迷走する枕茶屋

藁の牙城


時々周りを見回してみる

誰もいないことに安堵する

期待されることに臆病な私は 距離と壁を作る

もう何かを期待される年でもないが 

昔からの癖みたいなもので 自信を持って誇れるものは何もないし

口から出る自信に満ちた言葉とガタガタ震える中身は一致しない

見かけは石壁だが ただ積み上げただけの牙城は

子供の手でも壊せるほど藁より脆い

精神(こころ)が弱いのは今も昔も変わらないのだ

それでも防壁を築く滑稽さは 我が塵の如き魂の足掻きたる証

世間の風に飛ばされて踏みつけられて丁度釣り合いが取れる

どんどん壊されて 丸裸にされることを心密かに願う

誰にも気づかれず 雑踏に行き交う幸せな足元に転がっていたい



只々 転がっていたい




自虐は私の趣味みたいなものだ。


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