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のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

断り文句

2011年03月01日 07時15分11秒 | Weblog
(前記事の続き)


では、本題です。

どうすれば、アサーティブになれるでしょうか。

海原氏の知人の言に寄れば、

「イエス、ノー、イエス」の

3ステップを踏めばよいとされます。

たとえば、

前から予定していた週末の旅行の日。

突然、

上司が仕事を頼んできた場合、

アサーティブでありながら

喧嘩にならない断り方とは――

「まず、第一ステップ。

心の中で週末は仕事できないことを確認し、

ノーという態勢を作る」

(自己肯定のイエス)

「第二ステップ。

今週は、『私は』前から予定があり

ダメなんです、とノーを言う

このときの主語が大事。

『あなた』を主語にして

『あなたはいつも急に仕事を言いつける』

などと叫べば、感情的になり、相手は非難された気分になる」

(他者の求めに対するノー)

そして第三ステップ。

今週はダメですが、

前もって言ってくれれば週末でも大丈夫なこともあります、

とネゴシエーションのイエスを付け加える」

(補足的なイエス)

ということになるようです。

なお、上三つの( )内のイエス、ノーに付した説明は、

僕がしたものです。

ネゴシエーションとは、交渉の意です。

さて、私たち、日本人の多くが陥りがちなのは、

この交渉の余地を匂わす第三ステップの省略です。

なぜ、省略するかと言えば、

一々付け加えるのが面倒だからでしょう。

現に、僕は、今まで、

何か断るとき、

ネゴシエーションのイエスなど、

自慢ではないですが、頭の片隅にも思い浮かんだことがないです。

しかしだからと言って、

「他人に冷淡やな」

と言える日本人がどれほどいるでしょうか。

みんな、ついつい省略してしまう相手への助け舟ではないですか。

しかし、この助け舟を出すことで

Noが言いやすくなるんなら、言うに越したことないでしょう。

その方が自分に素直なんですから。

ところで、面倒という気持ちを克服するには、

次のような心理的事実が参考になるかも、です。

それは、同じ言葉でも、

言う主体が異なれば意味が変わる、ということです。

たとえば、自身で

「俺は馬鹿だ」と言うのと、

他人に「お前は馬鹿だ」と言われたときとでは

受け取る印象が異なるでしょ?

「馬鹿」と言う用語が

ある個人の特定の状態を示すのだとしたら

自分が言おうが他人が言おうが、

同じはずなんです。

しかし、実際のところは、天地ほどの差があります。

けだし、後者は侮蔑的な非難であっても、

前者はそうではないからです。

どうしてこんな差が生じるかと言うと、

自己に対しては

評価の可変性を容認するのに対し、

他人のそれは未来永劫、

変わらないものとして受け取られるからです。

「私は、私が大嫌いです」

と言うのは、

「私は、私が大好きです」と言っているのと

ほとんど意味的に異ならない、

それほど自己評価ってやつは正反対なものに

悪びれるわけでもなく、突如として、簡単に転化します。

しかし、「嫌いだ」という、同じ言葉を他者が発したときは、

何か特別な、事件に類するようなものでも生じない限り、

終生、その思いに変化がないのが普通でしょ。

「三つ子の魂、百まで」とはよく言ったものです。

嫌い嫌いも好きの内、なんて考えてたら

えらい目にあうぞ、

ということを多くの男性は体験的に知ることになります。

ことわざ、必ずしも真実を語っていません。

アタッテ砕けて後、警察に通報されたら、

泣きっ面に蜂です。

「嫌い嫌いはやっぱり嫌い」

となるのを認めるのは、辛いでしょう。

しかし、何事も諦めが肝心、これ、本当です。

え~、でも、なんだか特殊な体験に引きずられて、

論点が少し逸れてますかね、

話を前に戻し、まとめます。

言葉は、「馬鹿」のような罵言に明らかなように、自己が発する場合と

他者が発する場合とでは全く作用が異なります。

よろしいですか。

この作用の不一致を、

ロシア語で「ラズノグラーシエ」(直訳すると「違う声」)と言います。

かの文豪ドストエフスキーが

終生のモチーフとしたキーワードのようです

(山城むつみ著「ドストエフスキー」〔講談社刊〕参照)。

それを頭に入れて考えると、

ノーと言っても、条件次第ではイエスになる可能性があるなら、

その旨を告げておくのがベターなのが分かります。

そんなわけで、

信頼関係を損なわないためには、

第三ステップのイエス、たとえ相手に尻尾を振っているようであっても、

極力、省略しないようにするのが賢明なのです。

お心にお留め置きください。

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