のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

ストレス(負荷)耐性テスト――このテストに重きを置きますか?

2012年03月29日 20時40分43秒 | Weblog
News for the Peoele in Japan にいくつか新聞の社説が

資料としてリンク付けされています。

まだ保管されているもの内、

毎日新聞 2012年3月25日付社説「原発再稼働 前のめりは不信を招く」 の記事

(下記に転載。(資料2)参照)が目立ちます。

なぜ、目立つかって?

そりゃあ原発再稼働に触れているからですな。

さて、現在、さし当たって

再稼働の登竜門と目されているのが、

ストレス・テストと呼ばれているものでしょう。

正確には、

ストレス(負荷)耐性テストとでも言うべきテストです。

テストに関する

社説の大体の主張は、

次の通りです。

――関西電力

大飯原発3、4号機の再稼働に向けた政府の動きが

進んでいる。

内閣府の原子力安全委員会は、

23日、

経済産業省の原子力安全・保安院が

「妥当」としたストレステスト(安全評価)の1次評価について、

確認作業を終了した。

今後、内閣の

前のめりの姿勢が問題となる。

ストレス耐性テストは、

もともと原発の弱点をあぶり出すという触れ込みだ。

しかし、稼働を前提として、

全原発でなく、個々の原発を独立に評価する

今の政府のやり方では、

“安全を見せかける宣伝”に終わる可能性が大きい。
 
また、福島第1原発の事故を踏まえれば、

少なくとも

30キロ圏内の自治体の了解を得る必要がある。

政府の地元を狭く区切ろうとする姿勢は、改めるべきだ
――と。

さて、論点としては、二つでしょう。

一つは、再稼働してもいいと判断する客観的な基準がないのかどうか。

二つは、地元の範囲です。

社説は一つ目の論点につき、

再稼働の判断基準を積極的に明確にすることを避け、

消極的に再稼働しなかった場合のリスクを

明らかにすべしと言ってます。

思うに、積極的に

再稼働してよい判断基準を示していいのじゃないか

と考えます。

その基準とは、安全性です。

ただ、安全性を認める目安として、

“地面の揺れ”はもちろん、

津波に対する防御策だけでなく、

操作間違い、必ず起きるはずの機器の劣化や

飛行機や車両の追突事故などの

過酷事故への発展を考察すべきです。

現在のストレステストには

当然、予想してよい

テロにさえ備えがありません。

こうした、

現代社会では普通に想定し得る素朴な脅威が

一顧だにされていません。

そこが問題です。

なお、後者の論点については、

原発事故があった場合、

影響を受ける地域全体と考えるべきでしょう。



※ 参考までに、独断と偏見に基づき、

下に原発再稼働の問題に触れた

九つの記事を、

転載しておきます。


資料1として、

「原発テスト「結論ありき」と疑う 」(1/20)

という毎日新聞社の社説。


資料2として、

「原発再稼働 前のめりは不信を招く」(3/25)

という上掲、本文で取り上げた同じく毎日新聞の社説。


資料3として、

「the Wall Street Journal」(2011年 9月 16日)の

「日本の原発再稼働に潜むリスク」という

原子力安全委員会の

耐震安全性評価特別委員会で

委員長を務める

入倉孝次郎氏へのインタビュー記事。


資料4は、

「原子力発電は廃止しなければならない、その理由」

というタイトルの下、

小林順一氏が

和訳して下さっている

「Why we must phase out nuclear power」

という2012年2月17日発信の

イギリス「the guardian」の記事です。

この記事は、

訳者の都合で前編と後編に分かれています。


資料5としては、

新潟日報の3月15日付記事

「原発再稼働 政治判断では不信拭えぬ」です。


資料6は、佐賀新聞

「原発再稼働 新たな安全基準必要」(3/27)。


資料7は、信濃毎日新聞

「大飯原発 政治判断の段階ではない」(3/15 )です。 


資料8として

琉球新報の記事。

タイトルは、

「大飯原発再稼働 無責任すぎる拙速判断」(3/26)です。


資料9は、徳島新聞社の記事、

「伊方3号機「妥当」 再稼働への判断は慎重に」(3/22)です。


資料10は、 愛媛新聞社の記事、

「大飯原発安全評価 再稼働にはまだ程遠い状況だ」(3/25 )です。






――◦――◦――<転載>――◦――◦――
           
(資料1)

原発テスト「結論ありき」と疑う 1/20 【毎日新聞・社説】 

 東京電力福島第1原発の重大事故の教訓を今後にどういかそうとしているのか。このところの政府のやり方には疑問が多い。

 経済産業省の原子力安全・保安院は関西電力が提出した大飯原発3、4号機の安全評価(ストレステスト)を「妥当」と評価した。再稼働の前提として定期検査中の原発を対象に行われる第1次評価である。

 この先、原子力安全委員会の確認や国際原子力機関(IAEA)の評価を受ける。さらに、首相と関係3閣僚が再稼働の是非を政治判断するが、まず技術的な安全性を閣僚が判断することの是非に議論がある。加えて、今回の評価結果を見る限り、技術的な安全評価も「結論ありき」に思える。

 保安院が妥当とした関電の評価によると、設計上の想定より1.8倍大きい地震の揺れや4倍大きい11.4メートルの津波に襲われても炉心損傷には至らない。全交流電源が喪失し熱の逃がし場がなくなった場合でも炉心は16日間、使用済み核燃料は10日間、損傷までに余裕があるという。

 しかし、評価の前提となっている設計上の想定は東日本大震災以前のものだ。震災で最大の揺れや津波の想定そのものが揺らいでいる。耐震指針や安全設計審査指針の見直しも行われている。もとの想定が信頼できるという保証はどこにもない。

 想定が甘ければ甘いほど大きな余裕があるように見える矛盾も内包している。それを思えば、1.8倍や4倍という数値に意味はない。そもそも、事故そのものの検証もまだ終わっていない。少なくとも事故の原因を踏まえ、国民が納得するリスク評価の指針を示すべきではないか。

 原発のリスク評価という点では寿命の法規制についても疑問がある。「運転40年を超えたら原則として廃炉」との方針を細野豪志原発事故担当相が発表したのが今月6日。それから2週間もたたないうちに、政府は「例外として60年運転が可能」とする方針を公表した。

 いったい、どちらに重きを置いているのか。本気でリスクの高い原発を減らしていくつもりがあるのか。原発政策への不信感を招くやり方だ。

 国民の信頼を得るという点では、大飯原発のストレステストの意見聴取会で市民を会場から閉め出した保安院のやり方にも問題があった。基本的には議論の場そのものを公開し、議事に大きな障害が出るような言動があった場合に個別に対応すればすむ話だ。市民団体が疑問視する委員の利益相反についても、きちんと説明するのが先決だ。

 原発の再稼働を最終的に判断するのは地元自治体だ。市民の信頼がなければ再稼働もありえない。


毎日新聞 2012年1月20日 2時31分





(資料2)

原発再稼働 前のめりは不信を招く 3/25 【毎日新聞・社説】 

 関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に向けた政府の動きが進んでいる。内閣府の原子力安全委員会は23日、経済産業省の原子力安全・保安院が「妥当」としたストレステスト(安全評価)の1次評価について、確認作業を終了した。

 今後、野田佳彦首相と関係閣僚が再稼働の是非を政治判断した上で、地元の了解を求める見通しだが、前のめりの姿勢には問題がある。

 これまでも指摘してきたように、現段階での安全確認には無理がある。ストレステストはもともと原発の弱点をあぶり出すものだが、個々の原発を独立に評価する日本のやり方では、それぞれの原発の相対的なリスクがわからない。

 ひとつひとつの原発について、何を基準に再稼働してもいいと判断するのか、客観的な基準も今の段階ではない。たとえば、大飯原発3、4号機の評価によると、設計上の想定より1.8倍大きい地震の揺れに襲われても炉心損傷には至らないという。では、1.2倍の揺れでもだいじょうぶという評価だったら、どう判断するのか。

 加えて、福島第1原発の事故の検証が終わっていない。それがわからなければ、リスクを見落とす恐れがある。

 政府が了解を求める地元の範囲がはっきりしていないのも懸念材料だ。福島第1原発の事故で明らかになったのは、想像以上に広い範囲に放射能汚染が及ぶことだ。政府は、原発の重大事故に備える防災対策の重点地域を従来より広げ、原発から半径30キロとする方針だ。大飯原発の場合、その範囲には福井県の5市町のほか、京都府や滋賀県の一部も含まれる。

 これらの地域も含め十分に説明するのは当然だ。「地元」を立地自治体である福井県とおおい町に限るのはおかしい。福島第1原発の事故を踏まえれば少なくとも30キロ圏内の自治体の了解を得る必要がある。政府の消極的な姿勢は改めるべきだ。

 この段階で再稼働に踏み切ることについては与党内に異論があることも見すごせない。民主党の原発事故収束対策プロジェクトチームは「政治判断は時期尚早だ」との見解を示している。

 今回の評価が、信頼を失った保安院や原子力安全委によってなされていることも、国民の理解を得るのにふさわしい体制とはいえない。本来、新組織の原子力規制庁が再稼働の判断基準を示すべきだ。

 さらに基本的な課題は、「今、原発を再稼働しないと社会にどういうリスクがあるのか」を、政府が示すことだ。それをしないままに、再稼働を急ごうとすれば国民の信頼を失い続けることになる。

毎日新聞 2012年3月25日 2時31分






(資料3)

日本の原発再稼働に潜むリスク 11/9/16 【The Wall Street Journal】

取材の相手:京都大学名誉教授で、原子力安全委員会の耐震安全性評価特別委員会で委員長を務める入倉孝次郎氏

【東京】京都大学名誉教授で、原子力安全委員会の耐震安全性評価特別委員会で委員長を務める入倉孝次郎氏は、日本の原子力発電所に関するガイドラインについて、地震や津波の最悪のケースを想定しておらず、改定の必要があるとの考えを示した。運転休止中の原子炉の再開を目指す政府の動きがさらに遅れる可能性が高まることになる。

 入倉氏はインタビューで、「新規も含めて(原子力)発電所は、最低でもマグニチュード9の地震と15メートルの津波に対して対策を実施する必要性がある」と指摘した。原子炉のいわゆるストレステストに使われる基準の改定には、数カ月ではなく数年かかりそうだという。

 日本政府は地方自治体に対して、東日本大震災のあとに休止した原子炉の運転を再開するよう促してきた。福島第1原発に対する懸念は、ストレステストにより和らげようとしてきた。

 運転再開ができなければ、日本は原子力発電による電力をすべて失う可能性があるだけに、この問題についてのコンセンサスを得ることは非常に重要である。日本の商業用原子炉は、13カ月ごとに点検を受けなければならない。3月11日の大震災のあと定期点検のために休止した原子炉は、1基も運転再開を認められていない。その結果、全部で54基ある原子炉のうち、11基しか稼働していない状況となっている。これら11基も、来年5月までには定期点検のため休止される。

 規制当局は、すべての原子炉が来年はじめまでにストレステストを受けるよう命じている。ストレステストとは、原発が地震や津波、電力の欠如といった異常な状況に耐える能力を測るものだ。共同通信によると、これまでに休止している13基でテストが始められたという。

 だが、ストレステストの基盤となっている基準は、東日本大震災のような巨大な地震や津波を想定したものではない。2006年にその大半が作成されたガイドラインは、政府内外の専門家から疑問視されている。入倉氏の委員会は来年3月までに報告書を出す予定だが、そこでは既存のガイドラインのなかで修正すべき箇所が示される。

 こうした状況により、政府が原子炉運転再開に向けて動いているにもかかわらず、地方自治体はためらいを見せている。

 福井県の西川一誠知事は15日、東京で枝野幸男経済産業相と会談したあと、現在のストレステストでは不十分と述べ、地方自治体は原子炉の再開の前提として、福島第1原発規模の災害を想定した厳しい基準を求める可能性があることを示唆した。福島県には日本の都道府県中最も多い、13基の原発がある。

 岩倉氏が委員長を務める委員会は、福島からの教訓について研究している。同氏は、新たなガイドラインをつくるプロセスは長期的なものになるだろうと言う。2006年の改訂にも5年がかかり、その後も津波に対処する基準を修正するため、2010年12月まで4年の歳月を要したという。入倉氏は2006年の基準を作成する委員会にも所属していた。取材の中で入倉氏は、そのプロセスに欠けていたと思われるものについて振り返った。

 入倉氏は、最悪のケースについては焦点を当てなかったと言い、津波のような異常値について評価はしたが、それらに注意すべきだとしただけで、必ずしもそれが起こることを考えるようにとはアドバイスしなかったと話す。

 大震災前に決めた基準が非常に楽観的なものとなった理由の1つとして、入倉氏は国内外の原子力業界からの圧力を挙げる。原発運営企業は、原子力安全委員会が過剰なルールを押しつけようとし、最新の工学技術に追いついていないとして批判した。

 入倉氏によると、原発の技術者からは基準を緩めるよう大きな圧力を受けたという。彼らは2006年の基準が厳しすぎ、商業用原子炉では経済的に見合わないと考えた。科学的なデータでは解明できない部分について原発エンジニアたちは、科学が解決できない疑問でも、先進的なエンジニアリングなら解決できる可能性があると話したという。

 業界が2006年に基準を緩めるよう圧力をかけたのに対し、一部では基準が甘すぎるとの批判もあった。たとえば、基準の緩和を求める声に押されて、原発は岩盤の上に建設しなければならないとの要件が、「十分な支持性能がある地盤」での建設に変更され、そうした点が批判された。委員会のメンバーだった神戸大学名誉教授の石橋克彦氏は、ガイドラインが認可される前に、最後の会合で辞任した。同氏は規制が弱められたと考え、それに対する抗議を示したのだ。

 石橋氏はこの記事へのコメントは控えたが、福島第1原発の事故のあと、日本の原発はどれも安全とは考えられないと発言している。だが、入倉氏はこの結論を受け入れず、石橋氏の懸念は2006年のガイドラインにも生かされていると言う。

 入倉氏の委員会は、巨大地震や津波への防御の観点から、福島第1で何が問題だったのかに関して新たな見解を投げかける。東京電力の資料を用いて、同委員会は電源喪失を引き起こすきっかけとなった多数の弱点を発見した。電源喪失が原子炉3基のメルトダウン(炉心溶融)につながり、福島第1原発の大規模な損傷が起こった。

 取材の中で入倉氏は、これまであまり注目されていなかった問題点を指摘した。原子炉を冷やすのに必要な発電機が津波で使えなくなったことは広く知られているが、入倉氏は、地震により地盤が動いたことで外部の送電線が機能しなくなり、外部電源が断たれたという。

 発電所に向かって、あるいは発電所から伸びている送電線は、重要な機器としては分類されていなかった。したがって、送電塔は発電所の他の設備ほどしっかりとした場所には建てられていなかった。その結果、重要な送電塔の1つが、津波に襲われなかったにもかかわらず倒れてしまった。

 入倉氏は、その送電塔が倒れなければ、メルトダウンが起こる前に電力が回復できていたかもしれないと言う。同氏は、分類基準を一度破棄し、重要な原子力機器の定義を広げる必要があると話す。

 また、仮に福島第1原発の海水タンクが海岸近くの外部に露出した場所になかったとしたら、事故は防げたか、少なくとも小さくなった可能性があると、入倉氏は言う。10キロ先の福島第2原発では、海水タンクが頑丈な建物の内部にあり、津波の影響を受けなかったという。

記者: Chester Dawson

The Wall Street Journal 2011年 9月 16日





(資料4)

原子力発電は廃止しなければならない、その理由 2/17 【the guardian】 
 
<前編>

「福島ではこれから生まれてくる世代まで、放射能汚染の脅威に苦しまなければならない」
「福島第一原発が放出したセシウム137は、 広島原爆の168倍の量」
「放射線被爆が原因の死者は数万人に上る恐れがある」
「数多く対策を実施するドイツは2030年には電力需要の100%を再生可能エネルギーが賄う」

キャロライン・ルーカス/レベッカ・ハームズ/ダニー・コーン・ベンディット / ザ・ガーディアン 2012年2月17日

昨年3月11日、日本を巨大地震と津波が襲い数万人が犠牲者となり、そして福 島の原子力大災害が発生しました。
世界の関心は他の問題に移りつつありますが、福島の事故そのものは解決には程遠い状況にあります。
そしてこれは原子力災害の宿命ですが、福島の事故はいつまでも続く放射性物質の影響をその地にきざみつけました。

1 年を過ぎでも、状況はまだ安定などしていません。
政府が行った『冷温停止状態』宣言は、この事故の影響を受けた国民の怒りを買い、原子力専門家からの不信を集めました。
2月中旬に始まった原子炉2号機の温度上昇が示すように、福島第一原発の状態は不安定であり、再び大地震が起きれば大事故を繰り返す恐れが残っています。
この状況を克服し、真に安定した状態を取り戻すには、数千人の作業員を毎日動員しても数十年を要すると見られています。


そして原子炉周辺から20km圏内の避難区域に目を転じれば、これらの地域、そして隣接する地域においては、これから生まれてくる世代まで放射能汚染の脅威に苦しむこと になってしまいました。

具体例を挙げましょう:福島第一原発がこれまでに放出した放射性セシウム137(約30年の半減期を持っている)の量は、広島に投下された原爆が放出した量の168倍なのです。
このことにより、この地区で放射線被ばくに関連して死亡する人は数万人に達する恐れがあります。


福島も25年前のチェルノブイリと同じように、原子力事故の発生割合は高くは無いかもしれないものの、いったん事故が起きれば途方もない被害が発生する危険性があることを、私たちに教えました。


原子力発電の利用を継続することは原子力技術の拡大につながりますが、結果的には取り返しのつかない結果をもたらすことにもなります。
このような悲惨な結果を生まないようにするには、世界で一斉に原子力発電を段階的に廃止する以外、途は無いのです。

一部の国々はこの事実に気がついているようです。
ドイツでは福島第一原発の事故を受けて、政府がいち早く方針変更を行い、すでに合意済みであった原子力発電の段階的廃止を実行に移すことになりました。
数多くの対策を実施することにより、2030年にはドイツは電力需要の100%を再生可能エネルギーによって賄う見通しが立ちました。
そしてイタリアでは、国民の大多数を占める90%が原子力発電反対の国民投票を行いました。

しかし日本では同じようなことはまだ起きていません。
54基ある原子炉のうち、現在は3基だけが稼働し発電を続けていますが、原子力安全保安院をはじめとする政府機関が『ストレステスト』の陣頭指揮を行っています。
そして政府は大部分の原子炉の再稼働を目論み、さらには40年とされる原子炉の寿命を60年にまで延長させようとしています。


しかしこれには日本国民は強く反対しています。
各種の世論調査は、今や日本国民の多数が一貫して原子力発電に反対していることを示しています。
原子力発電に反対する各地方の草の根運動は、日本中で盛り上がりを見せています。
信念を持って原子力発電に反対している県知事や市町村長は多くはありませんが、それでも選挙で票を失う事を恐れ、とりあえず市民の意見に追随する動きを見せています。




<後編>

「ストレステストは原子力業界がこれまで通り事業を継続することを、一般国民に受け入れさせるためのPR事業の一環」
「利益を上げ続けている原子力発電所に、巧妙に粉飾された公的補助金が交付され、コストを不当に安く見せている」
「福島第一原発の事故から1年、最終的な原子力発電の廃止について、次の事故の発生まで待つべきではない」


キャロライン・ルーカス/レベッカ・ハームズ/ダニー・コーン・ベンディット / ザ・ガーディアン 2012年2月17日

ヨーロッパの市民の反応は、EU全域のストレステストの結果を待っている状態です。
しかしながらこれらのストレステストは一面では、原子力業界がこれまで通り事業を継続することを一般国民に受け入れさせるための、PR事業の性格を持っています。
ストレステストの中身には火災、人為的ミス、必ず起きるはずのインフラの劣化や飛行機の墜落事故などの重要な要因が含まれず、原子力発電所の完全なリスク評価と呼べるものではありません。


英国内ではデイヴッィド・キャメロン首相とフランスのサルコジ大統領の緊密な関係を象徴するかの如く、政府が一連の原子力発電所建設計画の推進を決定しました。
両国政府の官僚と原子力産業界の連携により、福島第一原発の事故後も原子力発電賛成の世論作りのためのキャンペーンが展開されました。そして、原子力発電所がいったん事故を起こせば途方もない悲劇をもたらすという事実も、「新たな原子力発電技術」に取りつかれた閣僚たちの考えを改めさせることはありませんでした。

官僚たちは、福島と同様の事故が英国で起きるかどうかの政府自身の検証の結果報告まで、待つことすらしませんでした。
現在英国で提案されている電力市場の再編は、原子力発電に対する依存を高めようとするものです。
この提案を後押ししているのは、石油価格高騰により年間5,000万ポンド(約65億円)前後既存の原子力発電コストの方が割安である、というたなぼた式に現れた状況です。


しかし原子力発電がそれほど割安である、という事実には裏があります。
閣僚たちはそのことを強く否定していますが、すでに十分な利益を上げ続けている原子力業界に対し、いまだに公的な補助金が名前を変えて流れ込んでいるのです。
まるで政権公約をあざ笑うがごとく…
エネルギーの監視をおこなっている機関は、原子力災害に関する信頼性の問題を隠ぺいした上で、公的補助金を引き出すような行為はEUの法律に違反していると指摘を行い、彼らは実際にEU委員会に対する提訴を行っています。

福島の事故は我々に、原子力発電が高い危険性を持つ技術であることを教えてくれました。
その上、経済的な落とし穴があることも明らかになっています。

ご存知の通り、ヨーロッパでは現在新たに2基の原子炉が建設中ですが、当初計上されていた建設予算が法外に安く見積もられていました。
フィンランドとフランスで建設中のEPR原子炉は、すでに予算が倍にまで膨らんだ上、完成日時も大幅にずれ込んでいます。

原子力発電所の隠されたコスト – 廃棄物処理、保険、廃棄費用なども金額的に巨大であり、これらの費用はすべて最終的には国民が負担しなければなりません。
原子力発電がこれほど金がかかるものならば、その予算を再生可能エネルギーの技術開発に回す方がはるかに理にかなっているのではないでしょうか?

福島第一原発の事故から1年、私たちは最終的に原子力発電をあきらめるため、さらなる事故の発生まで待つべきではありません。
〈完〉

※ レベッカ・ハームズとダニー・コーン・ベンディットは、ともに欧州議会の緑の党/ EFAグループの会長を務めています

the guardian 2012年2月17日 




(資料5)

「原発再稼働 政治判断では不信拭えぬ」3/15  【新潟日報】


 政府が、定期検査で停止中の原発の再稼働問題で「最終的には首相と関係閣僚が政治判断する」と表明したのは8日のことだ。
 早くもその出番が回ってくる。原子力安全委員会が、福井県おおい町に立地する関西電力大飯原発3、4号機の安全評価(ストレステスト)の1次評価の検討を終え、近く見解をまとめるからである。
 大飯3、4号機が政治判断の第1号となる。しかし、この「政治判断」は疑問、問題点だらけだ。
 政府がこの方針を打ち出した背景には、電力不足を懸念する経済界からの強い圧力と、独自に判断できずに政権の「お墨付き」を得たい地元自治体の要請があったといえる。
 一部を除いて地元首長らの考えは揺れ動いている。安全への不安、不信が拭えない一方で、原発に依存する雇用や交付金の問題があるためだ。
 故に「首相と関係閣僚が責任を負います。だから再稼働へ理解を」との政府方針になったのであろう。
 再稼働の是非を判断するといいながら、この間の経緯は「再稼働ありき」としか思えない。
 首相は万が一の場合、どういう形で責任を取るというのだろうか。
 そもそも、原発事故で信頼が地に落ちた経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会に、さらには政権に「お墨付き」を出す資格があるのかという疑問がある。
 原子力規制庁発足前の「駆け込み評価」と、やゆされるゆえんだ。
 再稼働の大前提は安全と、地元の理解であるはずだ。その安全にしてからが、原発事故の検証さえ終わっていないのである。
 安全委の班目春樹委員長は「安全評価は1次だけでは不十分。2次とセットであるべきだ」と主張していた。1次評価の検討会終了後の会見では「安全宣言を出すつもりはない」と明言しているのだ。
 加えて、大飯原発近くで複数の活断層が同時に動き、想定以上の地震が起きる可能性も指摘されている。
 地元理解に関しても、「地元」とは何なのかが判然としない。知事なのか、立地自治体の首長なのか、議会なのか。周辺自治体はどうするのか。その「周辺」の範囲はどこまでなのか。
 福島第1原発の事故では放射性物質は県境をいくつも越え、静岡県の茶畑にまで拡散した。
 枝野幸男経産相は自ら発した「エネルギーの安定供給より安全が優先」の言葉を忘れてはならない。
 政権がなすべき政治判断は「脱原発依存」を今一度しっかりと表明し、いつからどの順番で依存度を減らすかという工程表を示すことである。

新潟日報2012年3月15日



(資料6)

「原発再稼働 新たな安全基準必要」3/27 【佐賀新聞】

 関西電力の大飯原発3、4号機は安全評価(ストレステスト)の1次評価で原子力安全委員会は「問題ない」と判断したものの、班目(まだらめ)春樹委員長は「1次評価だけでは不十分」とし、2次評価を求めた。再稼働は野田佳彦首相らによる政治判断と地元同意に委ねられた。政府は電力の需給不足の懸念から再稼働に前のめりになっていないか。冷静に判断し、地元に新たな安全基準を示す必要がある。
 夏場の電力不足は目前に迫っている。東京電力の柏崎刈羽原発6号機(新潟県)が定期検査のために停止。全国54基のうち、運転を続けているのは北海道電力の泊3号機1基だけとなった。5月上旬には泊3号機も停止し、稼働原発はゼロとなる。
 政府が公表した今夏の電力需給予測によると、全原発が停止した状態で一昨年並みの猛暑だった場合、全国でピーク時に約1割の電力が不足する恐れがある。では猛暑でなければどうか。家庭や企業がどれくらい節電すれば電力不足を乗り切れるのか。火力、水力の増設はできないのか。さまざまなシミュレーションを国民に示してほしい。
 電力不足を理由に、安全確認を軽視してはならない。ストレステストは、定期検査で停止中の原発の再稼働条件となる1次評価と、全原発が対象の2次評価がある。2次の方が機器や配管が破損した場合も想定し現実的だ。耐性や炉心損傷後の対応も評価する。班目委員長が言うように2次評価の実施が望ましい。
 政治判断に国民の不信感が強いのは、福島第1原発事故で政府の対応がなっていなかったからだ。メルトダウン(炉心熔融)の可能性を認識しながら発表が遅れた。放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI(スピーディ)」のデータ公表も遅かった。原子力災害対策本部は議事録を残していなかった。
 事故の検証も終わっておらず、事故対応への反省もなされないまま、政府が再稼働を判断しても国民の納得を得られないのではないか。原発事業者寄りではない独立した安全規制機関として、原子力規制庁が4月1日に発足する予定だった。しかし、設置法案の詳細でもめ続け、1日発足は困難とみられる。
 政府が再稼働の了解を求める「地元」の範囲もはっきりしない。これまでは大飯原発は立地自治体の福井県とおおい町の了解があればよかった。ところが福島の事故で、汚染の影響は大きく広がることが分かった。防災対策の区域は10キロ圏から30キロ圏に拡大される。京都府や滋賀県の一部にも及ぶ。
 藤村修官房長官は「防災と再稼働は連動しない」と「地元」はこれまで通りとの認識を示すが、近県の周辺住民は納得できないだろう。了解を求める「地元」に含めないにしても、政府は住民に安全性をしっかり説明する努力を怠ってはならない。
 福井県とおおい町は、政府に対し福島の事故を踏まえた新たな安全基準の提示を要求している。これは全国の原発立地自治体も求めているものだ。政府は地元に了解を求めるなら、まず新たな安全基準を示さなければならない。
 さらに長期的なエネルギー政策の未来図を作成する必要がある。再生可能エネルギーの導入や電力の安定供給、発送電分離の道筋を詳細に示してもらいたい。(園田 寛)

2012年03月27日更新


(資料7)

「大飯原発 政治判断の段階ではない」3/15 【信濃毎日新聞】

 福井県の関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題が、大詰めを迎えている。

 関西電力が行った安全評価の1次評価結果について、原子力安全委員会が検討会を終え、近く見解をまとめる。

 これを受け、野田佳彦首相や枝野幸男経済産業相らが協議、地元に説明して理解が得られれば政治判断する段取りだ。

 いよいよ最終段階へと足を踏み入れるが、前のめりと言わざるを得ない。原発の安全性について、腰を据えて検証する姿勢を野田内閣に求める。

 首相は東日本大震災から1年の記者会見で、立地自治体や地元への協力要請に関して「政府を挙げて説明し理解を得る。私が先頭に立たなければならない」と強調した。大飯原発の再稼働に向けた決意と受け取れる。

 現在稼働中の原発は、54基中2基のみである。このままでは日本経済の足を引っ張りかねないとの懸念は理解できるが、だからといって再稼働にかじを切ることにはあまりに疑問が多い。

 第一に、1次評価を検証した経産省原子力安全・保安院と原子力安全委員会は、国民の信頼を失ったままである。

 新たな原子力規制庁は、4月1日からの発足が疑問視されている。抜本改革がなされないままことを進めても、国民の納得を得るのは難しい。

 第二に、1次評価だけでいいか、といった疑問がある。

 安全評価は地震や津波、電源喪失などの事態に対して、どの程度余裕があるかをコンピューターで解析するものだ。再稼働の条件となる1次評価と、全原発を対象とする2次評価がある。

 安全委の班目春樹委員長は「2次評価は検討の深さが違う」「安全評価は1次と2次がセット」などと述べ、1次評価だけでは不十分との見解を示している。

 3月末で退任の意向を表明している班目氏が、専門家として最後にブレーキをかけたとも受け取れる。政府は軽視すべきではない。

 第三に、大飯原発周辺の活断層の評価である。保安院が現在、詳しい検討を進めており、3月末に判断するという。想定される揺れや被害にかかわるだけに、丁寧な検証が要る。この点がはっきりしないまま、安全性の判断はできないだろう。

 大飯原発の再稼働をめぐっては、周辺自治体の住民の反対も強い。野田首相は広く世論に耳を傾けてもらいたい。

2012年3月15日 信濃毎日新聞




(資料8)

「大飯原発再稼働 無責任すぎる拙速判断」3/26 【琉球新報】


 これで納得できる国民はいるだろうか。原子力安全委員会は大飯原発3、4号機について、関西電力が実施した安全評価(ストレステスト)を妥当とする原子力安全・保安院の審査を了承した。
 これを受け政府は週明けにも再稼働へ向け関係閣僚が協議し、安全性を確認するという。拙速の極みだ。政府は名実ともに安全を重視すべきだ。
 それにしても原子力安全委員会の姿勢は分かりにくいことこの上ない。1次評価は再稼働にお墨付きを与えた感があるが、班目春樹委員長は「総合的な評価としては不十分だ」と述べた。それなら1次評価に何の意味があろう。
 23日の臨時会議は事務局が資料を読み上げただけで、5分で終わった。保安院の審査後、外部の専門家を交えた検討会を5回開いたというが、国民の目の届かない密室で結論を出したも同然だ。
 傍聴者から「茶番だ」と怒号が飛んだというが、当然だろう。利権にあずかる原子力ムラの人々だけで稼働を決め続けた末、深刻な原発事故を引き起こしたという反省があるとは、とても思えない。
 福島第1原発事故後になされた安全対策は緊急時の応急措置だけだ。昨年末をめどとして政府が提出を求めている2次評価もまだ出ていない。既存の原発に、最新の知見に基づく安全対策を義務付ける関連法案は国会で審議入りすらしていない。無い無い尽くしだ。
 世論調査で8割が脱原発を支持する中、国民世論を押し切って再稼働するにしては、あまりに根拠薄弱だ。こんな状態で再稼働しようとするのは、原子力安全委員会も政府も無責任すぎる。
 東京電力の柏崎刈羽原発6号機が定期検査に入った。北海道電力の泊3号機も5月停止の予定で、原発稼働ゼロが目前だ。原発が不要と実証される前に再稼働しようと、政府も電力会社も焦っているように見える。
 関西電力は、再稼働しないと夏場に13・9%の電力不足になると述べている。他の電力各社も同様だ。だが専門家は、設備容量からすれば火力発電所を7割稼働させれば供給は間に合うと述べている。供給不足を喧伝(けんでん)する前になぜ原子力以外の発電をもっと稼働しないのか。説得力ある説明を国民は聞いていない。
 今からでも遅くない。政府は腹を据え、脱原発へ向けて大胆にかじを切るべきだ。

2012年3月26日 琉球新報





(資料9)

「伊方3号機「妥当」 再稼働への判断は慎重に」3/22 【徳島新聞社】

 経済産業省原子力安全・保安院は、定期検査で停止中の四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の安全評価(ストレステスト)の1次評価結果について、「妥当」と最終判断した。近く審査書をまとめ、内閣府原子力安全委員会に報告する。

 審査書の作成は関西電力大飯原発3、4号機に続き3基目となる。原発再稼働に向けた動きがまた一つ加速しそうだ。

 ただ、保安院と安全委を統合してできる原子力規制庁は国会審議が済んでおらず、4月1日の発足は遅れる見通しだ。それまでの間、安全委で審査書の確認を進めるかどうか。同委の班目(まだらめ)春樹委員長は「安全委は3月末で廃止されると考えている。そういう組織に(審査書を)持って来ることはあり得ない」と述べた。

 審査書については原子力規制庁が正式に発足後、耐震基準を含めて評価するのが筋である。規制が厳しくなる前に、保安院が駆け込みで再稼働を進めるようなやり方は国民の不信感を増すだけである。

 「妥当」の判断について保安院は、想定より1・5倍大きい地震の揺れや、10・7メートル高い14・2メートルの津波に襲われても炉心が損傷せずに耐えられることを確認。その上で「東京電力福島第1原発を襲ったような地震、津波が来襲しても、同原発事故のような状況には至らせない対策が講じられている」と評価した。

 しかし、1次評価は地震や津波、電源喪失といった非常事態に原発がどこまで耐えられるかを、コンピューターでシミュレーションして導き出しただけだ。班目委員長も「1次評価だけでは安全性の評価は不十分」と指摘している。

 福島の原発事故は収束とは言えない状況だ。事故原因についても、保安院や東電は津波主因説を唱えるが、地震が重要施設に損傷を与えたとする専門家もいる。

 民間有識者による福島原発事故独立検証委員会は報告書を公表したが、政府や国会の事故調査委員会の結果はまだまとまっていない。検証がきちんと終わっていないうちに、再稼働を進めるような動きには首をかしげざるを得ない。

 国内54基の全原発の停止が来月下旬に迫り、夏場の電力不足や、火力発電燃料費の増加に伴う電気料金引き上げで企業や国民生活への影響が懸念される。だからといって、拙速に再稼働を判断するようなことは慎むべきだ。

 野田佳彦首相は地元の理解を前提としながら「最後は政治が判断する」と話すが、2次評価などが残っている段階で、やや再稼働に前のめりになり過ぎていないか。

 徳島新聞社加盟の日本世論調査会の調査で、原発への依存度を段階的に下げ、将来は原発をなくす「脱原発」支持が80%に上った。原発再稼働は「認める」が16%、「認めない」が28%で、54%は「電力需給に応じて必要分だけ」だった。「再稼働は最小限に」というのが、調査に表れた意思だろう。

 政府は先に40年を超える原発は原則廃炉とする方針を示した。だが、新しいエネルギー計画の電源構成はまだ協議中だ。原発や再生可能エネルギーの比率を早く示し、国民的な議論を高める必要がある。

 2012年3月22日 徳島新聞社





(資料10)


「大飯原発安全評価 再稼働にはまだ程遠い状況だ」3/25 愛媛新聞社


 国の原子力安全委員会はきのう、定期検査で停止中の関西電力大飯原発3、4号機の再稼働の前提となる安全評価(ストレステスト)の1次評価について、「妥当」とした経済産業省原子力安全・保安院の審査書を了承した。これを受け、東京電力福島第1原発事故で停止している原発の再稼働に向け、政府が動きを活発化させるのはまちがいなかろう。
 しかし、班目春樹委員長は「安全委が求めた総合的安全評価としては、1次評価だけでは十分でない点が多々ある」と述べている。つまり、不十分な1次評価が再稼働の判断に使われるのである。
 また、政府が昨年末をめどとして提出を求めていた2次評価はまだ出ていない。そもそもストレステストを再稼働条件にすることに異論さえある。1次評価だけで安全性が確認されたというには程遠い状態であり、再稼働は時期尚早だ。
 福島の事故で不備が露呈した原発の耐震性や防災に関する指針の改定案はまとまったばかり。法制化の作業は安全委などを再編し、環境局外局として発足する原子力規制庁が進める予定になっている。
 しかし、規制庁設置のための関連法案は審議入りすらしていない状況である。原発事故の検証結果も生かさなければならない。新たな安全基準と体制が整うのを待って、じっくりと再稼働の是非を判断すべきである。
 安全委は保安院が審査書をまとめた2月以降、外部の専門家を交えた検討会を5回開催している。とはいえ、きのうの臨時会議は事務局が資料を読み上げただけで、わずか5分で終了した。
 再稼働に反対する傍聴者からは「茶番だ」などの怒号が飛んだという。深刻な原発事故を起こした後だけに、国民に見える形での審議が求められた。傍聴者らの反発は当然である。
 班目氏は「安全委が行うのは、現地調査も含めた保安院の確認をさらに(問題がないか)確認すること。限界がある」と述べている。
 それでは、いったい誰が、どの機関が原発の安全性をチェックしてきたのか。
 今回のストレステストで責任の所在が不明確なまま推進されてきた原子力行政の危うさを露呈した。そして、同様のことが繰り返されようとしている。
 大飯原発の今後の動向は、伊方原発の再稼働問題にも影響が出てくる。保安院は、伊方原発3号機の1次評価結果についても審査をほぼ終えているからだ。
 2次評価が提出されない中、政府は強引に突き進もうとしているが、安全性の確認をないがしろにするような姿勢は、決して許されない。


2012年03月25日(日) 愛媛新聞社

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