表はしてないのですが…」
――第3回の検討委員会の資料に線量評価委員会の設置要綱が掲載されていました。その要綱が7月20日からの施行で、委員名簿の日付が7月22日なのですが…
健康管理調査室「ああ、そうか、じゃ、出してもいいのかな、出てますもんね。実はね、7月22日に第1回を東京でやったんです」
――東京で? 福島でなく?
健康管理調査室「はい、東京で。ちょっと急ぎで、でしたので」
――第2回はいつ行なわれるのでしょう?
健康管理調査室「それがまだ未定なのです。というかこちらは検討委員会の事務で、線量評価委員会については県庁のマスコミ対応の部署のほうが詳しいと思いますのでそちらにおかけください」
(ここで電話番号をお聞きしました。そして検討委員会についてということで)
――では、第5回の検討委員会はいつ開催されるのですか?
健康管理調査室「まだ未定なんです。」
――え? 第4回の閉会のときに、緊急課題が多いので、できるだけ早く、1ヵ月以内に開催する、とのお話でしたが…」
健康管理調査室「そう! そこなんですよ! 私も一刻も早く開いてほしいんですけど、まったく開催のメドが立たなくて、年内か、年明けか…」
――年明け!?
健康管理調査室「そうなんです! 本当に早く開催してほしいですよ! 第5回の開催のだいたいの予定でも分かっていたら、今お伝えしてあげたいんですが…おしどりさんでしょ? 覚えてますよ! 私、第4回のとき受付してましたからね! 連絡先聞いといて分かったら少しでも早くお伝えしたいくらい…」
(というフレンドリーな方から紹介された県庁のマスコミ対応部署へ再びお電話)
――7月22日に第1回が行なわれた線量評価委員会の第2回が開催されるならば傍聴したいのですが。
福島県庁「うーん、かなり専門的な議論なので、傍聴は考えていないのですが…」
――勉強していますので、よろしければ傍聴したいです。
福島県庁「わかりました、その旨お伝えして、検討課題にいたします
(検討委員会も第4回から傍聴可能になったものね!)
――問診表から外部被曝しか出さない、と放医研からも、以前県民健康管理チームからも伺ったのですが、第4回の検討委員会のあとの質疑で山下座長が内部被曝も評価する、とおっしゃったのですが、どういうことでしょうか?
福島県庁「いやー、内部被曝はムリですね! 自家栽培の野菜を食べたかどうかチェックくらいの話じゃないですか? 県庁としては、その他の吸入による内部被曝に関しては手も足も出ない、というのが正直なところなんですよ!」
(あ、あんがい、フランクにぶっちゃけられる方ね?)
――やっぱり外部被曝のみですか。過去のヨウ素の内部被曝についてはどこが議論するのでしょう? プラットフォーム委員会を立ち上げる、ということをお聞きしたんですが、そちらでしょうか?
福島県庁「何ですか、それ? 全然知りません。県と関係ないのでは?」
――先日の第4回の検討委員会のときにお聞きしたのですが(第27回参照)。
福島県庁「そうですか、でも知らないです。県として、これから立ち上げようとしているのは、アドバイザーのグループなんです」
――アドバイザー? 何のですか、詳しく教えて頂けますか?
福島県庁「はい。現在、個人線量計の配布が始まっているでしょう? その結果を市町村が返すときに、どう返したらいいかわからない、という苦情がたくさん来ているんですね、なので、そういう市町村へのアドバイザーです」
――個人線量計、ガラスバッジ、フィルムバッジなどですね、5週間や3ヶ月間貸与して、そして回収して積算線量を出して結果を返すというアレですね。
福島県庁「そうです、それです。その結果を返すときに、どういう返し方をしたらいいかわからないので、それを早急に教えてほしいということで、アドバイザーのグループを作ろうとしています」
――そのメンバーはどういった方々ですか?
福島県庁「まだ決まっていません。しかし市町村が大変困っているので、早急に市町村に助言する組織を作るために動いています」
むー、またメンバーが気になるところですね! 「10μSV/hまでは子どもが外で遊んでも大丈夫ですよ☆」とはっきりおっしゃった、山下先生の弟子っこの高村先生などが選ばれませんように☆
***
ところで、ICRP(国際放射線委員会)の報告を見ていると、Publ.99「放射線関連がんリスクの低線量への外挿」にバイスタンダー効果とゲノム不安定性について言及されています。詳しく調べてみました。簡単に言うと、
バイスタンダー効果: 被曝した細胞から、周辺の被曝しなかった細胞へ遠隔的に被曝の情報が伝えられる現象。その損傷シグナルにより、被曝しなかった細胞にも、細胞死、突然変異、染色体異常などの生物学的影響が生じることがある。
ゲノム不安定性: 被曝した細胞がそのあと何回も細胞分裂した時点で、子孫細胞に生じる遺伝子の不安定性。初期の被曝による損傷を乗り越えた細胞のその何代もの後の子孫細胞にも、悪性形質転換、染色体異常、遺伝子突然変異などがみられることがある。
そして、バイスタンダー効果やゲノム不安定性などの論文をいろいろ読むと、
「低線量被曝時に、バイスタンダー効果のために被曝していない細胞で発がんが起きるならば、低線量域における発がん頻度を過小評価している可能性がある」
「バイスタンダー効果、ゲノム不安定性のいずれの現象でも、放射線で直接ヒットされなかった細胞であっても、発がんする可能性が高いことを意味する」
などなど気になることが書いてありますよ…
しかし! 肝心のICRP,Publ.103「2007年勧告」では、バイスタンダー効果もゲノム不安定性も有意なデータがある、と言及しつつ、更なる研究が求められるということで、まだ放射線防護の評価の中に含まれていないのです。けど、2007年以前のデータだからね! 今はもっともっと進んでるんだよ! でも、残念ながら、日本は1990年勧告レベルだから論外なんだけれど…。早く放射線審議会で議論して、現代に追いついてくれなくっちゃね!
***
さて、11月14日の統合会見から抜粋。
この日の資料を見ると、福島県の周辺県も福島原発事故由来の放射性物質でけっこう汚染されていました。
[クリックすると拡大します]
――これによりますと、福島県内より汚染されている地域が、栃木県や群馬県、千葉県など点在しており、またホットスポットも存在しておりますが、この辺りの住民の方々の健康調査、そして低線量被曝に関する福島県の住民の方々へのケアと同じ様な事は政府としてこれからプランとして入っているのでしょうか。
園田政務官「このー、福島以外の所の県の、健康調査といいますか、ま、そういった所も含めての対応いかんということだろうと思いますけども、あのー、今除染に関してはですね、えーと、福島以外の所でも様々な形での話し合いをさせていただいてる、というふうに承知をいたしております。
それからあと、除染とモニタリングの状況については各県の皆さんともご相談をさせていただいてる、というのは承知をさせていただいておりますけれども、その以外のことについてのですね、えー、各自治体との議論というものはちょっと私も今承知をいたしておりませんので確認をさせていただきたいと存じます」
――では周辺地域の住民の方々の被曝については、各自治体におまかせ、ということでしょうか。
福島県の県民の方々の被曝に関する健康の評価は、現在、福島県で検討委員会そして線量評価委員会が立ち上がり、県知事の指名する委員で構成されていますが、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県などはそれぞれ県が、そういうような委員会を立ち上げるのを待つか、もしくは福島県の県知事が指名された委員会による基準を順次適用する、ということなんでしょうか。
園田政務官「あのー、ちょっとその辺はですねまだ、議論がスタートしてないというふうに思っております。あのー、当然と言いますか、支援チームも含めてまあ福島の件については、進捗をしているという事は聞いておりますけれど、その他のところについてはまだあの、そういった動きがある、というのはちょっと私は聞いておりません」
――ではこれは各県に聞けばいい、という事ですか。それとも政府としては把握されていない、という事でしょうか。
園田政務官「すいません、えっとー、対策の私の立場として把握をしていないだけなのかもしれません」
――では私も調べますから、次回園田政務官もお調べになって回答していただけますでしょうか。
園田政務官「あのー、次回かどうかちょっと別の部署になりますので、あの私の担当ではないという所は、ご承知おきをいただいた上で、ちょっとどこに確認をすればいいか、それも含めて検討はさせていただきます」
――ではあのー、この件のご担当は何処になるのか教えていただけたらと思います。厚労省なのか、環境省なのか。どちらの管轄に…
園田政務官「それもちょっと今この場では、私も分かりませんので、それも含めてちょっと調べさせて下さい」
何だい、全く頼りないな! 本当に頼みますよ!
そして低線量被曝に関して安全委員会加藤さんへ質問。
――前々回の質疑で低線量被曝の事がよく取り上げられてましたが、それに関して直線しきい値なしのLNTモデルで評価しておられる、という事で、その加藤さんのご回答の中で「LNTモデルでも十分に評価している」というお答えでしたと思われますが、現在バイスタンダー効果や、ゲノム不安定性などでLNTモデル自体、被曝の過小評価をしているのではないか、という事が最近の論文でも上っており、ICRPの2007年の勧告やパブリケーション99「放射線関連がんリスクの低線量への外挿」などにもその記述がされておりますが、安全委員会としてLNTモデルだけで十分に低線量被曝は考慮できるとお考えでしょうか。宜しくおねがいいたします。
(分量が多いので、次の記事に引き継ぎます)
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