見ようとしないのではない 見えないのである
道は確実にそこに存在する だけど恐らく透明なのだろう
つま先で探って一歩づつ確かめて進むという手段もあるだろうが
その足も見えないし つま先の感覚もない
要するに 浮いているのだ
ふわふわと地に足がついていない状態とも言うべきか
空気のようにこのまま浮いているのは大変心地良いが
きっとそれでは駄目なのだろう
足の裏にきちんと地面の硬さを教えなければ
水溜りの泥水の気持ち悪さ 雪の冷たさ
芝生の気持ちよさ
色々な感覚を足の裏から身体中に伝えなければ
そうすれば きっと見えなかった道の色が見えてくるだろうに…