のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

“就労指導”の名の下に

2009年09月18日 04時34分11秒 | Weblog
 法制上、生活保護は、)「稼働能力を活用」しているにかかわらず、)生活が「困窮」していれば、生活保護の申請権があります(生活保護法7条)。要件を満たしている者に、充分な助言・教示をせずに申請書を渡すのを拒絶すれば、行政当局(地方自治体)は生活保護法違反に問われます。しかし、この法律、自治体によっては必ずしも適切な運用がなされていないようです。その例が“闇の北九州方式”と呼ばれるまでに至った北九州市の場合です。つまり、同市の生活保護行政の窓口となる、福祉事務所の対応のあり方が遺憾ながら不親切この上なく、このように呼び習わされるようになったとのことです。

 今年、6月5日付『毎日新聞』朝刊に「北九州でまた孤独死 生活保護相談、受給されず」という見出しで、39歳の男性の餓死を報道がありました。家賃滞納で家主が警察とともに部屋に上がったところ、変わり果てた姿で横たわっていたところを発見されたそうです。冷蔵庫は空っぽで、部屋の片隅には吐血がたまったバケツ、そして封筒に入った「助けて」と書かれたメモが残されていたとありました。所持金はわずか9円だったとのことです(「39歳の餓死」[藤藪貴治・週刊「金曜日]9/11-766号所収)参照)。


 映画「男はつらいよ」ではないけれど、男性はやせ我慢しやすいです。福祉事務所に「相談」に行くことは、生き恥をさらす覚悟のいる選択です。その痛切な気持ちを受け止める感受性を持ち合わせていてこそ、はじめて福祉のプロと言えるのだと思います。

 裁判例では――

 その人なりに努力して就労活動したのに、不況や資格条件等により結果的に就労できなかった場合は、稼働能力活用の要件を欠くことにならないとのことです。

 借金していても、生活保護受給権がなくなるわけではありません。

 また、保護を受けるのは恥ではないです。ガスや電気のライフラインの未納状況や所持金の確認を、是非、行政の担当者にしてもらいましょう。そして保護の受給申請書を必ず受け取って帰ってください。後は、申請あるのみです。申請がなければ、保護のされようがありません。そこで、故意に担当者が申請書を受理する振りだけして済ましてしまう(!)という怪しからん場合もあるようですので、注意して手渡しする必要があります。

 死亡が発見されたのは、4月13日でした。報道は、死亡の確認後、2カ月近くも経過してからなされています。もちろん、後れ馳せながらでも、報道したのは新聞社の良心というべきものでしょう。それはそうなんですが、今日、酒井法子のつまらん記者会見の放送を見ながら、39歳の悲劇を考えずにおれませんでした。そして本当に真相解明が求められている事件は別にあるやろ! と怒鳴ってやりたい気分になりました。 
 

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2 コメント

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炊き出しなどの取り組み (忠太)
2009-09-19 20:55:30
飢え死には、無くしたいですね。心温まる情報提供、ありがとうございました。
中村区役所のこと、知りませんでした。緊急救助態勢が全国的に整うといいですね。
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名古屋に集まる生活保護者 (obichan)
2009-09-19 11:17:42
という話題を8月27日にTVでしてたんですが、御存知でしょうか?生活保護申請しても自治体から断られる人が増えているんです。しかも、「よそへ行ってもらいなさい」とまで言われた人もいるそうです。

それで、支援ボランティア、ネットが話題にした名古屋の中村区役所へ集まっているそうです。そこでは炊き出しが行われ、お金もちゃんともらえるらしいです。遠いところから歩いて来てる人もいました。

中村区役所では、生きる希望を与えるために、交流会も行われているらしいですが、あまりにも申請が多すぎてこれ以上申請を受け付けることができないぐらいまできているそうです。

国は全国どこでも生活保護を申請できるように、ちゃんと受けるように、各自治体に指示を徹底させる必要が早急にもあると思いますが、実態をつかむための取材などをもっとして、国や自治体を動かしてくれたらいいのにと思いました。
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