悲喜こもごも

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ようやく解禁の「寝台バス」は普及するか? 東京〜高知で試験運行開始 長所と短所を考察

2025-02-15 14:14:21 | 気になる事






 完全に横になって寝られる「寝台バス」が今春に登場する予定だ。従来、走行中のフルフラットシートは安全上の観点から禁止されていたが、2024年11月に国土交通省が安全指針を公表し、基準を満たす場合に運行できるようになった。さっそく、貸切観光バス事業などを展開する「高知駅前観光」(高知市)が3月に試験運行を開始する。

 価格面で優位性のある夜行バスだが、座席では眠れないという理由から避ける消費者もいただろう。今後、フルフラットシートによってベッドのように眠れることで、寝台バスは交通手段の定番となるのだろうか。海外の事例を参考にしつつ、寝台バスの可能性を考えていく。

●2点式ベルトで固定するフルフラットシート

 国交省が安全指針でフルフラットシートに求める主な要件は下記の4つだ。

(1)座席は前向きであること

(2)転落防止プレート及び衝撃吸収材を脚部分に設置すること

(3)転落防止措置及び、保護部材を座席の頭部及び側面方向に設けること

(4)2点式座席ベルトを備えること

 (2)と(3)をまとめれば、寝ている乗客の周囲を衝撃吸収材や保護部材で囲う、ということ。2点式ベルトは胴体と垂直方向に巻く。資料によると、2点式より安全に思える3点式ベルトは、衝突時に頸部を圧迫する恐れがあり、2点式ベルトの方が安全だという。

 現在、フルフラットに近しいシートのバスとしては、関東バスが大阪・奈良〜東京間で運行する「ドリームスリーパー東京・大阪奈良号」がある。「完全個室」の全11席にて運航しており、座席はリクライニングシートを採用している。しかし、完全に横になれるわけではない。

●「2段ベッド」のような座席構成

 高知駅前観光による、フルフラットシートを設けた寝台バスは3月から運行予定。座席にはフランス語で熟睡を意味する「ソメイユ・プロフォン」という名称が付いている。3月中は週1回の試験運行を行い、第1回目は3月4日高知発と3月5日東京発を予定する。

 座席は通常の「着席シート時」から「フルフラット時」に変形でき、フルフラット時は上下2段構造となる。運行中に変形する予定は無く、常時フルフラットの構造にするという。幅は48センチ、長さ180センチで大柄な男性にはやや狭い構造だ。

 頭部には固定式の枕があり、ブランケットを配布する。席数は最大24席だ。ちなみに、高知駅前観光は高知駅前トラベルなどと共同で「長距離夜行バスのシート構造」という名称の特許を取得している。

 試験運行中はモニター価格として片道7300円と安価である。5カ月の試験運用後は片道1万4000円で通常運行を進める計画だ。現状、東京〜高知間における夜行バスの相場は1万円ほど、所要時間は11時間前後。飛行機だと1時間半、費用は1万3000円から最大で3万円程度かかる。

 寝台バスの所要時間は長いが、飛行機より安い。しっかり眠れるとなれば、一定の需要が見込めそうだ。旅行や推し活で夜行バスを利用する若年層も多い。高知駅前観光の状況を見て、各社が参入する可能性は大きい。過去、筆者が『出張族が悲鳴! 都内ホテル「1万円の壁」どころか2万円台へ なぜこんなことになるのか』という記事で述べたように、都内のホテル価格はインバウンドの影響で高騰している。1万円以下で泊まれないのであれば、寝台バスで東京に向かい、夜に寝台バスで帰るという利用法も考えられる。

●寝台バス普及のための「2つの条件」

 日本ではやっと解禁になった寝台バスだが、海外では以前から普及していた。特に鉄道・航空網の乏しいアジア圏で散見される。

 中国では1980年代に寝台バスが現れ、経済成長とともに利用客が増えていった。しかし、事故時の死亡率が高いという理由で2012年に政府が寝台バスの製造を禁止。コロナ禍前の時点でほぼなくなったといわれる。とはいえ、日本では高速バスの事故が頻繁に起きているわけではない。実際の運行次第だが、事故の影響を懸念する必要はないだろう。

 考慮すべきは採算性だ。一般的な高速バスの席数は3列タイプで約30席、4列タイプで40席前後である。高知駅前観光の寝台バスは24席。採算が取れるようにするには、単純計算で運賃を通常の高速バスの1.5倍にする必要がある。前述の通り、高知駅前観光が想定する正式価格も同程度の倍率だ。ちなみに前述のドリームスリーパーは、1万9000円前後である。

 東京〜大阪間の場合、夜行バスの相場は7000円前後。1.5倍と仮定して、寝台バスの運賃は1万500円となる。新幹線の自由席は1万3870円であり、長い所要時間を考慮するとそこまで優位性があるわけではない。

 中国では安全面で廃止になったと述べたが、高速鉄道や国内便の普及も背景にある。既に交通網が充実している日本国内において、、寝台バスの出る幕は多くない。寝台バスがニーズを獲得するには「(1)遠距離」かつ「(2)安い航空便がない」の2条件を満たす必要がある。高知の他、青森、鳥取のような中都市と東京を結ぶ路線に限られるのではないか。少なくとも、バスタ新宿(東京・新宿にある大型バスターミナル)が寝台バスだらけになる状況にはならないだろう。
(ITmedia ビジネスオンライン)

 



フルフラットは良いですが、2段ベッド方式ですか。
上や下に人がいると思うと落ち着かない感じが。
でも乗車人数の関係で仕方ないのでしょうね。

 

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